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「診療所と動労水戸が反原発の最前線・・4年目の3.11に向かう福島から」

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「市民運動の限界を感じ、正直諦めの気持ちも出てきていた時に、・・・
、動労水戸の組合が被曝問題で立ち上がり、ストライキをやってくれたことにとても驚きました。」





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<動労水戸の昨年のポケモントレイン反対闘争>





『診療所と動労水戸が反原発の最前線』    序曲8号より、抜粋




(画像は『『序局』編集者日誌』から拝借)


  2011年の夏休みに福島市から米沢に避難して3年反合・運転保安闘争がたち、4度目の冬を迎えました。
原発事故後、勝手に年間20ミリシーベルトの被曝基準を決められ、何事もなかったかのように屋外での体育や部活を強要する学校に子どもを通わせることができませんでした。
自宅の住宅ローンもあり、仕事をやめて遠くにも行けず、福島市への職場への通勤を続けています。

 避難生活は決して甘いものではありません。毎日クタクタで、子どものための時間も思うようにはとれず、生活のこと、仕事のこと、将来のこと、一人で考えることも山のようにあります。
車での通勤も雪が降ると片道で普段の生活の倍の2時間はかかります。仕事を終えて帰ってきて駐車場の雪かきをして背中を痛めたり、滑って転んであざを作ったり、叫びだしたいような不安な気持ちを抑えながら、普通の顔をして生活するのは精神的な負担も大きいです。でも将来、私は娘たちに「あなた達は大丈夫だから」と話してやりたい、そのために生きたいと思っています。


●なぜこんなアンケートを?

 昨年12月25日、福島県の県民健康調査検討委員会の傍聴をしてきました。

小児甲状腺がんは113人(28人の疑いを含む)となりました。手術した85人の子どもたちのうち良性はたったひとり、ほぼ100%がガンです。

私たちには、「放射能の影響とは考えにくいと説明していますが、事故当時、職員のみならずその家族、学生までが、安定ヨウ素剤を服用し、そのことを口止めしていた福島医大がその検査をやっていること自体、信頼して子供を任せる気にはなりません。

・・この調査では、同時に考えられないような妊産婦へのアンケートを送付しています。受診 した病院で把握できるだろうに、なぜこのような妊産婦へのアンケートをするのか、自分の身内だったら、こんなひどいことが聞けるのか医師としての資質を疑います。こんなアンケート取るくらいなら、避難させるべきだと思います。

 <アンケートからの一部抜粋>⇒該当する項目へチェックを入れる。‥奇形がある場合
《□白内障、□心臓奇形、□腎臓・尿路奇形、□二分脊椎(背中に穴が開いている病気)、□小頭症、□水頭症、□口唇・口蓋裂、□消化管(食道・十二指腸・空腸・回腸)閉鎖、□鎖肛、□多指・合指症、□その他》


●動労水戸のストライキに感動
 
 私は、自分にできることはやらなければと思い、原発反対の金曜行動屋デモや集会、講演会などにできる限り参加してきました。
復興一色にそまる人たちやくだらないことに囚われて目的がわからなくなっている市民運動の限界を感じ、正直諦めの気持ちも出てきていた時に、ふくしま共同診療所と動労水戸に出逢いました。

とても被曝労働はいやだと口にすることができない福島で、動労水戸の組合が被曝問題で立ち上がり、ストライキをやってくれたことにとても驚きました。

  自分だけがよければいい。この現実を見て見ぬふりをする人が多い中、診療所の先生たちも動労水戸の人たちも、本当に福島県民のために身を粉にして頑張ってくれています。その行動をそばで見ていて、私はこの人たちは絶対にうそをつかない、最後まで信頼できると思います。

  ‥原発再稼働を止める活動の最前線はふくしま共同診療所と動労水戸だと思っています。

  福島から離れた安全なところで自分のそばの原発の再稼働反対の論議に終始するのではなく、今も放射能をばらまいている福島原発を収束させ、子どもたちを避難させることが先です。事故を収束させられない東京電力や日本政府には原発を稼働させる資格などありません。原発が爆発したらどうなるのか、福島の現実を知ってください。

  爆発した原発事故の重大性に無関心で、その責任を取らせることなく、復興を名目にした政府の放射能被曝隠しに加担させられ、何をやっても国民は黙っていると思わせたことが、安倍政権暴走を許し、果ては改憲、戦争まで突き進ませているのだと思います。

もう政府や自治体へのお願いで済むような状況ではありません。

真実を知り、よく考えて反対の声を上げ、ふくしま共同診療所と動労水戸を応援し、ともに行動し、こんなふざけた安倍政権を叩き潰さなければならないと思います。
・・・・3.11福島反原発行動へ!!








●特集 デモとストが激発する欧州 Ⅰ ユーロ危機で大揺れのEU 戦後世界体制崩壊の発火点 EU危機とドイツの突出――世界大恐慌と戦争情勢を促進

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●特集 デモとストが激発する欧州 Ⅰ

 ユーロ危機で大揺れのEU 戦後世界体制崩壊の発火点 EU危機とドイツの突出――世界大恐慌と戦争情勢を促進




(写真 イギリス公共サービス労組【UNISON】の「充実した未来のために」を掲げたデモ。Tシャツには「警察の弾圧・民営化反対」)


 世界大恐慌が「恐慌のなかの恐慌」と言うべき深刻な危機に突入するなかで、ヨーロッパ28カ国を擁するEU(ヨーロッパ同盟)は、世界大恐慌と戦争の重圧が集中する地域となっている。その中軸をなす18カ国が形成する共通通貨体制=ユーロ圏は、「ユーロ危機」に揺さぶられ、戦後世界体制崩壊の発火点を形成している。
恐慌・戦争か世界革命かが問われる情勢に突入している。
そうしたなかで、各国で労働者階級のデモとストが闘われているのだ。


第Ⅰ章は、EU危機、ユーロ危機の現状を具体的に検討し、そのなかでのドイツ帝国主義の帝国主義間・大国間争闘戦での突出と新自由主義攻撃の実態を見ていく。

第Ⅱ章は、ヨーロッパ帝国主義の絶望的延命形態としてのEUの歴史的経過を追い、ウクライナ危機にも触れる。

第Ⅲ章は、「首切り自由」「賃下げ」に対する、イタリアとイギリスでの労働者階級の闘いに迫っていく。



2007年フランスのパリバ倒産、続く2008年アメリカのリーマン・ショックで開始された世界大恐慌は、7年にも及ぶ年月の中で、「恐慌のなかの恐慌」とも言うべき、深刻な危機に突入している。
この間、アメリカを先頭とし日本・EU帝国主義が、こぞって、〝非伝統的〟とか〝異次元〟とか称する金融緩和、限度のない通貨政策、膨大な財政投入、成長戦略などの恐慌対策を行ってきたにもかかわらず、世界経済は停滞を続け、貿易は収縮し、例外的な成長を持続したかにみえた中国などBRICS諸国(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ)と呼ばれる「新興経済」も、バブルの崩壊寸前のところまで来ている。

こうしたなかで、東アジア危機をはじめ、ウクライナ危機、イラク・シリア危機など、帝国主義間・大国間の争闘戦が、戦争的に熾烈化している。

新自由主義の破産のすべての結果が、労働者階級人民への犠牲の集中として、緊縮政策の強行として、そして侵略戦争への動員として、襲いかかってきている。
まさに、プロレタリア世界革命によって、労働者階級が社会の主人公になる以外に、生きていく道がないことが日々明らかになってきている。


世界経済が、例外なしに大恐慌にたたき込まれているなかで、ヨーロッパ28カ国を擁するEU(ヨーロッパ同盟)は、中東・アフリカ・ロシアに接するその世界的位置と「帝国主義の国家連合」という特異な内部構造ゆえに、世界大恐慌と戦争の重圧が、複合的に集中する地域となっている。
その中軸をなす18カ国(イギリス、中東欧諸国は不参加)が形成する共通通貨体制=ユーロ圏は、通貨・財政・金融のきしみから深刻な「ユーロ危機」に揺さぶられ、70年にわたる戦後世界体制の崩壊の火点を形成している。

以下、現状を検討していく。


⑴世界大恐慌の中で低成長のユーロ圏






 ユーロ圏は、世界大恐慌のただなかで、低成長が続いている。
本年度7〜9月期の域内総生産は前期比で0・2%増にとどまった。大恐慌突入後、2009年前半期において、マイナス5%にまで落ち込んで以来、若干回復に転じ、11年には2%にまで達したかに思われたが、再び低下傾向が続き、マイナス成長とゼロ成長の間を揺れ動き、1%台への回復さえおぼつかない。今後の予測についても、ECB(ヨーロッパ中央銀行)やIMF(国際通貨基金)などは、「きわめてゆるやかな回復傾向」とか「超長期の低率インフレ」などと、ほとんど絶望的なトーンの論調を繰り返している。

実体経済の現状を示す鉱工業生産指数は、8月で前月比マイナス1・8%。域外輸出は、同月マイナス0・7%、域外輸入は、1・0%増、貿易依存度の高いユーロ圏にとって、この趨勢は致命的である。

高率が続く失業率

 一方、失業率は11・5%(8月)という高率が数年続いている。
ギリシャ・スペイン・イタリアをはじめ、多くの国で失業が集中しているのは青年労働者であることは、周知の事実だ。新自由主義のもとにおける非正規職化攻撃によって、労働者の雇用形態は激変しており、失業率の公式発表の数字では、「ミニ・ジョブ」とか「ワン・ユーロ・ジョブ」などという超短期・不安定・低賃金・無権利の労働が拡大している現実は、隠されている。

こうした状況に対して、ECBは9月4日の理事会で、ユーロ圏の政策金利を、現行の0・15%から0・05%に、そして民間銀行のECBへの預金金利を現行のマイナス0・10%からさらにマイナス0・20%に引き下げるという決定を行った。

これはこの間継続してきた低金利政策をさらに強化し、デフレ防止を狙ったものである。

しかし、このような極限的な金融緩和にもかかわらず、資金は企業の設備投資へとは向かわず、投機資金として金融市場に流れ込んでいるのである。世界大恐慌によって暴露された膨大な過剰資本・過剰生産力の重圧が、全経済を支配しているのである。







ドイツもマイナスに

 さらに、ユーロ圏、そしてEU全体を揺るがす重大な事態が起こっている。それはドイツ経済が、4〜6月期において、ついに前期比でマイナス0・2%、年率換算でマイナス0・6%に落ち込んだことである。

フランス・イタリア・スペインなどの諸国が、大恐慌のさなかで連続マイナス成長にあえいでいるなかで、「ドイツのひとり勝ち」などと言われ、ユーロ圏、EUの経済を牽引してきたドイツが、この時期において失速したことの意味は、きわめて重大である。ドイツ帝国主義のヨーロッパと世界における独自の位置については、あらためて述べることにするが、これをもたらした二つの特殊な要因について確認しておきたい。

一つは、中国経済の急成長が停滞化過程へ突入したことが与えた衝撃である。

この間、日本・ドイツを押しのけて、アメリカに次ぐ、「第2の世界経済大国」にまで膨張した中国経済のバブル的発展は、破裂寸前の状態になっている。これ自体が、世界経済の総体にとって重大な事態であるが、中国が主要な貿易相手国となっているドイツ経済にはとりわけ大きな衝撃を与えるものである。

もう一つは、ウクライナ情勢をめぐるロシアに対する米欧帝国主義の経済制裁の強化が、ユーロ圏、EU、とりわけドイツ帝国主義に与えている重大な打撃である。

ロシアとの関係は、天然ガスの主要な供給元であり、自動車・兵器などをはじめとする工業製品、さらに農業生産物の輸出先であるという有機的な関連にある。対ロシア制裁は、ロシア側からの報復措置を引き出し、通商関係の収縮を生み出し、ヨーロッパ経済に重大な打撃を与えつつある。







「諸国連合」と「共通通貨圏」の矛盾

 以上の、言わば外的な要因に加えて、ユーロ圏、EUの独自の構造から来る内在的矛盾の爆発がある。

共通通貨圏としてのユーロ圏が決定する統一的な通貨・金融政策を実行するのは、加盟各国政府である。共通通貨圏とはいっても、そもそも経済的政治的にそれぞれ独自の構造、利益を持った諸国の連合体であり、相互の利害の対立や争闘戦を内包しているのである。
ここにユーロ圏の構造的矛盾がある。

調和のとれた「自由貿易圏」「共同市場」「広域経済圏」などという青写真とはまったく裏腹に、戦後世界体制のもとでの帝国主義の特異な延命形態として生み出された「諸国連合」(EU)とその内部での「共通通貨圏」(ユーロ圏)に内在している問題性が、世界大恐慌の激化のなかで、各国の利害の違いとぶつかり合いとして爆発しているのだ。

例えば、ヨーロッパ中央銀行の理事会は、せっかく金融緩和を決めても、各国の「構造改革」「緊縮政策」の実行が進まなければ、その効果はない、と繰り返し主張している。
その階級的核心は、すでに破産が明らかになっている新自由主義政策を、「労働市場の柔軟化」(=非正規職化の推進)や社会保障制度の解体などをつうじてもっともっと無慈悲に強行せよ、つまり、階級戦争をひるまずに行え、ということだ。


旧ソ連圏=中東欧諸国の包摂が危機の要因

 「ユーロ危機」あるいは、「EU分解の危機」をもたらしている、もうひとつの内在的要因として、ソ連スターリン主義の崩壊と東欧ソ連圏解体を契機とするEU(そしてNATO)の東方拡大=中欧・東欧諸国の包摂である。

これら諸国のEUとNATOへの正式加盟までには数年がかかり、ほぼ1999年から2004年の間に実現したが、すでにそれ以前の過程で、これら諸国のEU(そしてNATO)への包摂は、新自由主義の〝ショック・ドクトリン〟的手法で実質的に、直接投資(工場移転)とか金融支配の拡大などの形で強行され、中東欧諸国の社会・経済・政治構造、そして階級闘争のあり方を激変させてきたのである。
これら諸国の労働者階級人民にとっては、EU理事会、ECB(欧州中央銀行)、IMF(国際通貨基金)という〈トロイカ〉によって、資金援助の条件として強制される財政・金融・経済政策(緊縮政策)は、怒りの的となっているのである。

世界大恐慌は、こうした「体制移行過程」にある旧東欧スターリン主義体制諸国を直撃している。

財政破綻が爆発し、直接投資で流入していた西欧帝国主義資本の引き揚げ、労働者階級への緊縮政策のさらなる強行などで、これら諸国で、政権交代などの政治的激動が起こっている。
こうした中東欧諸国の不安定化は、西欧帝国主義諸国に甚大な影響を与えずにはおかない。膨大な難民の東から西への移動がイギリス、フランス、ドイツ、イタリアなどで軒並みに問題化してきているのだ。

こうした諸要因が、世界大恐慌の深刻化のなかで、解決不能の課題として、ユーロ圏、そして拡大したEUに襲いかかっているのだ。


⑵争闘戦で突出するドイツ帝国主義

延命かけ軍事的突出

 ドイツ帝国主義は、今年中旬、ついに大恐慌のさなかにおけるマイナス成長を記録したが、延命をかけてますます争闘戦への軍事的突出にのめりこんでいる。

今年の冒頭、ドイツ・ミュンヘンNATO会議で、アメリカを含めた世界帝国主義列強の面前で、ドイツのガウク大統領が、次のような演説を行った。

「もはや戦後ではない」「アメリカが従来のような力を失っている今、ドイツこそが、その経済的力量にみあった世界への貢献を、政治的軍事的領域でも果たすことが必要である」「第2次世界大戦時の加害者ドイツという自虐的なイメージを脱却すべきだ」

その後、ウクライナ危機の爆発のなかで、ドイツ国防省が「バルト3国にドイツ連邦軍派遣の用意あり」と発言し、イラク・シリア危機に際して、イスラム国に包囲されたクルド地域に対して、ドイツ製の武器援助を行うことが決定されている。


しかし他方で、ドイツ・メルケル首相は、ロシア・プーチン大統領とは、ことあるごとに電話会談を行っているような関係にある。これは、米英帝国主義にとっては〔少なくとも当面は〕考えられないことだ。現にウクライナへのロシアの天然ガス輸送の再開交渉は、ドイツを中心とするEUの仲介で行われている。


このようなドイツ帝国主義の突出が、ドイツ経済成長の減速と同時に起こっており、延命のために、外へ向けての争闘戦、内へ向けての階級戦争をますます激烈化させていかざるをえない。



東西ドイツ統一とEUの東方拡大

 ドイツは、EUで最大の経済力を持ち、工業的にも金融的にも、英仏をはるかにしのぐ「大国」である〔GDPにおいては、現在、米中日に次いで、世界第4位〕。

1990年の東西統一によって、その位置は中央ヨーロッパから東欧へ向けて明らかに強化された。しかし、東独スターリン主義経済の暴力的解体と「西」への包摂は、国力の増強という面を持ちながら、東独再建への財政負担が予想を超えた巨大な額に上り、ドイツ経済は1990年代をとおして低成長に陥り、EUの平均よりも低い経済成長を続け、一時は「ヨーロッパの病人」とさえ称されていた〔ちょうど、日帝経済の「失われた10年間」に対応する時期である〕。

そこから、これから述べる新自由主義的改革を強行することによって、再浮上を経験してきた時点で、世界大恐慌に遭遇し、現在にいたっている。

この二十数年にわたって、ドイツ帝国主義は戦後世界体制を転覆する転換を強行してきた。

その柱の一つは、ロシアにつながる中欧・東欧諸国への経済的・政治的・軍事的影響力の、EU・NATOの「東方拡大」とあいまった、圧倒的強化である。
もう一つは、戦後〔西〕ドイツの「国是」ともなってきた「社会的市場経済」の軸をなす社会保障制度の体系的解体=新自由主義的再編、すなわち2003年に開始された「ハルツ改革」と呼ばれる政策である。


中東欧諸国などへの直接投資の拡大

 第一の点から見ていこう。
ソ連スターリン主義崩壊と東欧スターリン主義圏の解体、ドイツの東西統一は、ヨーロッパ中部からロシアへかけての広大な世界が、ドイツ帝国主義のかつての勢力圏の復活の絶好の場として開放されたことを意味した。
これは、1974〜75年恐慌、1987年恐慌以来、成長の鈍化に直面していたドイツ帝国主義(そして、フランス・イタリアなど他のヨーロッパ帝国主義)にとって、新たな延命の可能性を示すものであった。

すでに述べたように、これら中欧・東欧諸国がEU加盟にいたる10年の過程で、EU諸国、とりわけドイツ企業がこれら諸国に対し、貿易の拡大ももちろんであるが、直接投資を嵐のように集中した。その内容は、主要に、自動車産業が、「低賃金と無権利の労働力」を求めて、中欧の中軸をなす3国、ポーランド、チェコ、ハンガリーなどの諸国に大規模な工場移転を行ったことである。

加えて、金融資本の流通部門への進出が行われた。その結果、次ページの上の表で明らかなように、この10年間でドイツから中欧3国への直接投資は、額にして数十倍、ドイツの海外直接投資に占める比重からしても、数倍に増大したのである。

このようなドイツ資本の中欧・東欧への進出は、これら諸国の労働者階級を、スターリン主義支配下の圧政をも上回る過酷な状況に陥れたと同時に、ドイツ本国では工場閉鎖や操業短縮、低賃金の強制、さらには、産業別団体交渉・賃金協約制度の解体=事業所(個別企業)毎の賃金交渉への移行による労働者の分断が、体制内労組(ドイツ労働総同盟DGB)の協力によって進められていったのである。

このような「東方拡大」と並んで、新自由主義の世界的展開のなかで生まれたBRICS諸国という「新興国」に対して、ドイツは、他のユーロ圏、EU諸国に先んじて、商品輸出とともに直接投資による工業的参入を強化している。
とりわけ、「開放経済」に転じた中国との経済関係を強化した。
その結果、ドイツと中国は、相互に重要な貿易パートナー、さらに直接投資で結ばれる関係になっているのである。

ドイツが、米ロについで、世界第3位の兵器輸出国であることを忘れてはならない。

米日とも違い、またユーロ圏、EUの帝国主義諸国とも違う、こうしたドイツ帝国主義の世界経済との結合の深さは、世界大恐慌の激化のなかで、有利な位置というよりも、重層的な危機にドイツを引きずりこんでいくものとなる。
現に今、ウクライナ問題、イラク・シリア危機で生じていることは、それを示しているし、バブルの破裂寸前の残存スターリン主義中国と経済面にとどまらず、政治・軍事的な領域でも、関係を深めていくことは、世界大恐慌の激化のなかの争闘戦の熾烈化に、一層のインパクトを与えずにおかないであろう。


社会保障の新自由主義的再編=「ハルツ改革」

 次に、もう一つの戦後世界体制転覆、すなわち社会保障制度の体系的解体=新自由主義的再編としての「ハルツ改革」について見ていきたい。

1990年東西統一後のドイツ帝国主義資本が、中東欧諸国に向けて嵐のような「東方への進出」を強行していった過程は、先に述べたように、ドイツ経済は失速し、そのなかで失業率は増加し続け、1993年の8・9%から、97年には11・4%、2005年には、再び11・7%という高率を記録するにいたっていた〔その要因の一つとして、中東欧諸国への工場移転による解雇の激増があることは明白である〕。

こうしたなかで、東西統一を担った保守党コール政権は98年の総選挙の敗北で退陣に追い込まれ、代わりに登場したのがシュレーダー政権である。
社会保障制度の体系的解体=新自由主義的再編を行ったのが、この社民党政権であった。

政権4年目の2003年に発表したのが「2010年へ向けての緊急課題(アゲンダ)」という戦後制度の抜本的改革をうたった政策であり、その核心部分が社会保障制度改革であった。この計画を遂行する政府主導の委員会の委員長ハルツ(フォルクスワーゲン社の役員)の名から「ハルツ改革」と呼ばれることになった。

ハルツ改革の狙いは、ドイツ経済の陥った財政危機、経済成長の低下の危機を、「戦後的遺産」としてあった社会保障制度と雇用制度の抜本的改革をもって打破しようとするもので、戦後的制度からの歴史的決別を意味した。

ハルツ改革の開始にあたって、シュレーダー首相は、連邦議会で次のように述べた。

「われわれは欧州において、再びトップの座に返り咲くためには、必要な変革に踏み切る勇気を持たねばならない」「われわれは、社会保障制度による国家的サービスを削減しなければならない」「自己責任を促し、一人ひとりの負担を引き上げなければならない」

この演説は、社民党内部に激甚なショックを与えたが、体制内労働運動であるDGBは、ハルツ委員会への参加をもってこれに応えたのである。

ハルツ改革の核心は、巨大な財政負担を強いている膨大な失業者への給付をはじめとする社会保障関係支出の大規模な削減であり、
財政政策と同時に、失業者数を低下させるための労働力市場(雇用市場)の改変、すなわち非正規職化の拡大である。

失業手当を削減し、それによって生きられなくなった失業労働者に、選択の自由を与えず、低賃金職場を強制するとか、年金生活者への支給額を削減し、
〈ボランテイアの社会奉仕労働〉という形をとった非正規職労働者として動員し、教育、医療、福祉関係の職場に派遣して、正規職労働者の解雇を強行する、
などというやり方が、ドイツ社会を一変させたのである。

【くわしくは、本誌2014年1月号「ドイツ/非正規職化攻撃と闘う労働者」参照】 第1節 

その結果、公式発表で明らかなだけでも、ドイツの正規職労働者の全就労者に対する割合は1991年から2012年にかけて、77・5%から66・8%へと減少し、代わりに非正規職労働者の割合が12・8%から21・8%へと激増した。
これが、低賃金、賃金カットと結びついていることは言うまでもない。
現在、ドイツは、EU諸国における低賃金労働者の比重の大きさで、ハンガリーとイギリスに次いで3位である。これが、現在ドイツの6・7%という失業率の数字の背後にある真実である。

こうしたドイツ社会を一変させる新自由主義政策の強行は、ドイツ労働者階級人民の怒りを爆発させ、シュレーダー政権は2005年の総選挙で敗北を喫するが、その政策は、保守党のメルケル政権(当初は、社民党との連立政権)によって継承されていくのである。

シュレーダーは、「ドイツのサッチャー」とか「ゲアハルト・ハルツ・シュレーダー」とか呼ばれて人民の憎しみの対象になっている。

(つづく)

「足をガクガク」させながら貫いた不起立 ~高校生の話に感動ひろがる

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「足をガクガク」させながら貫いた不起立 ~ 高校生の話に感動ひろがる

               佐々木有美




 東京の教育現場で「日の丸・君が代」強制が始まって12年がたつ。大阪でも3年前に「職員基本条例」が作られ、3回不起立をした教員は免職になる。

こうした中で昨年(2014年)の春、卒業式の当日に学校の門前で自分の思いを書いたチラシを配り、不起立をした大阪府立高校の卒業生がいた。

2月21日東京・スペースたんぽぽで、その高校生・木村ひびきさん(現在大学1年)のお話を聞く会が開かれた。70名の参加者で会場はあふれた。




 木村さんは、父親から「君が代」が「天皇の世が続くように」という歌だと聞いていた。中学校の卒業式が近づき、不起立をするかどうか迷っていた。まわりの反応がこわかったからだ。

卒業式の直前に音楽の先生が「君が代」の練習をさせ、「君が代は恋の歌で、君はあなた」という意味だと言った。木村さんは「君は天皇のことではないか」と聞いたが、先生は受けつけなかった。

一方的な押しつけにショックを受けた彼女は、そのことを父親に話し、父親は学校に手紙を書いた。手紙を受けた学校は、先生たちが一人ひとり「君が代」強制について自分の意見を言ってくれた。校長はみんなの前で「立つのも立たないのも自由。立たないからといってせめたらあかん」と言った。木村さんは「うれしかった。すわる、すわらない、どっちにして大切にされている、守られている気がした。

この校長先生のことばが後の人生に大きな影響を与えた」と話す。そして卒業式、足をガクガクいわせて木村さんは不起立をした。





 高校では、不起立をした梅原聡先生がいた。「先生は私をわかってくれる」と木村さんは思った。先生の支援もはじめた。卒業式の答辞の役に立候補したが落ちた。答辞をすると言ったのに黙って不起立をしてはいけないと思い、彼女は体育会系の学年主任に「足をガクガクさせながら」不起立を宣言した。

父親からビラを作ったらいいといわれた。「実名入りで胃が痛かった。ものすごくこわかった」。それを卒業式の日、門前で配ると200枚がすぐにはけた。生徒たちがすすんで受け取ってくれたのだ。

 大学生になって、後輩に不起立のことを話したら、真剣に聞いてくれた。「もしかしたら自分みたいな子もいるかもしれない。その子のためにも不起立して良かった」という木村さん。
「最近は、日本に非のある歴史を否定し、日本の批判を否定するような風潮がある。このままだとどんどん偏った教育が定着していく。先生には助けてほしいし、信頼したい。信頼できる先生がいなくなる強制には反対」と話した。

 大阪ではいま、教員が卒業式に参加するには、事前に「不起立をしない」と約束させられる。木村さんの学年のある担任は、回答を拒否していた。結果的には、式に出られたが、彼女は、そのことにとてもショックを受けた。

「不起立をすると言えば、卒業生との別れの時間を奪われ、しなければ自分を裏切る。どちらにしても苦しかない。この情況はまちがっている」と木村さんは強く訴えた。



 集会には、木村さんの高校で不起立をした教員・梅原聡さん(写真)も参加した。梅原さんは、「なかなか不起立を理解してくれない環境で、木村さんとの出会いを心強く思った。木村さんのお父さんも応援してくれている。不起立は教員だけの問題でないことが広がればいい」と語った。

 木村さんのチラシを読み、支援のメールを送ったピアニストの崔善愛(チェ・ソンエ)さん(写真下)もかけつけた。「卒業式にも出席させてもらえない不起立教員の人たちは、裁判に勝っても負けても行き場がなくなっている。
木村さんのことばで彼らは報われた。これは裁判で勝つよりある意味で大きい。あの戦争が何だったのか、本気で話せる場がない。何か言うと空気が凍る。それを打ち破れるのは私たちしかいない」。
東京で連続して「君が代」不起立を続ける田中聡史さんは、「こどもたちの世代に強制の社会を残すことはできないと不起立を始めた。木村さんのような勇気ある学生に驚きとともに敬意をもった」と語った。




 会場から木村さんに、若者の無関心についての質問が出た。木村さんは「無関心の根底には“知らない”がある。もっと教育の現場で知る機会がほしい」と話した。現に「君が代」についてもほとんどの学校では教えられていない。

「教えないが強制だけはする」教育とは何だろう。

道徳が教科化され、昔の修身が甦る。時代は加速度的に戦争国家へと突き進む。木村さんは「足がガクガク、胃が痛い」思いをして、不起立を貫いた。その勇気を自分のものとしたい。





《たんぽぽの関連記事》




[転載]「貧しい人の死が続くのに『高福祉』とは...幻滅感じる」

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「松坡三母娘」の死から1年、類似事件続く

光化門ヘチ広場で1年追慕祭
「貧しい人の死が続くのに『高福祉』とは...幻滅感じる」

ハ・グムチョル記者 2015.02.27 17:05

昨年2月26日、ソウル市松坡区ソクチョン洞のある一戸建て住宅の地下1階に住んでいた三人の母娘が練炭を吸って自ら命を絶った事件が韓国社会に大きな波紋を呼んだ。二人の娘は信用不良状態に置かれており、母一人が食堂で働いて生計を立てていた「三人の母娘」がこの世を去るにあたり、最後に残した「大家のおばさん申し訳ありません。最後の家賃と光熱費です。本当に申し訳ありません」というメッセージは、韓国社会の貧困の自画像として刻まれた。


▲松坡三母娘事件1周期をむかえて、曹渓宗労働委員会と障害等級制・扶養義務制廃止共同行動が光化門ヘチ広場で追慕祭を開いた。

三母娘の無念な死から1年経った2月27日、光化門のヘチ広場ではまた彼女たちの冥福を祈り、二度と貧しい人々のくやしい死がなくなることを祈る追慕祭が、曹渓宗労働委員会と障害等級制・扶養義務制廃止共同行動の主催で開かれた。

午前10時30分、約50人の市民と活動家が参加した追慕祭は、曹渓宗労働委員会所属のドンファン、ジェマ僧侶、曹渓宗総務院社会局長カクピョン僧侶の追慕の儀式で始まった。

この席で貧困社会連帯のキム・ユニョン事務局長は「松坡三母娘の死の後、政府はこの対策だとして福祉死角地帯一斉調査を行ったが、結果として彼らを支援する方法はない無意味な調査だった」とし「申請さえすれば支援を受けられたという政府の立場が虚構だったことがわかったにすぎない」と指摘した。

キム事務局長は「こんな状況なのに、与党のセヌリ党代表は『すでにわが国は高福祉を享受している」と発言をするのを見て幻滅を感じる」とし「貧しい人々は福祉の手が届かない所で犯罪被害と自殺などに追いやられているのが今の現実」と批判した。

▲発言しているホームレス行動ファン・ソンチョル活動家.

ホームレス行動のファン・ソンチョル活動家も「道路で名もなく死んでいくホームレスの人たちは一年で何と300人を超える」とし「こんな死をみるたびに、福祉が貧しく疎外された人の味方でなく、政治家の道具でしかないという気がする」と明らかにした。

曹渓宗総務院社会局長のカクピョン僧侶は「政府と国会で松坡三母娘法を作ったが、貧困の死角地帯から抜け出せない多くの人々が今も存在している」とし「貧しく体調が悪い社会的弱者のための果敢な支援対策を早く樹立するよう要求する」と明らかにした。

この日の追慕祭は最近、仁川のある障害者生活施設で疑わしいあざだらけになって命を落とした知的障害者のイ某氏に対する慰霊祭も共に進められた。この席に共にしたイ氏の父は「息子が昨年のクリスマスに死んでから64日経ったが、施設の関係者らは『自害した』、『ぶつかってできた傷だ』と話すだけで、誰も責任を取る人はいない」とし「皆さんが共に立ち上がってくやしい死の真実を明らかにしてほしい」と訴えた。

なお、最近も松坡三母娘と同じような死を迎える人々の事件は続いている。

昨年10月、家を追い出される危機に瀕した生活保護を受けている老人が、自分の死体を収容する人に対して「クッパ一杯食べてくれ」というメッセージと金を残して自殺し、今年1月には大邱で知的障害1級の姉と暮らしていた20代の女性が支援を受けられる福祉制度がないという事実に絶望して自ら命を絶った。また2月7日には生活保護49万ウォンから30万ウォンを医療費として支出しなければならなかった生活保護受給者の70代の老人がトイレもない部屋で一人で亡くなっているのが発見された。

▲追慕祭参加者らが松坡三母娘など貧困のために死んだ人々の冥福を祈っている。
▲追慕祭会場の片隅で「松坡三母娘事件から1年間のタイムライン」がまとめられたプラカードが展示された。
付記
ハ・グムチョル記者はビーマイナーの記者です。この記事はビーマイナーにも掲載されます。チャムセサンは筆者が直接書いた文に限り同時掲載を許容します。

イメージ

転載元: たたかうユニオンへ!

〝解雇者守るのが組合だ"

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「会社から解雇されたら組合員ではない。組合員資格を失う」
って・・何だそれ???

じゃあ、労働組合は解雇された人のために何をするんですか
金一封の見舞金で終わりか??
非解雇者は守らない、解雇撤回闘争は余計なことだということか

いったい労働組合は何のためにあるんだ!!
解雇された仲間を見殺しにして労働組合と言えるのか!

当たり前の労働組合、原則的な労働組合を蘇らせましょう!!





国労組合員資格確認訴訟 国労本部に全面反論

〝解雇者守るのが組合だ"


 20150227c-1.JPG  






 国労組合員資格確認訴訟の控訴審第2回口頭弁論が2月19日、東京高裁第21民事部(斎藤隆裁判長)で開かれた。
2010年の4・9政治和解を拒否して解雇撤回闘争を闘う4原告は、全国10カ所で2・15(16)国鉄集会をやりぬいた自信を背に法廷に臨んだ。

 この裁判で一審の東京地裁は、「組合員としての地位は、組織対象企業との間の雇用関係の喪失により自動的に喪失するのが原則」とする超反動判決を出した。

解雇された労働者は自動的に組合員ではなくなるというのだ。

被告の国労本部はこの判決に乗っかり、控訴審でも「組合員の資格は組織対象企業に在籍していることが前提」「雇用関係の喪失により、組合員資格が失われるのが原則」と主張した。

法廷で原告代理人は、国労本部の主張に全面的に反論した準備書面の要旨を陳述。
「労働組合は労働者が自らの闘いの中で生み出してきた団結体であり、解雇に対して団結して闘うことに根本的存在意義がある。解雇されたら自動的に組合員でなくなるのなら、それは労働組合ではありえない」と論陣を張った。

さらに、組合員資格の最終的な剥奪(はくだつ)に先立って、国労本部が原告ら闘争団員を選挙権も被選挙権も持たない特別組合員としたことの不当性を突き出した。
 また、原告の小玉忠憲さんの解雇撤回訴訟が東京高裁で闘われていた最中に組合員資格を奪ったことの不当性も追及した。

国労本部は「敗訴が予見されていた」から組合員資格を奪っても構わないと居直るが、動労千葉鉄建公団訴訟は最高裁を追い詰め、反動判決を許していない。原告代理人はこの事実を指摘して、国労本部の主張を全面的に論破した。

許しがたいことに斎藤裁判長は、この日で結審すると宣告し、判決日をわずか1カ月後の3月26日に指定した。 超反動判決をたくらんでいることは明らかだ。

裁判後の総括集会で、原告の石義徳さん(鳥栖闘争団)は、「青年労働者が非正規職にされて生活できず、安倍が戦争に突き進んでいる状況の中で、真正面から闘う」と決意を述べ、小玉さん(秋田闘争団)は「この裁判を闘ってきたのは労働者の団結のためだ。

団結し、全体の力で裁判所も国労本部もぶっ飛ばす」と宣言
。 羽廣憲さん(小倉闘争団)は「どんな判決が出ても闘いの旗を掲げ続ける」と闘志を示し、成田昭雄さん(旭川闘争団)は「労働争議は裁判で判決が出れば終わりというものではない。間違っているものは間違っていると明らかにして、闘い続ける」と熱を込めて発言した。

裁判に先立ち原告らは、「解雇撤回・JR復帰判決を求める10万筆署名」の最高裁への第7次提出行動を、動労千葉組合員らとともに闘いぬいた。(I)



●特集 デモとストが激発する欧州 Ⅱ ユーロ危機で大揺れのEU 戦後世界体制崩壊の発火点 EUは欧州帝の延命形態――ウクライナめぐる争闘戦の軍事化

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●特集 デモとストが激発する欧州 Ⅱ

 ユーロ危機で大揺れのEU 戦後世界体制崩壊の発火点
EUは欧州帝の延命形態――ウクライナめぐる争闘戦の軍事化





⑴EUは帝国主義の絶望的危機の産物

 レーニンは第1次世界大戦の渦中で以下のように述べた。

「帝国主義の経済的諸条件、すなわち『先進的』、『文明的』な植民地領有国による資本の輸出と世界の分割という見地からみれば、ヨーロッパ合衆国は、資本主義のもとでは、不可能であるか、あるいは反動的である」

「資本主義のもとでは、個々の経営や個々の国家の経済的発展が均等に成長するということはありえない。資本主義のもとでは、破壊された均衡をときどき回復する手段は、産業における恐慌と政治における戦争よりほかにはありえない」

「もちろん、資本家のあいだや、列強のあいだの一時的な協定は可能である。この意味では、ヨーロッパの資本家の協定としてのヨーロッパ合衆国も、可能である。……なにについての協定か? どのようにして共同でヨーロッパの社会主義をおさえつけ、かきあつめた植民地をどのようにして日本とアメリカにたいして共同でまもるかということについての協定にすぎない」

(「ヨーロッパ合衆国のスローガンについて」。レーニン全集21巻、1915年8月23日)


EU(ヨーロッパ連合)は、ヨーロッパ28カ国で構成される国家連合体である。そのうちの18カ国が、ユーロを統一通貨とする「ユーロ圏」を形成している。ドイツ・フランス・イタリアなどの帝国主義諸国が中心であるが、イギリス帝国主義は、あくまで自国通貨ポンドに固執し、「ユーロ圏」には参加していない。

第一に確認すべき点は、EUは、もともと、EEC(ヨーロッパ経済共同体)という形で、米帝とソ連スターリン主義の世界分割支配体制=戦後世界体制の一部として、ヨーロッパ帝国主義の延命形態として1958年に誕生し〔これに先立って1951年ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体が、58年にヨーロッパ原子力共同体が設立されている〕、その後、戦後世界の展開のなかで、1967年にEC(ヨーロッパ共同体)となり、さらに1993年にEU(ヨーロッパ連合)という現在の形をとるにいたった、ということである。

第二に、戦後ヨーロッパ帝国主義の復活は、ドイツ帝国主義の東西分割とヨーロッパの西と東欧への分断を米帝とソ連スターリン主義が協定したことが前提となっているということである。

第三に、このようなヨーロッパ帝国主義の「国家連合」は、対米経済ブロックという争闘戦を内包しているということである。

帝国主義の共通市場=経済ブロックとしてのヨーロッパ連合は、戦後世界経済の発展のなかで、ほぼ半世紀をへて1999年、ついに一つの共通通貨のもとでの経済圏を形成するにいたり、争闘戦を繰り返すなかで世界戦争に突き進んできた。
主要帝国主義が統一通貨を形成したことはかつてなかった。

第四に、ヨーロッパ帝国主義は、第2次世界大戦前後の民族解放闘争をつうじて、アジア・中東などにおいて、植民地支配の崩壊に直面した。それは従来の原料食糧供給地の喪失を意味した。

こうしたことから、ヨーロッパ共同市場は、「自立した経済共同体」という性格を濃厚にもって結成されたという側面もある。それは、とりわけ、ヨーロッパの食糧自給を目標とした域内農業への保護政策、そのための膨大な共通資金の供給という問題として、現在にいたるEUの重要な課題の一つとして存在し続けている。

第五に、対米ブロックであるEUの独仏協調が、対スターリン主義対決を軸としたアメリカ帝国主義の世界支配の枠内で生まれ、対立をはらみながら現在にいたるまで発展してきたこと、
さらに独仏が国家主権の本質的要素である通貨発行権を放棄したことの中に今日の帝国主義の絶望的危機を見ることができる。


EUの中軸を形成するユーロ圏、統一通貨ユーロはどうして形成されたのか、その構造と危機はどこにあるのか。



ドル危機がユーロ形成の第一の要因

 EECが結成された1958年は、それまで圧倒的に戦後帝国主義経済を支配してきたアメリカ帝国主義の世界的位置に揺らぎが生じていた。第2次世界大戦の敗戦帝国主義日独の戦後復興・発展が、一定の段階に達したのである。

ドイツ帝国主義は、1947年のトルーマン・ドクトリン(冷戦時代)とマーシャル・プランが、英仏の懲罰的な対ドイツ政策を転換させたことにより、経済復興を保証され、ヨーロッパ全体の復興の牽引力となるにいたっていた。

1968年には、広域共通市場として発展してきたEEC6カ国(フランス、西ドイツ、イタリア、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク)の域内関税が撤廃された。
日独の戦後発展のなかで、1960年代後半には、第2次世界大戦後、政治・経済・軍事にわたる絶対的強者であったアメリカ帝国主義のドル危機が進み、1971年8月15日にドルと金の交換が停止された。
基軸通貨ドルを中心とするブレトン・ウッズ体制の崩壊、これがユーロという共通通貨形成に突き動かした第一の要因である。

ドルが変動相場制へ移行するなかで、ヨーロッパ通貨同盟に向けて一定の経過をたどるが、1979年にまず、ヨーロッパ通貨制度(EMU)が発足した。

これは、ヨーロッパ経済のインフレーションと失業の深刻化(スタグフレーション)に対して、通貨安定をとおして、1974〜75年の世界恐慌によって脅かされたヨーロッパ経済の復活を図ろうとするものである。

〔EMSはヨーロッパ計算単位(ECU、参加国通貨の加重平均)を導入した。基準レートからの乖離の限界を±2・25%にとどまるように運用した。この固定的な為替レートを維持する仕組みがERM(為替レートメカニズム)である〕。

戦後一貫して経済の安定化政策を追求してきたドイツと、拡張主義政策をとるフランスなどとの経済政策の協調が1980年代になって図られ、ERMはユーロが導入される1999年まで維持された。

1987年にヨーロッパの単一市場計画がスタートした。
1992年を期限として単一市場の完成が明記された。
域内市場は、財、サービス、労働、資本の自由移動が保証された国境のない地域からなると規定された。
1970年代後半の経済停滞が深刻であったヨーロッパは、とりわけ先端的技術の導入においてアメリカ、日本に後れをとった。産業界の中から、競争力の強化を緊急の課題として、単一市場の完成が求められた。


東西ドイツの統一が第二の要因

 1989年11月ベルリンの壁崩壊、90年10月に東西ドイツ統一。91年12月ソ連崩壊。これは、戦後世界体制を根底から崩壊させる意味をもった巨大な衝撃を全世界に与えた。
敗戦帝国主義ドイツのヨーロッパ中央における巨大統一国家としての復活と、ソ連スターリン主義とともに東欧スターリン主義圏が解体して、ヨーロッパの東半分で体制移行が開始されるということである。
このときに通貨統一期限まで決めたマーストリヒト条約が92年に調印された。ドイツ統一と通貨統合は重なり合って進んだ一体的過程であった。

ヨーロッパ統合の推進と引き替えに、統一ドイツへの同意を引き出そうとしたドイツのコール首相と、統一ドイツが強大化することを懸念し、「ドイツ封じ込め」のためにヨーロッパ統合を加速しようとしたフランスのミッテラン大統領、
こうしたそれぞれの思惑が、ヨーロッパ統合=マーストリヒト条約に結実した。

マーストリヒト条約ではEUの目的を、経済的には域内国境のない地域の創設(単一市場)、経済社会的結束(格差のない共同体)の強化、単一通貨を含む経済通貨同盟(EMU)と規定している。

ドイツは単一通貨が可能な限り安定的であることを求めて、厳格な規則と罰則を主張した。

具体的には、単年度の政府財政赤字は国民総生産の3%に、また国家債務残高が同60%を超えないというもので、財政主権に大きく切り込み、緊縮財政を課すことになった。
フランスはじめ緩和を求める諸国と対立したが、譲歩しつつ主張をおおむね貫いた。それが財政安定協定である。

ドイツが、スターリン主義体制のもとにあった東独を包摂し、国家統一へと進むなかで、復興需要が発生し物価が上昇した。
92年夏に連邦銀行が金融引き締めに転ずると、9月以降、イギリスのポンドとイタリアのリラが売られた。
ポンドが急落しイギリスとイタリアは為替相場メカニズム(ERM)を離脱した。93年7月にはフランス・フランが売られ、変動幅は2・5%から15%へと拡大し、ERMは著しく弛緩してしまった。
国際的な投機に直撃されて単一通貨ユーロの導入が促進された。


ユーロ圏は静寂のオアシスか?

 1999年1月に決済用通貨としてユーロが発足し、2002年1月に現金通貨ユーロが流通した。

「ユーロ圏は静寂のオアシスだ」

これは初代ヨーロッパ中央銀行(ECB)総裁ウィム・ドイセンベルグの言葉であるが、果たして静寂のオアシスだったのか。
世界金融大恐慌が、2008年のリーマン・ショックに先立って、2007年のパリバ・ショックを機に爆発していったことに示されるように、アメリカのサブプライム関連証券化商品を多く持っていたヨーロッパ銀行が、多額の損失を発生させ、破綻した。
各国政府は銀行へ公的資金を注入し、国家財政赤字は拡大した。統一通貨の流通によりユーロ圏内の周辺国では、統一金利のために実質金利が低下し、インフレや労働コストの上昇が起こった。国外からの投資が増え、国債に依拠した歳出が膨張した。これで2010年以降の財政危機の爆発となった。

EUとIMFは2010年以来、財政・金融危機が爆発したギリシャ、アイルランド、ポルトガルへの共同緊急融資を行った。これら諸国には、巨大な投機資金が、有利な金融商品、投資機会を求めて流入していたからだ。

現ECBのドラギ総裁は2011年秋就任以来、大規模なユーロ防衛策を導入し、一時的にせよユーロ不安の緩和に成功し、「ドラギ・マジック」と呼ばれた。
最初は2011年12月と12年2月に行われた二度の流動性の供給であり、総額は1兆ユーロ(約100兆円)を超えた。
次は国債の購入である。「通貨ユーロを守るためには何でもする」と宣言し、ドイツ連邦銀行の反対を押し切って南欧諸国の国債購入を決め、危機に陥ったスペイン、イタリアの国債利回りの高騰を抑えた。

2010年5月にEUとIMFは1100億ユーロのギリシャ支援を決定した。
2012年2月に2度目の1300億ユーロ融資を決定したが、同時に民間の債権者負担としたためギリシャ国債はデフォルトし、清算価格は元本に対して78・5%減になった。このためギリシャ国債を多く持っていたキプロス銀行〔ヨーロッパとロシアにおけるタックス・へーブン(税金逃れの逃避所)であった〕は破綻した。

ギリシャの債務返済が厳しいことは変わりなく、2014年10月に10年物国債金利が一時9%を上回るなど不安定な状態にある。

ユーロ危機を封じ込めているのは、緊縮財政による財政赤字の削減である。これが高失業・マイナス成長をもたらしている。
EU委員会の掲げる「成長と安定」方針などというのは、〈アベノミクスの三本の矢〉のように、最末期帝国主義の矛盾に満ちた絶望的政策にほかならない。

ECBはデフレ懸念払拭のために金利を引き下げ、ついにはマイナス金利にまで訴えたが、効果はなく、今度は量的緩和に訴えようとしている。マイナス金利とは、銀行が余剰資金をECBに預けたら、金利を取られる制度。
このようにして、銀行の資金貸し出しを強制的に促そうとしているが、過剰資本・過剰生産力状態で資金需要がないなかでは、銀行の融資は促進されない。
かえって投機を煽るだけである。


ヨーロッパ憲法条約は否決された

 EUの総仕上げとなるべき位置にあったのがヨーロッパ憲法条約であるが、2005年にフランスとオランダにおける国民投票で否決され、「憲法的概念は放棄する」ことになった。
フランスでは投票率69・37%、賛成45・33%、反対54・67%。オランダでは投票率63・3%、賛成38・46%、反対61・54%。
大差で否決され、かつ原加盟国による否決であった。

そもそも、それぞれ異なった利害と社会構造を持つ帝国主義諸国間の国家連合という、争闘戦を内包したヨーロッパ連合が、労働者階級人民に対して、将来のヨーロッパの明確なビジョンを示せなかったことは当然である。

「資本家のあいだや、列強のあいだの一時的な協定」(レーニン)でさえ、矛盾に満ちたあり方なのに、「恒久的な国家連合」「帝国主義としての国家主権の制限」は、ブルジョアジーにとってさえ、簡単に容認できるものではない。
にもかかわらず、こうした方向に延命の方策を求めざるをえないところに、ヨーロッパ帝国主義、そして帝国主義そのものの危機の深さがある。「ユーロ危機」への労働者階級の実践的回答は、言うまでもなくプロレタリア世界革命である。

こうした危機を打開すべく、独首相メルケルのイニシアティブで仏大統領サルコジと連携してヨーロッパ憲法条約のエッセンスを2007年にリスボン条約として調印し、2009年に発効した。

リスボン条約の内容は、①EUにおける意志決定の効率化。税制、対外政策、社会保障といったセンシティブな分野については全会一致。
その他の分野は特定多数決。
(特定多数決は加盟国の55%以上、人口の65%以上の賛成で決定する。)
②民主主義の強化。
③対外的な「顔」を決める(「EU大統領」、「EU外相」)。
④EU脱退条項。
⑤条約改正手続き。

リスボン条約で国民投票を避けたことがヨーロッパ懐疑派を勢いづかせている。14年5月のヨーロッパ議会選挙では、英国ではEU離脱・反移民を主張する英国独立党(UKIP)が29%で初めて首位、フランスでは反EU・反移民を掲げる極右の国民戦線が24・85%で初めて首位、ギリシャでは緊縮策の放棄と債務の不履行を主張する急進左派連合が26・6%で首位となった。

ギリシャは2015年2月、大統領選挙を迎えているが、その過程で解散・総選挙もありうる。
昨年10月の世論調査では、急進左派連合支持が35・5%でトップである。

数百万人が失業中で、25歳未満の失業率がEU最高の54%に達するスペインでは、14年1月に結党したばかりの左翼政党ポデモス(「私たちはできる」)が4カ月後の欧州議会選挙で5議席を獲得した。最近の世論調査では27・2%の支持率でスペインの全政党のトップに躍り出た。

大恐慌の深化はEUを揺るがしている。

すべてのEU加盟国にとって通貨統合に参加することは義務である。イギリスとデンマークは、例外的措置が条約で認められているが、財政安定協定を満たす限り、イギリスとデンマーク以外はすべてユーロを導入する義務がある。
その基準が守られていないと、財政規律の強化を目指す新財政協約が2013年1月に発効した。イギリスとチェコが強固に反対し、EU条約の枠外でイギリスとチェコを除く25カ国の政府間協定として署名され、発効した。

主な内容は、単年度財政赤字をGDP比0・5%にすること、そのことを国内法で立法化する、ユーロ首脳会議の制度化(年2回)などであり、この義務を怠る場合の制裁金まで決めている。

ヨーロッパ―EU諸国は、崩壊的危機のなかで、デフレ経済、長期の大不況に突入しようとしている。EUの政策は、緊縮財政と労働法制改悪を進め、労働者人民に大失業と死を強いるものでしかありえない。

ユーロの危機のなかで、アジア共通通貨をつくれという日本共産党をはじめとする体制内のスローガンは消えてしまった。ユーロ危機、そして東アジア危機への労働者階級の回答は、プロレタリア世界革命である。


⑵ウクライナ危機でのNATO臨戦体制化

 ウクライナ危機をめぐってNATO(北大西洋条約機構)の臨戦体制化が進んでいる。
注目すべきは、その体制内に、加盟まもない中東欧諸国やバルト3国、さらには加盟していない北欧諸国までもが組み込まれていることだ。

これは、直接的には、ロシアに対するすさまじい軍事的重圧である。NATOの軍事演習が、黒海にまで入って行われていることは、ロシアやカフカズ地方に直接の衝撃を与えざるをえない。
また、こうしたロシアに隣接する地域へのドイツの軍事的登場は、きわめて重大な事態を作り出している。


「即応行動計画」

 9月4〜5日のNATO首脳会議において、即応部隊の創設を柱とする「即応行動計画」が打ち出された。
即応部隊は有事の際に最短2日で数千人規模の兵力を投入できる初動対処部隊で、加盟国の持ち回りで構成する。
英国のキャメロン首相は3500人の貢献をすると表明している。

さらに「即応行動計画」は、迅速な増派のための東欧加盟国への司令部の常時設置、受入施設の整備、装備・物資の事前配備、演習計画の強化を打ち出している。
ポーランド、ルーマニア、バルト諸国がこれら施設提供の意思を表明している。司令部や弾薬、燃料をポーランドなどの拠点に設置・配備し、東欧の基地の利用を拡大するというものだ。
既に米軍は4月以降バルト3国やポーランドに陸軍部隊約600人を展開している。

NATOの臨戦体制化と東方拡大の中で、これまでNATOに加盟していなかったスウェーデンとフィンランドの2カ国が、ウクライナ情勢のインパクトを受けて、有事の際のNATO軍の駐留を認める方針を打ち出している。

2カ国はこれまでもNATOとの合同軍事演習などを実施しているが、NATO加盟済みのノルウェー、デンマークなどの北欧諸国、バルト3国も含め、バルト海を囲むすべての地域がNATO陣営に塗り替わる可能性があり、欧州に地政学上の大きな変化をもたらすものだ。

NATOの臨戦体制の実戦的発動としての軍事演習が頻繁に行われている。

米国やウクライナ、独英カナダ、ポーランドなど15カ国は9月15日から12日間、ウクライナ西部のポーランド国境付近で軍事演習を行った。
米軍は欧州を拠点とする空挺部隊200人を派遣。ウクライナ領内でのウクライナ軍を含む軍事演習を公然と行っているのだ。

またこれとは別に、8日から3日間、米、カナダ、ウクライナなどは、ロシアに併合されたクリミア半島が突き出た黒海で軍事演習を行った。
米海軍はミサイル駆逐艦を派遣。NATOは「NATOの訓練ではない」としているが、参加国はNATO加盟国とウクライナであり、ウクライナをも組み込んだNATOの合同軍事演習であることは明らかだ。

既にウクライナはNATOの臨戦体制に組み込まれている。


ウクライナのNATO加盟の動きが加速

 また、合同軍事演習だけでなく、財政的にも、EU、NATOによる軍事援助、資金援助も行われている。

8月、ウクライナのクリムキン外相は、EUとNATOにウクライナへの軍事を含む援助を要請した。これを受けて、NATO首脳会議が開幕した9月4日、ウクライナのポロシェンコ大統領は、NATO加盟国がウクライナへの軍事を含む機器と装備の供与、ウクライナ軍を改革するための資金援助を約束したと発表した。

このような既成事実の上で、ウクライナのNATO加盟に向けての動きが加速されている。

ウクライナ政府は8月29日、軍事的中立を定めた議会決定を廃止し、NATOへの加盟を可能にする法案を閣議決定した。
ラスムセン事務総長(当時)は「ウクライナの安全保障政策と加盟に関する決定を全面的に尊重する。他国もそうするよう求める」と述べていた。

さらに、先の総選挙(東ウクライナを除く)の結果を受けて、11月21日、ポロシェンコ大統領率いる与党「ポロシェンコ連合」を中心とする親欧米派5党は、連立政権樹立に向けた政策合意文書に調印し、そのなかでNATO加盟を目指す方針を明記した。

またEU加盟に向けてもウクライナは6月27日、EUとの「連合協定」に署名した。3月に政治部分の締結を済ませ、今回は自由貿易協定(FTA)を含む経済部分の署名であり、EU加盟に向けての前段階のプロセスである。
グルジアとモルドバもEUとの連合協定に署名した。


ドイツの軍事的突出

 このようななかで、独自の国外派兵などに慎重だったドイツが変わり始めた。
攻撃力の強い対戦車ミサイルをイラクのクルド人勢力に供与することを決めたほか、バルト3国への派兵をも検討し始めた。

ドイツ連邦議会(下院)は9月1日、イラクのクルド人勢力に武器を供与することを承認した。
クルド人勢力の戦闘員はドイツ国内で訓練するという。実はドイツは米露に次ぐ世界3位の武器輸出国である。また、ポーランド国防相の報道官の「同国などでの演習にドイツ軍の参加を排除しない」との言に示されるように、東欧はドイツ連邦軍の派兵を受け入れようとしている。

これは、第2次世界大戦でナチス・ドイツの侵略を受けたこれら諸国としては、一大転換である。

ドイツの軍事的突出へのカジは切られたと言える
なお、欧州理事会の次期常任議長にはポーランドのトゥスク首相の就任が決まっているが、これはドイツのメルケル首相の強力な推薦によるものである。〕


危機感強めるロシアの軍事的対抗

 臨戦体制化を進めるNATOに対抗し、ウクライナのNATO、EUへの包摂を絶対に阻止したいロシアは、9月4日からのNATO首脳会議を前にして、軍事戦略の指針となる「軍事ドクトリン」を年内をめどに改定すると決めた。

現行の軍事ドクトリンは2010年2月に決定され、軍組織や通常兵器の近代化を課題に挙げているが、今回の改定は、NATOの拡大、ミサイル防衛(MD)問題、ウクライナ情勢に対応する内容になると言われている。

また、核ミサイルを搭載できるロシアの戦略爆撃機が10月31日、欧州の空域を飛行し、英軍機などが緊急発進した。欧州でのロシア軍機への緊急発進は、1週間で3回と頻発している。

ウクライナ東部におけるウクライナ政府軍と親露派勢力との戦闘は継続しており、9月5日の「停戦合意」は破綻している。ウクライナをめぐる欧米とロシアの争闘戦と戦争化の危機は深まらざるを得ない。


国際連帯で世界革命を

 東アジア危機をはじめとし、ウクライナ危機、イラク・シリア危機、さらにパレスチナなど中東全域に拡大する帝国主義・大国間の争闘戦の軍事的激化に対する労働者階級人民の回答は、自国支配階級の打倒=プロレタリア世界革命を実現することである。

帝国主義世界戦争の勃発と労働者同士の殺し合いへと労働者階級を動員させてしまった敗北の歴史を繰り返してはならない。

勝利の道、すなわち階級的労働運動の復権と国際連帯の強化、それを実現する労働者階級の階級的指導部の形成の鍵を、われわれは今、握っている。


(つづく)

[転載]「日の丸・君が代」問題等全国ネットの形成へ<その5>(44) 

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 <転送歓迎>(重複ご容赦)・「都教委包囲首都圏ネットワーク」・「新芽ML」の渡部です。
 ==================
  【僕、国歌歌わないもん】(石原慎太郎)
==================
  東京五輪に 【国旗も国歌も必要ない】(ビートたけし)
======================
弱い者いじめのデマゴギー政治家・橋下徹を倒そう!
==================

まず、「全国ネット」(準)の神奈川の仲間からの連絡です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
昨年2月に、「個人情報保護条例を活かす会」が発足し、約1年が経過しました。
▲ 3月6日(金)に第1回の総会と寺中誠さんの講演を行います。
国連勧告に関する第2回目の学習会です。もし、お時間がありましたらご参加ください。


 (1)寺中誠さんの講演
寺中さんは、アムネスティー・インターナショナル日本前事務局長(現在東京経済大学教員)をされていました。
国連の人権条約に対して日本政府がどう向き合ってきたか、まさに身をもって体験してきた方です。
貴重なお話しを聞くことができると思います。
 <日時>  3月6日(金) 18:30~20:30 (18:00開場)
<場所>  かながわ県民サポートセンター304号室 (横浜駅徒歩5分)
<講師>  寺中誠さん(東京経済大学教員 アムネスティー・インターナショナル日本・前事務局長)

 (2)不起立者情報を取り消させる運動
不起立者の氏名収集をされっぱなしにしておくわけにはいきません。
削除させる運動を現在進めはじめています。
服務関連文書(私たちはこれは認めていませんが)の保管は規則により5年です。
特に一般の服務関連文書と違い個人情報については条例16条でも廃棄について定められ、特に必要性があると説明できなければ5年で廃棄すべきものです。
2008,2009年の不起立情報はすでに削除されているべきものです。
2月24日に県の訴訟関連文書の閲覧(8名で)をおこなったところ(昨年12月9日に公開請求)、保管がまったくずさんであることがわかりました。
総会において、この間の取り組みについて、ご報告します。
個人情報を取り消させる運動は収集させない運動とともに重要と思います

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
前々回のメールでパワハラ『調査報告書』(第2次)を紹介しました。
いずれも、教育委員会事務局の職員が、中原教育長が強引に進めようとする政策に対して、パワハラを受けながらも抵抗していました。

A氏は、<府下全中学校を対象に統一テスト(チャレンジテスト)導入とそれに関わる予算>に関することで、パワハラを受けています。
B氏は、<府立高校入学試験へのマークシート導入に要する費用>に関することで、パワハラを受けています。
C氏は、<教職員の人事評価制度(相対評価)>に関することで、パワハラを受けています。
D氏は、<小・中・高での英語教育改革>に関することで、パワハラを受け退職に追い込まれています。

その際、A・D氏のみ紹介し、B・C氏は割愛しました。
しかし、C氏についてのパワハラも極めてひどいので、以下にその一部を補足紹介しておきます。
その中で、中原教育長は「そんな説明では,維新の議員は納得しないですよ」などということまで言っています。
また、ここの(2)には、<府立高校校長の公募面接の場面をビデオ録画することの是非>の議論でのとんでもない、聞くに耐えないパワハラ発言も入っています。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 (1)平成25年5月の発言(以下(1)の発言という。)
平成25年5月2日,関係部署総勢約20名が同席し,教育長に対し教職員の人事評価制度について各担当部署から懸案事項の説明(協議が主たる目的ではない。)を行う場において,教育長は,教職員の評価は相対評価であるべきであるとの考えのもと,絶対評価による運用の説明をしようとするC氏との間で,下記の趣旨のやりとりがなされた。
 C氏 「相対評価については,職員は誰も適切であるとは思っていません。」

教育長 「職員は思っていないということだけど,ここにいる皆さんに聞いたんですか。」

C氏 「聞いていません。」

教育長 「今,笑ったでしょう。」

C氏 「笑っていません。」

教育長 「いいや笑った。失礼じゃないですか。そもそも皆さんに聞いていないなら何故わかるんですか。〇〇(C氏の役職)とはそんなに偉いんですか。〇〇(C氏の役職)が望んでいないといえば,皆が望んでいないと言うことになるんですか。そんなことを言う人と話はできませんよ。信用できない。信用できない人と,腹を割った話などできません。話をつけましょう。」
(教育長は,C氏に部屋から出るよう指示し,2人で退出する。数分後戻る。)
説明の場に戻った後しばらく別のやりとりの後に,

教育長 「(絶対評価について)そんな説明では,維新の議員は納得しないですよ。僕は,議会で質問があったら,僕は説明できないからと言うことで,全部C〇〇(役職)に振りますよ。C〇〇(C氏の役職),全部答えてくださいよ。」

 (2)平成25年7月の発言(以下、(2)の発言という。)
平成25年7月17日,関係者7~8名が出席した会議で,府立高校校長の公募面接の場面をビデオ録画することの是非について議論がなされた。

教育長は,部下が面接した際に本来候補者として残すべき民間人を不合格としているのではないかとの疑念を払拭するために,教育長自身が全員と面接する代替手段として,面接の状況を録画し,教育長が確認できる方法を提案していたことに対して,C氏が録画する場合のリスク(応募者に対する説明及び承諾の取付け等)を説明したところ,
教育長は,C氏に対して,「あなたは事なかれなんですよ。結局,もめごとにならないように,自分の出世を考えているんですよ。」と発言し,C氏が「そんなことはないです。」と否定したのに対し,さらに,「それが嘘なんですよ。出世のことを考えないわけないじゃないですか。じゃあ,明日から乙さんの部下の○○(役職を示す。)になってもいいんですか。そんな嘘をついているから信用されないんですよ。Cさんが本音で語らないのなら,僕もCさんにはそのように対応しますよ。のらりくらり言って,最後にバシャッと梯子を外しますよ。プロレスで言えば,『ノーノーノー』と言いながら,見えないところで凶器を持って攻撃しますよ。あらゆる手段を使ってね。」という趣旨の発言をした。

 (3)平成25年8月の発言(以下、(3)の発言という。)
平成25年8月28日,教員の評価制度及び勤勉手当制度の見直し等についての関係者約10名が出席した協議の場で,教育長が,現在の評価分布があまりにも上位評価に傾いており,下位評価者が殆どいないことについての問題意識の下に,協議参加者の何人かに対し,今の評価分布についてどのように考えているかを問いかけ,

その上で,C氏に対し,「丙さんは,現場を見てきた印象で(今の評価分布では下位評価者の割合が)低すぎると言っている。丁さんは,あるべき比率は自分としてはわからないが低すぎると言っている。戊さんは,指導力不足教員の数から見て低すぎると言っている。でも,Cさんは現状が低いことについて根拠がないといっているにもかかわらず0.001%もありえると言っている。全く理解できませんね。むちゃくちゃじゃないですか。精神構造の鑑定を受けないといけませんよ。教委の幹部がこんなことではどうしようもないですよ。」との趣旨の発言をなし,
その発言に対して,同席職員が,「精神構造の鑑定を受けないといけない」とは不適切ではないかと指摘したにもかかわらず,「どこがおかしいのか。」と言って発言を撤回しなかった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

読めば読むほど、中原教育長は、ひどいパワハラ、いじめを繰り返していることが分かります。
このような人間がそのまま教育長にとどまるなどということは、常識ではとても考えられません。
一方、職員の方は冷静に問題を処理しようとして抵抗していることがわかります。

都教委の職員にも見習って貰いたいものです。
あるいは、すでにそういう職員もいるのかもしれません。
そうすると、都教委でもパワハラが起きている可能性はあります
もしそうなら、都教委の中から声を上げてください。
大阪のD氏のように病気や退職に追い込まれる前に。

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《許すな!「日の丸・君が代」強制 止めよう!安倍政権の改憲・教育破壊 全国ネット(準)》では、来春の卒業式・入学式に向けて、▲「都教委は『君が代』不起立・不伴奏教員を処分するな 思想改造を強要する『服務事故再発防止研修』をするな」の団体署名の取り組んでいます。

「君が代」起立・斉唱の職務命令は、子どもたちに対し、国家の価値観を刷り込むことであり、ひいては社会の自由度を奪うことです。
「君が代」不起立は、仕事に対する教員としての責務(良心)からの行為です。

不起立での、戒告処分ももちろん許すことはできませんが、最高裁判決に反して、東京都教委は不起立を続けるTさんには減給1ヶ月処分を出していますし、今後さらに重い処分を科してくる危険があります。
今年の入学式処分では、Iさんに減給6ヶ月処分も出しています。
何としても、「戒告を超える重い処分」をまずは止めたいです。

また、処分とセットで行われている思想転向を強要する「服務事故再発防止研修」は半年間、20回近くにのぼります。
拷問と言っていいほど。これも止めさせねばと考えます。
どうぞ、お力をお貸しください。

つきましては、皆さんの関係する労組、市民団体に団体署名取り組みの提起、お願いをしてください。上部団体や支部・分会等での署名も歓迎です。
 団体署名取り組みのお願い、団体署名用紙はこちらから開いてください。

http://homepage2.nifty.com/kaikosasenaikai/
 「最近の記事」にあります。
または、ここをクリックすると、団体署名のページに直行します。
http://homepage2.nifty.com/kaikosasenaikai/#dantaisyomei141224

 ■今のところ、ネット署名の用意はできておりません。
お手数ですが、用紙にご記入のうえ、「署名用紙」に記した住所にお送りください。
また、お送りくださるよう、お願いしてください。
どうぞ、よろしくお願いします。

 送付先:〒185-0033 東京都国分寺市内藤2-38-1田中コーポ105
多摩島嶼地区教職員組合気付
許すな!「日の丸・君が代」強制 止めよう!安倍政権の改憲・教育破壊 全国ネット(準)宛
締め切り:第一次2月18日  第二次3月末日

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
なお、署名用紙を送るのが大変な団体は、当日提出する「許すな!「日の丸・君が代」強制 止めよう!安倍政権の改憲・教育破壊全国ネット(準)」の署名用紙に、連名で団体名を載せることもできますので、直接私の方まで、メールでご連絡下さってもかまいません。
その際、メールで<団体名>と<連絡者>を教えて下さい。

この取り組みは、<「日の丸・君が代」問題等全国ネット>の形成にむけての新たな一歩です。
全国の皆さん、よろしくお願いします。

*********************************************************
「都教委包囲首都圏ネットワーク」のブログのアドレス
http://houinet.blogspot.jp/
「千葉高教組『日の丸・君が代』対策委員会」のホームページ
http://homepage3.nifty.com/hinokimi/


パワー・トゥ・ザ・ピープル!! パート2

転載元: 今 言論・表現の自由があぶない!

この「事件の(報道)経過」を知ってほしいと思います

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この「事件の(報道)経過」を知ってほしいと思います

こういう事件があったことを、ぼくは今頃知りました…

除草のヤギ盗んだ疑い 逮捕のベトナム人「食べた」 (朝日:2014年12月4日)

岐阜県警は4日、研究用のヤギ2頭を盗んだとして、愛知県春日井市牛山町のブイ・バン・ビ容疑者(22)とレ・テ・ロック容疑者(30)、岐阜県坂祝町酒倉のカオ・バン・グェン容疑者(26)=いずれもベトナム国籍=を窃盗の疑いで逮捕し、発表した。容疑をカオ容疑者は否認し、他の2人は認めて「食べた」と話しているという。

県警によると、3人は共謀し、8月9~10日の間に、岐阜県美濃加茂市の荒廃農地で飼われていたヤギ2頭(時価計約7万円)を盗んだ疑いがある。車で仲間の家に運び、解体したという。3人は留学や技能実習生として入国し、現在は無職やアルバイト。県警は共犯者がいるとみている。

盗まれたのは、岐阜大が除草効果を美濃加茂市などと共同で研究するため飼っていたヤギで、ともに体重約30キロ。約2メートルのフェンスに囲われ計16頭がいた。親子連れが草を食べさせるなど、市民に親しまれていたという。

同大応用生物科学部の八代田真人准教授は「全国でヤギによる除草の研究が進む中、心配していたが、逮捕されてよかった」と話す。市は「こういう結果になり残念」とのコメントを出した。ベトナムではヤギは庶民の味で、鍋などにして食べられるという。


ベトナム人窃盗団に食べられた町の象徴・除草ヤギ (東スポ:2014年12月06日)

町の象徴だった失踪ヤギは食べられていた。岐阜県警関署は4日、カオ・ヴァン・グウェン容疑者(26)らいずれもベトナム国籍の男3人を窃盗容疑で逮捕した。8月9日夜、美濃加茂市の岐阜大学敷地内で2頭のヤギ(計約7万円相当)を盗んだ疑い。

カオ容疑者を除く2人は「盗んだ」と容疑を認めている。2人は9月に化粧品を万引きして逮捕され、取り調べの中で“ヤギ泥棒”を白状したという。「食べるために盗み、自分たちの家でさばいた」と供述。「どんな料理にしてどんな味だったのかは、分かっていない」(同署幹部)

3人以外にも仲間がいるようだ。化粧品は横流しして利益を得ていた可能性もあるが、「横流しできない」(同)ヤギは純粋に食べるために盗んだようだ。

研究のためヤギを飼育していた同大応用生物科学部の八代田真人准教授(42)は「荒れ放題の竹林を伐採し、除草のために放していた。土地の景観の保護、植物の構成種類の変化などを観察するため、日本在来のシバヤギ16頭が参加していた」と語る。研究は日本が抱える問題解決の糸口になり得る。

「日本の耕作放棄地は増えて、滋賀県と同じ面積にもなるといわれる。その対策に役立つ実験だった」(八代田氏)

公園や団地の除草のためにヤギが出動するケースは全国的に拡大。「急斜面でも問題なく、草刈り機のCO2排出や騒音もなく、環境にも良く、費用も抑えられる」と関係者。ヤギが草を食べるのを見て地域住民が癒やされるという効果もある。

「食べられたヤギはメスのナナとオスのレイ。学生が大事に世話をしていた。さばいたことはないが、やろうと思えばできる。しかし、独特の臭みがあるので…。沖縄ではヤギを食べる文化もあるから、ベトナムでもそうなのかも」(同)

ベトナムでは「ヤギ鍋」が滋養強壮料理として人気が高いという。研究は新しい2頭を加えて継続されるというが、メ~わく極まりない泥棒だ。


誕生パーティーだった…ベトナム人被告、ヤギ窃盗認める (朝日:2015年1月13日)

岐阜県美濃加茂市で昨年8月、除草用に飼われていたヤギを盗んで食べたとして、窃盗罪に問われたベトナム国籍の無職ブイ・バン・ビ被告(22)と、同レ・テ・ロック被告(30)=いずれも愛知県春日井市、別の窃盗事件などで公判中=の公判が13日、岐阜地裁(四宮知彦裁判官)であった。2人は「間違いありません」と起訴内容を認めた。

起訴状によると、2人は仲間5人と共謀し、昨年8月9~10日、美濃加茂市の公園で岐阜大学教授が管理するヤギ2頭(時価計約7万円)を盗んだとされる。

検察側の冒頭陳述によると、ビ被告らは昨年8月上旬、仲間の誕生日パーティーを計画。同9日午後、ビールなどの買い出しをした際、仲間の1人が「ヤギを探しに行こう」と提案し、公園でヤギを見つけた。この夜、パーティーの最中にビ被告が「フェンスの囲いにヤギがいる」と話したため、仲間7人で公園に行き、2頭を捕まえて持ち帰り、すぐに解体して食べたという。

美濃加茂市によると、ヤギは除草効果を研究するため、岐阜大が同市などと協力して飼っていた16頭のうちの2頭で、「ヤギさん除草隊」として親しまれていた。ヤギはベトナムでは鍋などで食べられるという。


★ヤギ窃盗のベトナム人に 懲役2年を求刑 (名古屋TV:2015年02月12日)

岐阜県美濃加茂市でヤギを盗んだ罪などに問われたベトナム人2人に懲役2年が求刑されました。

窃盗などの罪に問われているのはベトナム国籍のレ・テ・ロック被告(30)と
ブイ・ヴァン・ヴィ被告(22)の2人です。起訴状によりますと、2人は去年8月、
美濃加茂市の公園で岐阜大学が飼っていたヤギ2頭を盗んだ罪などに問われています。

きょうの裁判で、検察側は、「身勝手な犯行で情状の余地はない。」として、
懲役2年を求刑
しました。これに対して弁護側は、「安い給料で働かされるなど情状の余地がある。
2人は反省していて、岐阜大学からも寛大な処分をと言ってもらっている」などとして
執行猶予のついた判決を求めました。判決は今月27日に言い渡される予定です。

ベトナム人被告はなぜヤギを食べた 「過酷な生活」証言 (朝日:2015年2月19日)

岐阜県美濃加茂市で昨年8月、除草用に飼われていたヤギを盗み、食べたとして、窃盗罪に問われたベトナム人の被告は、技能実習生として来日していた。岐阜地裁の公判で、日本での過酷な生活について証言した男たち。なぜここまで追い詰められたのか――。

起訴状によると、いずれもベトナム国籍のブイ・バン・ビ(22)、レ・テ・ロック(30)の両被告は仲間5人と共謀し、昨年8月9~10日、美濃加茂市の公園でヤギ2頭(時価計約7万円)を盗んだとされる。除草効果を研究するため、岐阜大学教授が市などと協力して飼っていた16頭の「ヤギさん除草隊」のうちの2頭だった。

法廷での証言などによると、ロック被告は来日前、ベトナムの田舎町でタクシーの運転手をしていた。両親と妻、娘の家族5人暮らしで、月給は日本円で1万6千円ほど。暮らしは貧しかったという。

「日本で働けば月給20万から30万円。1日8時間、週5日勤務で土日は休み。寮あり」。こんな話を仲介会社から聞き、「思いつかないほど素晴らしい」と飛びつき、来日を決めた。仲介会社には自宅と土地を担保にして銀行から借金した約150万円を支払い、2013年3月に農業の技能実習生として来日した。

長野県の農業会社でトマトを育てる仕事に就いたが、勤務条件は聞かされていたものとはかけ離れていた。毎日午前6時から翌午前2時まで働き、休みはない。午後5時までは時給750円、以降は1袋1円の出来高払いでトマトの袋詰めをした。1千袋詰めた日もあったという。

用意された「寮」は、農機具の保管場所。シャワーはあったがトイレはなく、電源盤の下の約2平方メートルで寝た。「家賃」として月額2万円が給料から天引きされ、手元には6万円程度しか残らなかった。それでも可能な限りの3万~4万円を母国に仕送りした。

家と職場を往復するだけの日々。7カ月にわたって我慢したが、「頑張ったが、疲れてしまい、逃げ出した」。インターネットの情報を頼りに、愛知県日進市の土木会社で仕事を見つけた。しかし、在留期限が切れた14年3月に解雇され、無職になった


「借金を残したままベトナムに帰れば担保にしている自宅などが奪われてしまう」。家族にも打ち明けられず、スーパーで弁当などの万引きを繰り返した。

同7月ごろからは、ビ被告と同県春日井市のアパートで一緒に暮らすようになった。ビ被告も無職。約200万円の借金をして短期大学に通うため来日したが、学費が払えずに退学していた。

8月上旬、ベトナム人の仲間約20人で、誕生日パーティーを開いた際、ヤギを盗む計画が持ち上がった。居合わせた7人が車で公園に向かった。ロック被告が運転し、ビ被告は実行役で、2頭のヤギを捕まえて首輪を外し、粘着テープで口や脚を縛った。ベトナムではヤギ鍋などは庶民の味で、すぐに解体して食べたという。

2人は別の窃盗事件と出入国管理及び難民認定法違反の罪にも問われている。検察側は今月12日、懲役2年を求刑し、弁護側は最終弁論で執行猶予付きの判決を求めた。判決は27日に言い渡される予定だ。(小林孝也)

■レ・テ・ロック被告が提出した謝罪文(抜粋)

悪いことをしたことは自分でもよくわかっています。言い訳ではないですが、私の話を聞いてください。一生懸命働いてお金をためてベトナムの家族に送るために日本に来ました。生活が苦しいので、日本で働きたい。そのために家を担保に借金をして日本に来ました。7カ月頑張りました。もう力が無く疲れてしまい、会社を逃げ出しました。お金が無くなってきて、日本語も下手、誰も助けてくれない。ベトナムに帰ろうと思ったが、借りた150万円を返していない。今帰ったら家族が困る。日本にいれば仕事が見つかるかもしれない。でも、おなかがすいた。スーパーで初めてごはんを万引きしました。命を守るため万引きしました。本当に申し訳ありませんでした。



〈外国人技能実習制度〉 日本で技術を学び、母国で役立ててもらうのが狙いで、1993年に始まった。実習生には労働基準法が適用され、期間は最長3年。仕事が単純作業ではないことを条件に、職種は繊維や食品製造、農漁業など69職種に上り、中国やベトナム、フィリピンなどからの15万人以上が働いている。送り出し国の団体が実習生らから取り立てる高額な「保証金」のほか、残業代の未払いや長時間労働などの違反も問題になっている。今後は人手不足が深刻な介護分野でも受け入れ、期間を5年に延長することなどが検討されている。

この事件を起訴した検察は「身勝手な犯行で情状の余地はない。」と言うのだけれど

ぼくは、「ただただ外国人を安く使うという目的のために」、

身勝手な外国人技能実習制度をつくった日本」こそ、情状の余地はないと思います…

カイヒラメグミカイヒラメグミ 2015/02/21 19:30悪徳仲介業者、労基法に反する労働条件での雇用は訴えられないのですか?
ベトナム人実習生に寄付など募ろうという声はあがっていませんか?
mzpontamzponta2015/02/21 21:58仲介業者は「(多分)外国人」なので、処罰は難しいでしょうし、労基法違反で処罰…という話は、この件に限らず聞いたことがありませんので、現実的には期待できませんね。(その一方で、労働資格のない外国人を雇うと処罰されることが時々あるようですが、資格のある外国人に対する労基法違反行為が処罰の対象にならない現状は、明らかにおかしい→国内の雇用先企業に余りにも優しい運用だと思います)
アオザイアオザイ 2015/02/27 12:56万引きや山羊の窃盗は犯罪ですが、
そこまで追い詰められていたのなら、
情状の余地はあるように思いました。

外国人技能実習制度って、日本の恥。
実態調査をするなどして、改善する必要があります。
賃金が安すぎるし、休日も与えないのは
本当にそうだとしたら、問題です。
救済方法も検討するべきと思います。

ベトナムに強制送還されても
日本を恨まないでいてほしいです。
なみなみ 2015/02/28 13:55今日の新聞で上記の件を知りました。
風俗や夜の世界ではあるまいし、まさか今の日本で奴隷のような使い方をしてるところが
あるという事に衝撃を、農場経営者に憤りを感じました。

世界から優しいといわれる日本人なのに
日本の恥です。
せめても彼らに日本人として謝りたく手紙と寄付をしたいと
色々ネットを見てましたら、こちらにたどり着き
思わず書き込みをしてしまいました。


京都大学職員組合の闘い

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京都大学職員組合の闘い

専門職も労働者だ



以下、転載記事



3/2に京大賃金訴訟が結審しました。傍聴席を埋める大勢の方々にお越しいただき、心より御礼申し上げます。
判決言渡しは
2015年5月7日(木)14時 京都地裁101号法廷
となりました。引き続きのご支援をお願いいたします。
▼本日、西牟田委員長と私が行った最終陳述はこちらです
20150302chinjutsu.pdfをダウンロード
京大職組は今後、判決までの間に、
被告法人がこれまで行ってきた驚くべき訴訟活動を社会に明らかにしていく方針です。
ぜひご注目くださいsign03




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2015.3.2. 京大賃金訴訟 最終陳述

原告 山佳奈子

これまでの私たちの主張を、原告西牟田祐二さんと一緒にまとめて述べたいと思います。

第一に、原告は賃下げに同意していません。原告伊勢田哲治さんを含む、教職員によって選出された各事業場の過半数代表者が、賃下げに反対する意見を被告に提出しています。

第二に、被告が賃下げ率を決めた算定式は、運営費交付金の削減が大きくなればなるほど賃下げ幅が小さくなるという、通常考えられる内容とは正反対のものでした。これは周知徹底の問題以前に、それ自体として不合理です。もちろん、教職員に理解・了承されるはずもありません。

第三に、被告は財政状態を立証しておらず、団体交渉でも一度も説明していません。財務部長の尋問すら行わず、人事課職員に「わかりません」と証言させました。被告の「給与規程」は、達示という形式で総長が定める内規にすぎません。また、執行年度が未定で不要不急の事業のため棚上げにされている運営費交付金債務や、新総長のもとで従来の使途の不透明性が指摘されている間接経費はそれぞれ数十億円に上ります。不合理な予算計画は変更が可能であり、実際、変更されてきています。

第四に、被告は賃下げを国に事実上強制されたと主張していますが、強制されたとしても、緊急避難に該当しない限り、違法性は阻却されません。さらに、緊急避難が成立する場合であっても、国に求償すべきことになるだけです。被告は教職員に対し全額を補償する義務を負います。また、強制の存在を本当に主張するのなら、証人として、文科省からの出向者だった浅野元総務部長、あるいは松本前総長、あるいは同じく文科省からの出向者だった西阪前財務担当理事の誰か1 人でも尋問すべきです。しかし被告は、自ら挙証責任を負うのに、強制の事実を一切論証していません。

第五に、京大は、運営費交付金の減額によって、実際に復興財源確保の要請に100%応じました。
賃下げの有無は復興とは無関係です。賃下げを強行するのであれば、「横並び」それ自体の合理性を論証する必要がありますが、それは不可能です。「赤信号みんなで渡れば怖くない」という論理は成り立ちません。何十人で渡ろうが違法は違法です。証人は、たとえ1 円でも賃下げが必要であった旨を述べましたが、それなら1 円にすべきだったのです。実際には被告は、平成25 年度には平成24 年度の1.5 倍額の賃下げを行い、その理由を一言も教職員に説明していません。

第六に、賃金の決め方は法律で定められています。国立大学法人法が準用する独立行政法人通則法63 条3 項は、給与の基準が「法人の業務の実績を考慮し、かつ、社会一般の情勢に適合したものとなるように定められなければならない」としています。そもそも、ラスパイレス指数によれば、被告職員の給与水準は国家公務員よりも明らかに低いのです。さらに、本年4 月1 日施行の改正独立行政法人通則法は、この「社会一般の情勢」が「国家公務員の給与」という意味ですらないことを明示しました。新法は業務の実績以外に複数の考慮要素を定め、その中に「民間企業の従業員の給与等」も含めています。また昨年12 月25 日の閣議決定「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」8 頁は、「当該法人と就職希望者が競合する業種に属する民間事業者等の給与水準との比較など、当該法人が必要な人材を確保するために当該給与水準とすることが必要である旨」を説明するものとしています。
私の研究仲間である欧米各国の法学教授たちは、すでに日本でのこの賃下げに眉をひそめております。「そんな賃下げはおよそ考えられない」「なぜ訴訟を起こさないの?」「ハラスメントではないのか」といった疑問の声が国際学界の場で私に浴びせられているのです。このような賃下げがまかり通れば、日本はもはや法治国家ではありません。日本の司法制度は国際的信頼を失います。日本が横に並ばなければならないのは、人権蹂躙国家ではなく、国際人権水準です。そして、京都大学の社会的責任は、日本の教育・研究政策をリードし、国際競争力を牽引することにこそあると信じます。



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原告 西牟田祐二

裁判長そして裁判官のみなさん
わたくしは原点に立ち戻って主張したいのです。
私たちは、法に従うべきなのでしょうか?
それとも、
政府に従うべきなのでしょうか?
法人化以降、私たち京都大学教職員は公務員ではありません。
国立大学法人京都大学教職員の労働賃金は、法人とわたくしたちとの間の労使の交渉と合意に基づいて自主決定すべきものです。
政府からの賃金引き下げの要請は、国立大学法人の労使関係への不当な介入であり、法的な意味は全くありません。
運営費交付金が引き下げられたとしても、それ自体が不当なものではありますが、それがあったとしても、労働賃金を引き下げる必要はありません。京大法人は財政的な余裕があり、賃金を引き下げる必要は全くありませんでした。このことはこの裁判の過程で明瞭に証明されています。
今回の賃金の引き下げについて原告に「黙示の同意」はありませんでした。これがあったとする法人の主張は全く認められません。
認められないだけではありません。「引き下げられた賃金を黙って受け取っている人間は黙示の同意をしているのだ」と強弁する法人の主張は、労働賃金が生活手段そのものであり、引き下げられたとしてもそれなしでは生活することはできないという雇用関係というものの実態を全く無視するものであり、決して容認できるものではありません。
「引き下げられた賃金に同意できないなら拒否すればいいではないか。どうだ拒否できないだろう。それなら同意しているのだ。」などという主張は、経営者として最低・最悪の主張であります。京都大学法人は、意識的にか無意識的にか、日本の労使関係の中に最悪の主張を持ち込みました。厳重に抗議いたします。
最後に、法人は、「政府の資金を受けて運営されている以上、政府の言うことに従わなければならない」と主張しました。
しかし、ちょっと待って下さい。もしこれが本当なら、誰が考えても、大学という存在は制度的に成り立ちません。
国立大学法人京都大学も含め、およそ大学に託された使命は、時の政府の政策の妥当性をも検討の対象として、あらゆる事項に関し、徹底的に検討を加え、以って国民が最善の選択をしうる基礎となる真理を解明することに尽きるのです。
国立大学法人に交付される運営費交付金は、時の政府の資金というものではないでしょう。この大学の目的のために国民から託された国民の資金に他なりません。
「政府の資金を受けて運営されている以上、政府の言うことには従わなければならない」という被告の姿勢では、真理を解明するという国民からの信託に応えることは決してできません。
以上あらゆる点を踏まえて、今回の賃金引き下げに何の合理性もありません。
裁判長、そして裁判官のみなさん。
以上を踏まえ、法に従って厳正なる判決をどうぞよろしくお願い申し上げます。



高山 佳奈子
京都大学 刑法学教授
2012年度京都大学職員組合中央執行委員長

西牟田 祐二
京都大学大学院 経済学研究科教授


※京大賃金訴訟とは










おまけ


2013年、松本総長による大学自治破壊攻撃に対して教職員も立ち上がった。




 松本紘京都大学総長は、今まで行なっていた総長選考のための教職員意向投票を突如廃止し、学内委員6名、学外委員6名の密室会議により、総長を決めようとしている。さらに、6年限りの任期も再任可能にするという。選考会議は非公開で行われるため、京大職員組合、全大教、京都総評、教職員、学生たちが反対を訴えた。





[転載]時代の正体<71>「イスラム国」は問う(6)「日本のメディアは最悪」-邦人人質事件から/米NY・タイムズ マーティン・ファクラーさん

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時代の正体<71>「イスラム国」は問う(6)「日本のメディアは最悪」-邦人人質事件から/米NY・タイムズ マーティン・ファクラーさん

2015.03.03 11:30:00

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           マーティン・ファクラーさん

  過激派組織「イスラム国」による邦人人質事件で2人が殺害されてから1カ月が過ぎた。テロを含めた国際情勢にどう向き合っていくのか-。米有力紙ニューヨーク・タイムズ東京支局長のマーティン・ファクラーさんは、日本が重大な局面を迎えているにもかかわらずさほど論議が交わされていないことが不思議でならない。その背景にメディアが機能していないことを指摘する。
 ジャーナリストの後藤健二さんの殺害映像がインターネットに流れた約1週間後の2月8日、ニューヨーク・タイムズは1枚の風刺画を掲載しました。
 タイトルは「Could ISIS Push Japan to Depart From Pacifism?」(「イスラム国」は平和主義から日本を離脱させられるか?)。テロの脅威で国民をあおり、憲法改正という政治目的の達成へ進む安倍晋三首相が描かれていました。
 正確な数は分かりませんが、風刺画はツイッターだけでも何千とシェアされました。リツイート(拡散)している多くは米国人ではなく日本人です。なぜか。邦人人質事件をめぐる政府の対応や思惑について、関心を持っているからです。
 しかし、こうした風刺画や論評が外国の新聞に掲載され、日本の新聞には載らないのはなぜでしょうか。日本のメディアは一体何を報じてきたのでしょうか。
■「列強」への道
 日本はいま、重大な局面を迎えています。平和主義を守り続けるのか、米国や英国のように「列強」としての道を歩むのか。その判断を突きつけられたのが、今回の事件だったのです。
 安倍首相が望んでいるのは後者です。かねて「積極的平和主義」を掲げ、米国の有力な同盟国として、国際社会の一員として、役割を果たすことの必要性を強調してきた。
 今回の中東諸国訪問は、安倍政権の姿勢を世界に示す大きなチャンスと考えていたのでしょう。湯川遥菜さん、後藤さんの殺害が予告された後も、安倍首相は「テロに屈しない」と強硬姿勢を崩さず、最終的に2人は殺害されました。
 私にとって、政府がテロリストとの交渉を拒んだことは、何の驚きもありませんでした。安倍首相は今回の事件を「国民が犠牲になったが、テロリストとは交渉しなかった」と米国や英国にアピールする材料にするつもりだろうと思っていました。
 日本はこれまで「八方美人」でした。どこの国とも仲良く、その代わり、どこにも敵をつくらない姿勢を貫いてきた。安倍首相が描く国家像は真逆です。米国との同盟を強化し、国際社会における存在感を強めようとしている。当然、リスクは増え、敵も多くつくることになるでしょう。
 今回の事件でイスラム国のテロリストは「日本の首相へ。おまえはイスラム国から8500キロ以上離れているが、イスラム国を掃討する十字軍に進んで参加することを誓った」と言っている。繰り返しますが、安倍首相はこれまでの日本とは全く異なる国家をつくろうとしている。日本はそういう岐路に立っているわけです。
 国家として重大局面を迎えているにもかかわらず、なぜ日本のメディアは国民に問題提起しないのでしょうか。紙面で議論を展開しないのでしょう。国民が選択しようにも、メディアが沈黙していては選択肢は見えてきません。
 日本のメディアの報道ぶりは最悪だと思います。事件を受けての政府の対応を追及もしなければ、批判もしない。安倍首相の子どもにでもなったつもりでしょうか。保守系新聞の読売新聞は以前から期待などしていませんでしたが、リベラルの先頭に立ってきた朝日新聞は何をやっているのでしょう。もはや読む価値が感じられません。
 私がいま手にするのは、日刊ゲンダイ、週刊金曜日、週刊現代といった週刊誌です。いまや週刊誌の方が、大手紙より読み応えがあるのです。
 安倍政権になり、世論が右傾化したという人もいますが、私はそうは思いません。世論はさほど変わっていないでしょう。変わったのは、メディアです。
■批判こそ役割
 米国のメディアもかつて失敗を犯しました。米国は2001年、同時多発テロという国家を揺るがす危機に直面しました。約3千人が亡くなり、政府は対テロ戦争に乗り出した。03年には「イラクが大量破壊兵器を隠し持っている」という情報を根拠にイラク戦争を始めた。
 米国の主要メディアはブッシュ政権の決断を後押ししました。後にそれが大きな誤りだったと気が付くのですが、国家的危機を前に国民だけでなく、権力の監視を託されているはずのメディアも冷静さを失ってしまったのです。
 イラクに大量破壊兵器などありませんでした。誤った戦争だったのです。翼賛体制に協力したメディアは戦争に加担したのです。
 この大きな反省から、メディアは権力監視の役割を果たすことの重要性、権力と距離を保つことの必要性を学びました。二度と間違いを犯さぬよう、日々、現場で実践しようと努力しています。
 「国家の危機」はメディアを機能不全に陥らせる怖さを潜んでいます。今回の邦人人質事件でも「国家の危機に政府を批判するとは何事か」「テロを容認するのか」という声が一部で上がりました。筋違いな話です。
 今回、日本メディアはあまりにも簡単に批判をやめてしまった。しかし、2人死亡という事態で沈黙してしまったら、国内で数千人が犠牲になるようなテロが起きた際、一体どうするのでしょうか。
 国家の危機にこそ、メディアは権力が暴走しないよう目を光らせなければならない。冷静さを保ち、建設的な議論を展開しなければならない。
 日本のメディアには一刻も早く目を覚まし、本来のメディアとしての役割を果たしてほしいと思います。さもなければ、メディアとして語る資格はもはやないでしょう。
【神奈川新聞】

転載元: あさりのブログ

女性が戦争阻止の先頭に 3・8国際婦人デー行動へ 

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3・8国際婦人デー行動へ 

女性が戦争阻止の先頭に 
生き抜くために安倍を倒そう


(写真 昨年の3・8国際婦人デー銀座デモ)

 2015年、ついに文字通りの〈戦争か革命か〉の大激動過程に入りました。1・7フランス週刊紙襲撃事件に続く1・20人質事件は、日帝を始め米英仏独など帝国主義強盗どもが大恐慌下の危機ゆえに石油資源・市場・領土を奪い合う中東侵略戦争―世界戦争の過程に突入していることを示しました。イスラム武装勢力の一部は帝国主義によって育成されました。スターリン主義への絶望から帝国主義への歪んだ怒りを爆発させ、今や労働者階級の団結を破壊する反革命として戦争を促進しています。

しかし、中東を始め世界の労働者民衆は、大失業・貧困・戦争に怒り、立ち上がっています。そしてその先頭に女性たちがいます。
今こそ反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命へ! 労働者階級の国境・民族・宗教をこえた団結で戦争は止められる! その力は私たちの中にある! 

2015年3・8国際婦人デー行動に立ち上がろう。

労働者の団結と国際連帯で

 帝国主義の中で最も弱い日帝・安倍政権は昨年7・1集団的自衛権行使の閣議決定をし、「戦後70年談話」でさらに積極的に戦争に突き進もうとしています。
安倍は日本人拘束を承知で、大企業46社を連れて中東4カ国を訪問し、「イスラム国壊滅のために2億㌦(236億円)拠出する」と中東侵略戦争への参戦を宣言しました。「有志連合」のイラク・シリア空爆はすでに2千回を超え、罪もない子どもたちや女性たちなど6千人以上が殺されています。

住居を破壊し命を奪って何が「人道支援」か!

安倍は、15年度の防衛費を過去最大の5兆円超とし、オスプレイなど攻撃型兵器を購入することを決めました。またODA(政府開発援助)大綱を改悪して外国軍への援助も行おうとしています。そして「テロ弾劾」を国会で決議し、「邦人防衛」を口実に「9条改憲」を公然と言い、5〜6月、戦争法案の強行成立をもくろんでいます。

1%の支配階級の利益のために、労働者同士が殺し合いをさせられ、命を奪われてたまるか! 

戦争に絶対反対の労働組合の闘いと労働者の国際連帯で戦争を阻もう!

階級の絶滅狙う新自由主義

 安倍政権と資本家どもは外に向かっては侵略戦争、内に向かっては階級戦争をしかけています。労働者も農民も中小商工業者も「生きさせろ」の叫びを上げています。
「女性の貧困」や「子どもの貧困」は政府統計でさえ拡大の一途をたどっています。日本での非正規率は、15〜24歳では男性46%、女性57%。女性全体では58%です。女性労働者の57%が年収200万円未満であり、そのおよそ半数が100万円以下。これは87年の国鉄分割・民営化と一つのものとしてかけられた男女雇用機会均等法や労働者派遣法によるものです。

安倍政権はこの上「働き方の改革」と言い「一生派遣のまま」「正社員ゼロ」にする派遣法改悪や、「さらなる規制改革」と強弁して「過労死」を続出させる「残業代ゼロ」法案の制定などを狙っています。そして消費増税、外注化・民営化・非正規職化、賃下げ・首切りと同時に、社会保障制度を解体し、医療・介護・年金・保育・住宅などの福祉や教育を奪おうとしています。

安倍は「少子化対策」などと言うが、「結婚できない」現実を生み出しているのは10割非正規職化のせいだ。この30年で早産は4割増加、特にパート労働者の早産は正社員や専業主婦に比べ2・5倍に上り、看護職や介護職の妊娠異常は約3倍になっています。まさに階級の絶滅攻撃です。

また、4年目の3・11反原発福島行動は原発再稼働・被曝強制・帰還強制と闘う正念場です。
「高線量の街に帰れるか!」「放射能で子どもの未来を奪うな!」と怒りは充満しています。資本の利潤が最優先し社会を崩壊させる新自由主義にみんな怒っています。そして児童館廃止、保育所・学校民営化、学校統廃合に対して、自治体労働者・教育労働者が立ち上がっています。

労働組合の闘う拠点建設を

 安倍と資本家どもはけっして盤石(ばんじゃく)ではありません。戦争も民営化も労働組合の屈服と協力なしには進められないからです。彼らは、「絶対反対と階級的団結」で闘う労働組合、そうした拠点の拡大を何よりも恐れています。

中曽根政権は、国鉄分割・民営化で国労をつぶし総評をつぶし、連合をつくって日本の労働運動を破壊しようとしました。しかし、動労千葉の分割・民営化絶対反対のストライキによって国鉄闘争は1047名解雇撤回闘争として発展しました。2010年4・9政治和解で再び壊滅させられようとした国鉄闘争は、国鉄闘争全国運動でよみがえりました。

解雇撤回、外注化・民営化と闘う動労千葉や被曝労働拒否を闘う動労水戸のような絶対反対の闘いが、原発労働者を始めとしたすべての労働者や仮設住宅の住民に力と確信と生きる希望をあたえています。
何よりも全国で動労総連合建設が3・14ダイヤ改定阻止決戦として激しく闘い抜かれています。

体内に闘う労働組合を抱えて戦争をしなければならない安倍は絶望的です。だから桜井よしこは安倍の意を体現して、「UAゼンセンは連合を割れ」と叫ぶのです。

「女性が輝く日本」などと女性を動員して破滅的に戦争に突き進むことなど絶対許さない。当の女性は攻撃の狙いを見抜いています。「国家のため、資本救済のために無権利で働け」と女性を労働力として動員する「女性活躍推進法」などぶっとばそう!

「この道(戦争)しかない」という安倍や資本家どもを打ち倒し、労働者民衆が主人公の社会をつくる革命を実現するために闘いましょう。

3・8国際婦人デーにペトログラードの労働者街で起こった女性たちのデモが1917年ロシア革命の口火を切ったように、今年の国際婦人デーの闘いが世界の労働者人民の決起、国際婦人デーの闘争と結びつくことはまちがいありません。国際連帯の力で戦争を止め、プロレタリア革命を切り開きましょう。

全国で開催される3・8国際婦人デー行動に総決起し、地区党の正面課題として全国に婦人民主クラブ全国協の旗を打ち立てよう!
〔深沢史子〕




3・8国際婦人デー行動

■札幌集会
3月1日(日)午後1時30分 札幌市教育文化会館110号室/主催 婦人民主クラブ札幌有志
■みやぎ集会
3月1日(日)正午からリレートーク(仙台市一番町商店街フォーラス前)/午後2時 仙台市市民活動サポートセンター研修室5/主催 3・8国際婦人デー企画実行委員会
■東京集会
3月7日(土)午後4時デモ出発(杉並区松山児童遊園集合)/午後6時 杉並産業商工会館/主催 3・8国際婦人デー行動実行委員会
■広島集会
3月7日(土)午後1時 幟会館/午後4時デモ(平和公園から原爆ドームまで)/主催 国際婦人デー記念3・7行動実行委員会
■関西集会
3月8日(日)午後1時30分 エル大阪視聴覚室/共催 婦人民主クラブ全国協議会関西ブロック、関西労組交流センター・女性部
■福岡集会
3月14日(土)午後1時30分 西市民センター第2研修室/主催 婦人民主クラブ全国協議会福岡支部準備会
■相模原集会
3月22日(日)午後2時 大野南公民館/主催 婦人民主クラブ全国協議会相模原支部



●特集 デモとストが激発する欧州 Ⅲ ユーロ危機で大揺れのEU 戦後世界体制崩壊の発火点 新自由主義と闘う労働者――「解雇自由」「賃下げ」にスト

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●特集 デモとストが激発する欧州 Ⅲ


 ユーロ危機で大揺れのEU 戦後世界体制崩壊の発火点
 新自由主義と闘う労働者――「解雇自由」「賃下げ」にスト



(写真 ローマ市内デモ。「今やゼネストに立つ時だ!」というスローガンを掲げている)



(写真 イギリスの医療労働者のデモ。「戦争反対」「賃金カット反対」「トライデント【原潜】ではなく福祉を」などのプラカードを掲げている)


 「ユーロ危機」が深刻化するなかで、2014年後半期、ヨーロッパ各地でストライキ、デモが激発している。

ドイツ鉄道労組の数次のスト、ルフトハンザ、エールフランスなどの航空労働者のスト、イギリス公共サービス労働者のゼネスト、そしてイタリア労働者の継続中のストライキ行動などが、それを戦闘的に代表する闘いである。

 こうした決起の底に共通しているのは、2007年の恐慌突入以来、7年にわたる新自由主義の自己破産的攻撃、賃金カット、非正規雇用の拡大、社会保障制度の切り崩し、労働協約制度の解体、組合破壊、そしてEU内外における争闘戦の戦争的激化などに対する怒りである。

 広範な労働者階級人民のやむにやまれる決起に直面し、これまで新自由主義政策の担い手の一翼となってきた体制内労働組合さえもが、一定の抵抗のポーズを示さなければ、最末期帝国主義の反労働者的支柱としてさえ生き残れないと判断し、各国でゼネストを呼びかけざるをえなくなっている。

 この現状を突破する道は、ただ一つ、ロシア革命の衝撃を直接に受け、第1次世界大戦の戦後世界、そして30年代の内戦・内乱時代に決起した歴史的経験を持つヨーロッパ労働者階級が、その手に階級的労働運動と労働者国際主義を復権して闘うことだ。
その闘いの勝利は、職場に基礎を置き、労働運動・労働組合の闘いと一体となった革命党の建設にかかっている。


イタリアで「解雇自由」反対の一大決起始まる

 以下、今回は、焦点をイタリアとイギリスに当てて述べていきたい。

独仏につぐユーロ圏第3の「経済大国」であり、経済成長率マイナス0・2%、失業率13%(青年労働者は44・8%!)にあえぐイタリアで、11月14日、全国20都市にわたって、「社会的ストライキ」が数十万人の参加で闘われた。
「社会的ストライキ」というのは、既成の労働組合に組織されている以外のさまざまな形態の非正規職労働者に向けて、主催者である戦闘的少数派労働組合によって呼びかけられたからである。

首都ローマとミラノでは、何時間にもわたって、都市交通がストップし、ところどころではバスの車庫や高速道路がブロックされた。経済省やドイツ領事館(EUの緊縮政策の張本人とみなされている)に対して、卵や発煙弾が投げつけられた。
パドゥアでは、大学の前で警官との衝突が起きた。ストライキ中の金属労組の労働者(主要に自動車産業の労働者)が、ミラノで機動隊と街頭戦を闘った。

闘争のテーマは、もちろん賃金カットや社会保障制度の解体などへの抗議があるが、中心的な問題は、「雇用・労働法」(Jobs Act)の改悪反対である。
今年1月に成立した民主党政権のマテオ・レンツィ首相は、就任早々、議会に「雇用・労働法」の改定を提案した。その核心は〈第18条〉である。それは、裁判所への提訴によって不当解雇を中止させることができるという現行の規定を廃止しようという攻撃である。

この〈第18条〉を含む「雇用・労働法」は、イタリアにおける戦後革命敗北以後の階級闘争の最大の高揚期であった1970年に制定された、闘争の獲得物であり、この間、ベルルスコーニを含む歴代政権が、「労働力市場柔軟化」の〈岩盤〉とみなして、何回か削除を策動してきたものである。
レンツィ政権は〈第18条〉の撤廃を、出身母体の民主党で一部の反対を押し切って合意を取り付け、すでに10月6日上院で承認され、下院では11月26日に承認されようとしている。

これに対して、これまで、経営者団体と「労資協力協定」を結んでいる三つの体制内労組全国センターのうちCGIL(イタリア労働総同盟)は、10月25日に、全国的抗議行動を呼びかけ、ローマで数万人の集会とデモを行った。
続いて11月8日、公共サービス労組がやはりローマで、賃上げ要求を掲げて1万人デモに決起した。

だが、既成労組の側からは、〈第18条〉撤廃反対を掲げたストライキあるいはゼネストは、一切取り組まれてこなかった。そこで独立労組が、USB(現場労組同盟)のもとに結集して、今回の「社会的ストライキ」を呼びかけるにいたったのである。

11月14日の闘いの全国的高揚に押されて、イタリア労働総同盟が、12月5日のゼネストを、他の二つの全国センターに提案している。


レンツィは、「そもそも〈雇用・労働法〉は、1970年代の産物で時代遅れ」「中でも〈第18条〉はじゃまだ」「労働は権利ではなくて、労働者の義務だ」「雇用者側には、雇用する労働者を選択する自由、解雇する自由がある」などと公言している。
そのために「イタリアのサッチャー」などと呼ばれ、民主党内部からさえ反発を受けている一方で、ドイツのメルケル首相からは激励されているという新自由主義そのものの政治家だ。

今、イタリア労働者階級は、「解雇の自由」という工場法以来の賃労働と資本の非和解的対立をめぐるイタリア帝国主義の死活をかけた階級戦争に直面しているのだ。

かつて、ロシア革命直後の1919年に工場占拠と農地占拠をもって、「赤色週間」を闘いとった伝統をもつイタリア労働者階級人民、ムッソリーニのファシズム体制との長期の闘いの末、
第2次世界大戦におけるパルチザン戦争、そして戦後革命、さらに1970年代の「暑い秋」をたたかったイタリア労働者階級人民が、プロレタリア世界革命に立ち上がる時だ。


イギリスで賃上げを求めて10万人の決起

 以上述べたようなイタリアや、ドイツ・フランスに先んじて、アメリカのレーガン、日本の中曽根とともに、サッチャー政権のもとで、すでに1980年から新自由主義政策を強行してきたイギリス帝国主義は、その後の労働党政権が「新労働党」を名乗って、サッチャーの後継者として民営化を推進することによって、EU内部での延命を続けてきた。

その「新労働党」と一体のTUC(イギリス労働組合会議)のもとで、労働者階級は、賃金カット、労働条件の悪化を強いられてきた。

世界大恐慌の激化の過程でのキャメロン保守党政権の緊縮政策に抗議して、10月18日に10万人に上る労働者のデモが全国で闘われた。
ロンドン、グラスゴー、ベルファストなどの都市で実施されたデモは、実質賃金が引き下げられている中で賃上げを求めて闘われた。首都ロンドンでは、TUC傘下の組合の労働者が、「イギリスは賃上げを求めている」というスローガンを掲げてデモ行進した。

UNITE(ユナイト=地方自治体労働組合)、UNISON(ユニゾン=公共職員労働組合)、NUT(全国教員組合)、CWU(イギリス通信労働組合)、GMB(都市一般労働組合)などがデモを行った。
このデモには、年金生活者と反核活動家も参加した。

消防士労組は、「われわれは人々を助ける。銀行を助けない」と書かれたバルーンを掲げてデモを行った。

フランシス・オグレイディTUC書記長は、「大規模なデモが、給料を上げるべきだという強いメッセージを政府に突きつけるものとなる。今までの歴史で、最も長期にわたる徹底した賃金カットが行なわれてきた中で、大多数の人々を経済成長の犠牲にすることをやめさせる時である。会社の役員たちは、普通の労働者の175倍もの所得を得ている」と語った。

今回のデモは、これに先立つ連続的な大規模ストライキの総決算として行われたものである。

10月13日に、約40万人の国民医療サービス(NHS)労働者が、32年間で最大のストライキを行った。
助産師、看護師、救急救命士、救急医療隊員、病院の荷物運搬員、清掃員などがストライキに決起した。午前7時から午前11時までの4時間のストライキであった。
組合の1%の賃上げ――実質ベースでは給与削減をぎりぎり保証するにすぎない要求――でさえ政府が拒否を決定するという暴挙に怒りが爆発したのである。

こうしたなかで、イギリス助産師会の助産師労働者が133年の組合の歴史の中で初めてストライキを行った。

10月15日には、政府の官庁、博物館、裁判所などではピケットラインが張りめぐらされた。PCS(公共民間従業員組合)などの組合に所属する公共部門を中心とする労働者がストライキに決起した。

公共職業安定所職員、そして美術館、運転免許試験センター、港湾、空港などで20万人に上る労働者がピケット行動を行い、24時間のストライキを実施した。

2010年に公共部門の賃金が凍結されたのち、2012年に賃金の年間上昇上限が1%に決められ、継続されている。
過去数年間で、数万の公務員の職場の雇用が奪われてきたにもかかわらず、政府は、労働者の賃金の抑制は、より多くの公共部門労働者の雇用の継続に役立っている、などと主張している。

ニューエコノミックス財団というブルジョアジーでさえ、「賃金カットの実際の効果は、イギリスの中で最も貧しい10%の人々に、この1年間で15%の収入の減少をもたらしたことである」と報告している。

PCS書記長のマーク・サーワッカはこう語っている。

 「低所得の世帯の人々はすでに知っていることだが、賃金が年ごとに切り下げられているのに実際の生活費は急上昇しているということである」
「億万長者が減税をかちとり、彼らの納税忌避によってわれわれの公共資金から毎年数百億㍀が盗まれ、公務員の生活水準が大幅に切り縮められている。われわれの今週のストライキは、こうした削減の終了を要求するものである」

「2010年に保守党―自由民主党の連立政府ができて以来、人々の賃金が減少し続けているのはまったく受け入れがたい。これが今回の闘争の重要性である」

「今回のストライキは強く支持されていると信じている。なぜなら、職場は閉鎖され、解雇され、民営化の脅しがかけられ、疾病手当金の締め付けが行われるという恐ろしいほどの賃金状況と公務員労働者に対する最悪の扱いが行われているからである」

イギリス労働運動のなかで独自の戦闘的な位置を占めるRMT(鉄道港湾運輸労働組合)は、ボブ・クロー書記長の死去(今年3月)の後も、彼の階級的路線を引き継ぐと公約して新書記長に選出されたミック・キャッシュのもとで、民営化反対を掲げ、ロンドン地下鉄駅の無人化に反対するストライキを、繰り返し続行中である。

今回は、触れることができなかったが、ドイツでは、〔戦闘的な〕少数派労組の労働協約交渉からの排除と事実上のストライキ禁止の攻撃に対する反撃が、機関士労組を先頭として闘われている。
その闘いが、階級的に貫徹され、勝利するためには、体制内労組をはじめとする既成労組の改良主義的限界を突き破る階級的労働運動の復活と、それを実現し指導する労働者階級の革命党の建設を、歴史的伝統をもつドイツ労働者階級が、長年のスターリン主義的歪曲をのりこえて実現しなければならない。

そして、それは、戦後45年間スターリン主義体制下にあり、スターリン主義の崩壊により西欧帝国主義の支配するEUとNATOに包摂されることをつうじて、新自由主義攻撃にさらされてきた中東欧諸国の労働者階級の階級的課題でもある。これら諸国の労働運動、労働者階級人民の闘いについては、機会を新たにして光を当てたい。
(了)



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川内原発再稼働反対! 3.2福岡九電本店総行動報告 【NAZEN福岡】

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3.2福岡九電本店総行動に私たちNAZEN福岡も駆けつけました

平日の昼間でしたが、県内外からたくさん集まり、600名(主催者発表)が結集しました。『合同労組レイバーユニオン福岡』『福岡県労組交流 センター』の仲間らも有給(半休など)をつかみとり、ともに行動しました。
『とめよう戦争への道!百万人署名運動福岡県連絡会』とNAZEN福岡はこの日の行動の賛同団体となり、「九州電力は、川内原発再稼働の前に、住民に説明し、同意を得よ」緊急署名もコツコツ集めました。
協力してくださったみなさん、ありがとうございました。
主催団体や賛同団体、個人などみんなで集めた署名はなんと9万9246
しかし、社長(最高責任者)は出てきませんでした。

この日の状況をお伝えします。

写真報告



pm1:00 九電本店前で集会 実行委の向原祥隆事務局長が、「川内原発再稼働して事故が起きれば命に関わる問題。九州電力最高責任者に直接、署名を渡したい」と思いを伝えました。




そびえ立つ九電の電気ビルとビルの合間に吹く風、ビルの影で日が差さないアスファルトの冷たさを肌で感じながら、マイクに耳をすまします。遠方からは新幹線や貸し切りバスで参加したとのこと。ありがたい。力をもらいました



各県ごとの発言があり、マイクアピールの機会を得たのでNAZEN福岡からも発言しました。
「2月8日、福島県いわき市に行きました。JR東日本で働く人たち(動労水戸)が労働組合で被曝反対の運動をしていてデモ行進があり、参加しました。福島の反原発運動を九州に伝え、またこちらで起きている運動を福島に伝えていきたい。3月11日、また福島に行ってきます」
と言いました。




積み上げられた署名の入った箱。駅前で雨にぬれながら書いてくれた署名もあそこにあるのだわと思う。ここにあるのはただの紙じゃないのだ。9万9246人の思いと行動。
中には100名しか入れないと伝えられた。
なんで100名?
九電最高責任者は外に出てきてみんなに分かるように伝えることはできないのか?
中に入る人々に思いを託し、外と中に別れた。
外はぐるっと九電一周デモ行進
「川内・玄海原発再稼働反対」の声を上げた。





「みんなの声を直接、社長に届けたい」と言う向原氏。


「お客様の対応は私たち広報室が担当することになっていますので、今日は私たちが対応します」

(膠着状態が続く)


「時間が3時間もオーバーしてますからこれで切り上げます」



pm7:00ごろ 九電側退場





pm7:30ごろ 「署名をさらに集めて、改めて社長との面会を求めよう」と確認し、シュプレヒコールしてこの日の行動を終えました。
参加したみなさん、この日の怒りをバネに再稼働阻止!全原発の即時廃炉を勝ち取りましょう!
原発推進・戦争の安倍政権は引きずり下ろしましょう。
福島原発事故によって苦しみ、怒る人々とともに、「企業」より命の社会をつくりだしましょう。
(文:田宮 写真:KY)



[転載]原発労働者の渾身のアピール

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2月8日全国労働組合交流センター第22回定期総会での原発労働者の渾身のアピールです。(月刊労働運動2015年3月号より)

3・11反原発福島行動へ。ふくしまとともに。原発労働者との団結のために。




Aさん


原発労働者の組合をつくる


 


私は福島県で育って今日まで生活しています。3・11直後に大変な出来事があり、原発を収束させるために不眠不休の活動をしてまいりました。


現在、原発労働者には大変な格差が起きています。本人の技術、能力に関係なく、原発労働者には特殊勤務手当が支払われていますが、1円も支払っていない会社があるんです。日立や東芝、大手メーカーに所属した場合には、特殊勤務手当て2万円が支払われます。ところが、東京電力の株が50~90%入っている会社から直接仕事をもらうと、特殊勤務手当てが1円も出ません。おかしいですよね。これを許すわけにはいかん。


そういった関係は今後も続くと思うのです。これから何万人、何十万人という人間が、被曝にさらされながら、原子力発電所の収束に従事しなければなりません。その入たちが、技術力、放射能・放射線に対する知識があるかといえば、非常に少ない。原発作業員が放射線にさらされる仕事に従事させられている。いかに被曝を低減させるかということを訴えようとすると、圧力がかかるんです。大変な圧力です。いろんな情報を集めて公表し、訴えなくてはならない。


働く者はみんなどんな所で働いても同じです。公平でなければならない。企業の力だけで、賃金の格差が生まれたら大変です。この格差を是正させなければならない。


原発で働く人たちの組合をつくりたいと思っています。そうしないと、これから数十年かかる収束に向けて、その人たちの安全、生活の保障が守れないんです。その時は、みなさんの力を借りて、原子力発電所の作業者すべて組合に加入してもらって、自分たちの権利を主張できる体制を整えていきたい。それを私の最期の仕事にしたい。


みなさんと会えて大変うれしいです。


 


 


Bさん


原発労働者が誇りを持って働ける環境を整えていく


 


現在、福島原発で働いています。多い時で7千人、工事が止まっている時でも3千人が、24時間体制で動いています。その中で、好んで被曝して仕事しようという人はいないと思います。ただ、この仕事は24時間、止めるわけにはいきません。止まった瞬間に本当に深刻な事態が待っています。この仕事は、子や孫の代まで、それでも終わらないかもしれないです。ずっと担っていってもらわなければならない。


それをやる上で、はっきり言って今、労働者は誇りを持って仕事をできる状況にありません。ともすれば批判の対象になることもあります。そんな中で、私たちもそうですが、自分たちの子や孫にもこの仕事を担ってもらわないと、日本の未来はない、現実的にそうなっていると思います。


子や孫たちまでも誇りを持って仕事ができる環境を整えていかなくてはいけない。それが、まず日本の未来につながるということで考えていただきたい。


転載元: 群馬合同労働組合

映画『A2ーBーC』上映会 3月スケジュール

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映画『A2ーBーC』上映会 3月スケジュール









 ■映画「A2-B-C」(フクシマで生きる子どもたちに、今何が起きているのか 71分)加須上映会
とき◆3月7日(土)午後1時30分~
ところ◆市民プラザかぞ・5F女性青年センター(埼玉県加須市中央2-4-17)/入場料500円
主催◆平和を考える市民の会(tel.090-8567-0313)

■映画「A2-B-C」新潟市上映会
とき◆3月7日(土)午後2時~
ところ◆クロスパルにいがた4F映像ホール(新潟市中央区礎町通3ノ町2086)/入場料1000円(学生500円、福島からの避難者500円)
主催◆映画「A2-B-C」新潟上映実行委員会(tel.090-2642-9127)


■映画「A2-B-C」新発田上映会
とき◆3月8日(日)午後2時~
ところ◆新発田市生涯学習センター1F多目的ホール(新潟県新発田市中央町5-8-47)/入場料1000円(学生500円、福島からの避難者500円)
主催◆なくそう原発!しばた(tel.090-2650-1387そうだ)






2月20日 1933年多喜二虐殺 特高が拷問の末に殺害 戦争に突き進む日帝の脆弱性と凶暴性を示した治安維持法下の大弾圧

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 国際労働運動の暦 2月20日

  1933年多喜二虐殺
 
 特高が拷問の末に殺害
戦争に突き進む日帝の脆弱性と凶暴性を示した治安維持法下の大弾圧

(写真 多喜二の亡骸を悼む友人たち)


 2月20日は「多喜二忌」と呼ばれる。
戦前のプロレタリア作家・小林多喜二が特高警察に逮捕・拷問され殺された日だ。「蟹工船」や「不在地主」などを発表して社会的に大きな評価を得ていた多喜二は、30年に日本共産党に入党し、上京、32年から地下活動に従事していた。この日、小林多喜二は潜入していたスパイの通報で、赤坂で特高に発見され、逮捕された。
築地署で3時間に及ぶ拷問を受け、虐殺された。警察発表は「心臓麻痺」だった。まだ29歳だった。
自宅に戻った多喜二の遺体は「ものすごいほどに青ざめた顔は激しい苦痛の跡を印し、知っている小林の表情ではない。左のコメカミには打撲傷を中心に5、6ヶ所も傷痕があり、首には一まき、ぐるりと細引の痕がある」。そして、全身が打撲による内出血で黒ずみ、右手人差し指は反対側に折り曲げられていた。


▼30年代の闘い

 特高による多喜二虐殺は、戦争体制を強化していく当時の日本帝国主義権力が、労働者階級の決起を押さえ込むことに必死になっていたことを示している。
日本帝国主義は、1931年9月18日の柳条湖事件と翌年の「満州国」をデッチあげ以降、大恐慌下の帝国主義としての生き残りをかけて戦時体制の強化を図っていた。そしてそのためには、労働組合の完全な翼賛化、共産主義運動の壊滅が不可欠だった。1917年のロシア革命は全世界の労働者階級に解放への展望を大きく指し示すものであった。
33年2月初めには、「長野県教員赤化事件」と名付けられた、教員に対する大量逮捕攻撃(138人検挙)が起こる。一方で、柳条湖事件以来の日帝の行動に対する国際連盟の調査団の報告書(リットン報告)を国連総会が42対1で承認したことに対して、松岡洋右日本代表が退場し、国連脱退に至る事態もこの2、3月に起こっている。国際的な孤立化と無謀な侵略戦争の拡大へと突き進んでいく転機だった。


▼国際的な反響広がる 

 多喜二虐殺の報は、全世界にもたらされ、非常な衝撃を与えた。中国の作家魯迅は、弔電を送った。「日本と中国の大衆は、もとより兄弟である。資本家階級は大衆をだましてその血で世界を描いた。また描きつつある。しかし無産階級とその先駆者たちは、血でそれを洗っている......われわれは堅く同志小林の血路にそって前進し、握手するのだ!」
フランス共産党機関紙「ユマニテ」は3月14日に「革命作家小林、日本軍国主義の手により東京にて殺害さる」「ロマン・ロランの呼びかけに応じてこの犯罪に対する無数の抗議の声が湧き起こった」と報じた。
すでに多喜二の小説は各国で翻訳され、「日本の代表的なプロレタリア作家」としてその名が知られていた。
多喜二が殺されたのは、「一九二八年三月十五日」という作品で特高警察の拷問の実態を生々しく暴露された権力が、憎しみを倍加させていたからだという面がある。同時に、多喜二が、戦争に猛烈に反対して、論陣を張っていたことも大きな要素だ。

▼恐怖の現れ

 荻野富士夫著『特高警察』によると、戦前の日本で拷問による虐殺80人、拷問による獄中死114人、病気による獄中死1503人とある。これらの虐殺者たちはなんら処分されなかった。特高警察は、表向きは拷問死を否定したが、その一方で、その後の取り調べにあたって、「お前も小林多喜二のようにしてやるぞ、覚悟しろ」と恫喝するのを常とした。
これらは、凶暴ではあるが、日本の労働者階級の自己解放闘争、労働組合、共産党に対する支配階級の恐怖を表すもので、その強さの現れではない。
戦後、特高は表面上解体されたが、罰せられずに温存され、そのまま戦後の公安警察に横滑りした。国家権力の暴力性、階級対立の非和解性の構図は変わっていない。

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多喜二虐殺のころの出来事

1.12 経済学者・河上肇検挙
1.30 ヒトラー、ドイツ首相に就任
2. 4 長野県で教員などの一斉検挙始まる。138人検挙(教員赤化事件)
2.20 閣議、対日勧告案を国際連盟が可決の場合は連盟脱退を決定
2.20 小林多喜二検挙され、築地署で虐殺
2.23 日満軍、熱河省へ侵攻
2.24 国際連盟総会、リットン報告を承認(42対1)。日本代表松岡洋右、対日勧告採択に抗議して退場
3. 5 ドイツ最後の総選挙でナチス過半数を制する
3.27 内田外相、国際連盟脱退を通告
4.22 文部省、京都帝大教授滝川幸辰の『刑法読本』が共産主義的であるとして辞職要求。5・26、休職発令、法学部長以下抗議して辞表提出(滝川事件)
6. 7 共産党幹部佐野学・鍋山貞親、獄中で転向声明





■News & Review ヨーロッパ 東西ヨーロッパに拡大するストとデモ  

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国境・宗教・民族などの壁をのりこえた階級的国際連帯を貫く階級的労働運動










■News & Review ヨーロッパ

 東西ヨーロッパに拡大するストとデモ
新自由主義と闘う欧州労働者との国際連帯へ


(写真 ロンドンのバス運転手のストライキ【1月13日】)



欧州を揺さぶる年頭の三つの衝撃的出来事

 世界大恐慌の「恐慌の中の恐慌」への突入のただなかにおけるヨーロッパの階級情勢は年頭から、①1月7日のパリ・シャルリー・エブド襲撃、②1月22日の欧州中央銀行の量的緩和=国債買い上げ政策の決定、さらに、③ギリシャにおける左翼政権の誕生という三つの衝撃的出来事によって激動の2015年に入った。

これらの事態は、米帝・日帝、そして中国、ロシアなどの絶望的な凶暴化、ウクライナ情勢、イラク・シリア情勢などで戦争的に進行している戦後世界体制の最終的崩壊過程のなかで、全世界の危機的焦点としてのヨーロッパ帝国主義が、その政治的・経済的な矛盾―構造的な矛盾を劇的に爆発させたものである。

このようなヨーロッパ帝国主義を根底から揺さぶり、年頭の三つの事態を生み出した決定的な要因は、実は、大恐慌の数年にわたる激化、世界戦争への転化の過程のなかで、ついに開始されつつあるヨーロッパ労働者階級の大衆的決起である。

「テロ反対の360万デモ」でパリをはじめ、全フランスが揺るがされたといわれているが、昨年末から今年にかけてヨーロッパでは、中東欧諸国を含めて、主要都市の街頭が、数十万、さらに百数十万規模の労働者の怒りのデモで繰り返し埋め尽くされてきた。
さらに、年末・年初のヨーロッパの都市交通、空の交通は、ドイツ・フランス・イギリスを軸に、交通労働者、航空・空港労働者のストによって制圧され、労働者の階級的力をふたたびみたび全社会に示したのである。

独仏英鉄道労働者の民営化反対闘争

 大恐慌下のヨーロッパ階級闘争・労働運動で、鉄道・交通・運輸(陸上・航空・港湾)が、ますます焦点となってきている。それは、日本における国鉄闘争と同様、この領域が新自由主義攻撃における争闘戦と階級戦争の戦場という位置をもっているからだ。

日帝・JR資本が、アジアをはじめ海外に「新幹線売り込み」を策しながら、国内で労働運動せん滅を狙っているように、ヨーロッパの鉄道・航空資本は大恐慌下での生き残りをかけて、EU域内はもちろん、全世界を対象に、民営化、外注化、分社化、非正規職化、企業の集中・合併などを強行している。
それが、不可避的に労働者の職場と生活・権利をめぐる闘いを激化させているのだ。

ドイツ鉄道労働者の闘い、とりわけベルリン都市交通を軸とするGDL(ドイツ機関士労組)の数年来の首都交通を揺るがすストライキ闘争は、民営化による鉄道労働者の分断と戦闘的労働組合解体攻撃との熾烈な格闘である。

昨年9月のフランス国鉄(SNCF)労働者のストライキ闘争は、国鉄の分割〔SNCFは、すでに運輸業務部門と管理部門の2社に分割(いわゆる垂直分割)されている〕による外注化、賃金切り下げと労働条件悪化との闘いである。
また、イギリスRMT(鉄道海運運輸労働組合)の戦闘的な2年越しの闘いのテーマは、無人駅化反対・鉄道業務の外注化反対である。

以下に報告するロンドンのバス運転手のストライキは、まさに分社化による交通労働者の分断攻撃との激突である。

ロンドンでバス運転手が大規模ストライキ

 2015年1月13日、年が明けて早々のイギリスの首都ロンドンでは、バス運転手の24時間のストライキによって都市交通の動脈が制圧された。
ロンドンのバス交通は、何と18社に分社化され、民間バス会社によって運行されている。その運転手のうち2万7千人が、ユナイト(Unite=サービス労組)に組織され、そのうち2万人の運転手が今回のストに入ったのだ。
当日、午前4時に始まったストライキは全ロンドンに広がり、バス路線は停止し、ロンドン中の70のバス車庫にはピケットラインが張られた。

18社に分割されたロンドンのバスで働く労働者の賃金は、80種に区分されており、同じ仕事(たとえば運転手)をしていても、同じ会社の内部でさえ異なった賃金で働くという極端な差別賃金構造で、労働者が分断されている。
組合の広報によると、運転手の時間給は9・30㍀(約1660円)から12・34㍀(2203円)と最大3㍀(543円)の格差がある。

今回のストは、「運賃は市内同一なのに、同じルートで同じ仕事をしている運転手の賃金はなぜ違っているのだ。これは、労働者をお互いに競わせるためだ」「地下鉄労働者〔RMT(鉄道海運運輸労働組合)のもとにある〕のように単一の賃金体系にせよ」と、差別賃金構造の撤廃を要求して行われているのだ。

こうした交通・運輸労働者のストライキの激発に直面し、キャメロン保守党・自由民主党連立内閣は、公共部門(医療、運輸、消防、学校など)のストライキを制限するために、スト権投票の有効性が現在では投票数の過半数=単純過半数であるとしているのを、投票数ではなく、その組合の投票有資格者総数の40%の賛成に満たなければストは有効ではない、合法ストとは認めないという法制的改悪を狙っている。

今回のロンドン市内バスのストライキは、2万7千人の組合員の賛成の下、2万人が参加し打ち抜かれており、このキャメロン内閣のもくろみを実質的に打ち砕いている。

独仏航空労働者のストライキ闘争

 鉄道交通とならんで、昨年後半期においてヨーロッパの空の交通は、ルフトハンザ(ドイツ)とエールフランスのパイロット・機上勤務員・地上勤務員のストライキ闘争によって数回、数カ月にわたって遮断され、ブルジョアジーは悲鳴をあげた。

このストライキは、この間、航空会社間のあいだで激烈化している過当競争のなかで、いわゆるLCC(格安航空会社)が乱立し、ヨーロッパ中の航空会社で分社化・外注化攻撃が行われ、低賃金の強制、労働条件の悪化、安全の崩壊などが進行していることに対するぎりぎりの闘いとして展開されてきたのであった。

こうした運輸・交通の領域にとどまらず、現在ヨーロッパ労働者階級に対してかけられてきている攻撃は、
①低賃金の強制、
②外注化攻撃、分社化攻撃による職場と安全の破壊、
③「解雇自由」をもくろむ労働法規改悪を頂点とする解雇攻撃と失業の激増、非正規雇用の拡大、
④社会保障制度・医療制度・教育制度などの新自由主義的破壊、
⑤スト権の剥奪攻撃(さしあたり少数組合をターゲットとするという形をとっている)、スト権投票における有効票のハードルを上げることによるストライキつぶしの攻撃、
⑥「反テロ」「反イスラム」などの煽りたて、排外主義・愛国主義の宣伝による帝国主義戦争への労働者階級人民の動員攻撃〔による階級闘争のせん滅攻撃〕

――以上のように特徴付けられるであろう。

ポーランドとハンガリー労働者の決起

(写真 決起したポーランドの労働者【2014年】)


 こうした攻撃は、独仏英などのいわゆる西欧諸国だけでなく、1991年のソ連スターリン主義崩壊と東欧スターリン主義圏解体以後、EUに包摂されてきた旧中東欧諸国の労働者階級にとっても、同様に、いやもっと激しく襲いかかってきているのだ。

〔これら諸国のEUそしてNATOというヨーロッパ経済・政治・軍事圏へのショックドクトリン的な包摂の強行過程については、本誌昨年6月号の特集「戦後世界体制最後的崩壊の扉を開いたウクライナ情勢」参照〕

とりわけ、これら諸国のなかで最も早く、NATOとEU(およびIMF〔世界銀行〕)に接近し、スターリン主義体制から資本主義への「移行」を強行したポーランド・ハンガリー・チェコの三国で、大恐慌下の矛盾が大爆発している。

ポーランドでは昨年末から、炭鉱労働者が南部シレジア地方の四つの炭鉱の閉山という政府の計画に反対して闘っている。

この地方の炭鉱は、EU内で最大の産出能力を有している。ポーランド政府は、この国営炭鉱の赤字経営、エネルギー転換などを理由に、リストラ計画を進めてきており、この2年間ですでに1万人の労働者が解雇されている。
今回の閉山計画は4万6千人の労働者の解雇を含むものである。

これを当該労組が知ったのは、マスコミ報道を通じてであり、事前に何の通告も協議もなかったということが、炭鉱労働者の怒りを爆発させた。

昨年11月3日、このリストラ計画発表後ただちに、200人の炭鉱労働者が会社本部を占拠した。続いて今年に入って1月8日、2000人の労働者とその家族、地域住民が、会社に対する抗議行動を行った。

こうしたなかで、今年1月17日、会社側と労組のあいだで、計画の先送りという暫定合意が成立したが、この妥協に反対した2万5千人の炭鉱労働者が、1月28日、無期限ストに入った。

労働者は閉山反対とともに、政府の緊縮財政政策による賃金カット、一時金の減額に反対し、同時に、この間「職場規律違反」という理由で解雇された9人の仲間たちへの処分反対と、横暴な炭鉱会社経営陣の更迭要求を掲げている。

中東欧のもうひとつの柱・ハンガリーでは、この10年間、議会での過半数議席をもって、緊縮政策の強行や汚職政治の拡大、言論の自由の圧殺などの暴政を敷いてきたオルバン保守党政権の退陣を要求するデモが、昨年12月14日、17日、今年に入って1月3日、2月1日と数千人規模で繰り返されている。

ハンガリーは、他の中東欧に先んじて、ソ連スターリン主義崩壊以前から、IMF(世界銀行)をはじめ、欧米資本の導入を開始し、新自由主義政策を強行してきたという独自の経緯を持つ。それが今や、世界大恐慌の世界戦争への転化情勢のなかで、積年の労働者階級人民の怒りに揺さぶられているのだ。

以上のようなヨーロッパ労働者階級人民が直面している課題は、われわれが、日韓米の三国連帯の国際連帯闘争をつうじて確認してきたのとまったく共通する階級的内容を持つものであり、
正規・非正規の壁、国境・宗教・民族などの壁をのりこえた階級的国際連帯を貫く階級的労働運動の強化、
職場における闘う拠点の建設・拡大こそが回答である。

「中東・欧州・全世界人民に訴える」と題して、全世界の労働者階級人民に対して発せられた革共同声明は、まさにそのための呼びかけである。
(城山 豊)



【読み物】 「フリブナと我々の経済全体が崩壊しつつあるのが分かる」 ウクライナ

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「フリブナと我々の経済全体が崩壊しつつあるのが分かる」 ウクライナ




【読み物】

ウクライナ、革命の高揚感の後の厳しい現実

JBpress 2015.03.02(月)


 19歳の学生のアルテムさんは1年前、ウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ大統領を倒した集団抗議行動に参加していた。
 アルテムさんはこの2月末に再び街頭に繰り出したが、今度はもっと平凡な不満が動機だった。暖房費の上昇、インフレの高進、通貨の急落だ。
 
 「私は1年前、ここマイダン(広場)にいて革命に参加しましたが、こんな深刻な経済的な痛みを感じるためじゃない。率直に言って、我々はとてもこんな痛みを受け入れられません」
 
 今では、ボクサーから抗議活動の指導者に転じたビタリ・クリチコ氏が主となっているキエフ市長の執務室の外に集まった1000人の抗議者に混ざって、アルテムさんはこう話した。
 

「暖房費がまた4割上がったら、何を食べればいいのか」

 58歳のボロディミルさんは、毎月受け取る2500フリブナ(90ドル)の年金のうち、7割が光熱費と基本的な費用に回り、1年前の3割から上昇していると言う。「政府が再び暖房費を引き上げ、計画されている40%の値上げに踏み切れば、私は何を食べればいいのか」とボロディミルさんは問う。

 抗議行動は、ウクライナの革命の高揚感が厳しい経済的現実に取って代わられたことを示している。中央銀行が為替取引の規制を強化する策をお粗末な形で発表すると、市場が動揺し、フリブナの対ドルレートは2月26日、史上最安値となる1ドル=33.78フリブナをつけた。中央銀行は規制措置を撤回した。
 
 断片的な報告によれば、一部のウクライナ人は、フリブナのさらなる下落を警戒して、生活必需品を買い占めているという。フリブナは、2013年暮れに始まった反ヤヌコビッチデモの前には1ドル=8フリブナで取引されていた。
 
 2月26日の抗議行動は、昨年大統領を失脚させたデモに比べると小規模で、親欧米派のキエフ新政府の反対勢力がカネを払っていた兆候が見られた。
それでも、抗議者の感情の多くは本物のように見えた。
経済危機が手に負えなくなったら、戦争で引き裂かれた国でより大きなデモが起き、不安定が増しかねないことを示す不吉な兆候だ。
 
 政府は、ロシアの支援を受けた分離主義者による反乱に直面している東部地域の掌握と経済破綻の阻止、包括的な改革の実行を同時に行おうと四苦八苦している。こうした改革は長期的にはウクライナに恩恵をもたらすが、短期的には多くの人に痛みも与える。

いよいよ疲弊する経済

 ロシアがクリミアを併合し、かつてウクライナ経済の約6分の1を占めた東部地域での紛争を扇動した後、ウクライナの国内総生産(GDP)は昨年7.5%縮小した。数十億ドルの資金がウクライナから流出した。
 
 国庫はほとんど空っぽで、外貨準備は1カ月分の輸入しか賄えないところまで減少している。不良債務が膨らむ中、ある外国人投資家は、ウクライナの銀行システムの状態を壊滅的と呼んでいる。
 
 アルセニー・ヤツェニュク首相率いる政府は、4年間で175億ドルに上る国際通貨基金(IMF)の新たな救済に関する実務者レベルの合意――2週間前にウクライナ東部の直近の停戦が調印されたのと同じ日に結ばれたもの――が状況を安定させてくれると期待していた。
 
 だが、停戦はまだ実行されておらず、最初のIMFの資金は3月まで届かない。投資家たちは、IMFの支援では不十分なのではないかと心配している。
 
 ウクライナのナタリー・ジャレスコ財務相は、救済は「GDP比で見ればIMF史上最大級のプログラムだ」と反論する。米国務省での職務経験があり、ファンドマネジャーとして働いたこともあるエネルギッシュなウクライナ系米国人のジャレスコ氏は、市場は何が可能で何が必要かということを過大評価していたと言う。
 
 「我々が受けた支援は、他の条件がすべて同じであれば、信頼を取り戻すのに十分なものだと確信している」とジャレスコ氏は言う。「肝心なのは、外貨準備を再び築くこと、銀行システムへの信頼を回復することだ」
 
 米国、欧州連合(EU)、世界銀行などは、さらに数十億ドルの資金でIMFの融資を補完する予定だ。ウクライナは、債券保有者との債務再編でも「最大150億ドル」を確保することを目標にしている。

改革の痛み

 だが、信頼回復は救済だけの問題ではない、とジャレスコ氏は本紙(英フィナンシャル・タイムズ)に語った。それは、法の支配を強化すること、蔓延する汚職に対処すること、事業環境を改善することであり、同氏の言葉を借りるなら、「ここで正真正銘の変化を生み出すこと」だという。
 
 そうした改革は、ヤヌコビッチ氏を追い出した抗議者たちが要求していたものであり、今、国際的な貸し手が条件としているものだ。だが、戦争と経済不振のせいで、改革を達成するのはより一層困難になっている。
 
 喫緊の優先課題はエネルギー部門だ。ウクライナでは、国営の独占ガス配給会社ナフトガスが今もコストを大幅に下回る価格で家計にガスを供給している。この事実上の補助金がウクライナの財政赤字を拡大させ、不正なサヤ取りの機会を作り出している。
 
 IMFの圧力を受けて、ウクライナは昨年、国内ガス価格を約50%値上げした。値上げは消費者にエネルギーを節約するよう促した。これはもう1つの優先課題だ。
 

一般市民に届かない支援

 だが、ドル建ての収入という点で、フリブナの下落はガス料金値上げの効果を相殺してしまった。政府は今、ナフトガスが2017年4月までにコストを完全に賄えるよう、さらなる値上げを公約している。
 
 最も貧しい消費者は的を絞った補助金によって守られるはずだが、2月26日の抗議行動に参加した多くの年金生活者は、コストの上昇と通貨下落でそうした恩恵が帳消しになると不満を述べていた。
 
 教師で抗議行動のまとめ役を務めるユリ・ペレンチェクさんは、「IMFや西側からのこうした数十億ドルの"支援”は、どれも我々一般市民のところには届かない」と言う。
「非常に多くの仲間が次々に倒れている」前線から戻ったばかりの35歳の兵士コンスタンチンさんはもっと絶望的だ。
「フリブナと我々の経済全体が崩壊しつつあるのが分かる」



3.11フクシマ行動にドイツ・ゴアレーベンから連帯のメッセージ

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3.11フクシマ行動にドイツ・ゴアレーベンから連帯のメッセージ


3.11反原発福島行動にドイツから力強いメッセージが送られて来ました!!

3月14日には、ゴアレーベンのダネンベルク市で連帯デモ



     
ケアスティン・ルーデック(ゴアレーベン核廃棄物処分場建設反対同盟)
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日本で反原発運動を闘う親愛なる仲間のみなさん!

原発事故から4周年の3・11反原発福島行動15にたいして、私たちは心からの連帯の挨拶を送ります。

4年前、福島第一で原発が次つぎに爆発しました。あのとき私たちは、どうしていいのかわからずただただテレビの画面に釘づけとなりました。

それ以来、多くのことがありました。私たちが知り合ったのも、11年3・11のあとからです。それは定期的な関係に発展しています。私たちは反原発・反核の闘いにおいて、いくつか違いはあるけれど、それよりもじつに多くの共通点があることを確認しました。そして私たちは、同盟を結びました。

私たちは原子力の危険性とその背景について人びとに明らかにする作業をともにおこなっており、またともに街頭に出て公然とデモをおこなっています。それをとおして私たちは、私たちが核にたいして反対であること、そして全世界のすべての核施設は即時停止されるべきことを訴えています。

私たちは、メールでやりとりをするばかりでなく相互に訪問しあいました。これは、国際連帯の具体的実践であり、とても大切なことです。

4年前の絶望と恐怖の中から今では確信が生まれています。その確信とは、原子力産業の厚顔無恥な所業にたいして行動を起こし闘うことは大きな意味があること、やればやっただけのことはあるということです。

私たちの共通の体験は、私たちに力を与えてくれています。裁判で負けたとき、原子力村がまた新たな策動を始めたとき、そういう辛いときに、私たちはあなた方のことを考えます。また私たちの共通の闘いの歴史に思いを馳せます。これは、私たちに核なき世界のために闘う勇気と力を与えてくれます。私たちのために、私たちの子どものために、そしてきたる4万世代の人類のために、核なき世界を!

私たちは、2011年3月11日に福島で起きた原発事故にたいして今こそ日本政府が責任を取るべきだと思います。責任を取るということは、汚染された地域からの避難・疎開を組織し、被害を受けた住民にたいする適切な賠償をおこない、そして原子力というものが制御できないものだと認めることです。日本の原発はもはや1基たりとも再稼動させてはなりません。私たちは過去を変えることはできません。しかし、人類にたいする犯罪が繰り返されないよう力を尽くすことはできるし、またそうしなければなりません。それによってガンになった子どもたちが一人として元気になるわけではありません。でも、それこそが、福島の犠牲者にたいして私たちが示すべき人間的態度であり姿勢なのです。

2015年3月14日の15時、ゴアレーベンの私たちは、核・原子力施設の停止のために闘う日本の反原発運動のみなさんと連帯して、ゴアレーベンのダネンベルク市においてデモをおこないます。日本で、ドイツで、ヨーロッパで、そして全世界で核・原子力施設は停止されなければなりません。
福島を忘れるな! 福島は終わっていない!
福島は警告する!:原子力施設をただちに停止せよ、と。

2月22日、ゴアレーベンにて









《ゴアレーベン関連記事》





駅まで送ってもらい、新聞を買ってくると言って帰ってくると、その新聞には診療所へのカンパをしたという記事が。
粋なはからいがこんなところにも。

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【法政大学 学生運動】◆武田君裁判  最終弁論

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エセリベラリスト田中優子総長・法大当局と公安警察の醜い癒着



◆武田君「無期停学処分」撤回裁判
 第9回弁論(最終弁論) 3月13日(金)11時半~
※「東京地裁615号法廷」にて
※傍聴券配布のため、開始30分前までに裁判所入口脇に集合してください。


これまでの裁判の流れについてはコチラ 
http://08bunren.blog25.fc2.com/blog-entry-1042.html

今回は少々文量がありますが、武田君が前回の「暴行」でっちあげ裁判において行った最終意見陳述を全文掲載します。安倍による大学の戦争動員と田中優子をはじめとする既成左翼による総翼賛体制の構築を弾劾する内容になっています。是非お読みください。


【裁判スケジュール】

武田君「暴行」でっち上げ裁判
 第9回公判(判決)   3月18日(水)13時半~
※「東京地裁429号法廷」にて。
※傍聴券配布のため、開始30分前までに裁判所入口脇に集合してください。






2015年2月23日  武田 雄飛丸

私は無実である。「無罪判決」以外にはありえない。
本事件は、法政大学・田中優子総長と国家権力=警視庁公安部が結託したデッチあげの政治弾圧であり、その狙いは、法大闘争をはじめとする全国学生運動への攻撃だ。今や大学は、戦争へ突き進む安倍政権にとって最も重大な焦点と化している。
田中優子に代表される既成「左翼」は、「反戦・反安倍」を騙りながら、キャンパスでは「大学の戦争協力阻止」を掲げて闘う学生を弾圧し、安倍の先兵としての本性を露わにしている。私はなんとしても本公判で無罪をかちとり、法大闘争と全国学生運動の爆発で田中優子と安倍を串刺しにする決意である。

時代は戦争へと向かっている。安倍政権による侵略戦争国家化攻撃が、今通常国会における集団的自衛権行使関連法(安保法制)制定と憲法改悪(9条破棄)というかたちで、推し進められようとしている。本事件の「政治弾圧」としての本質は、この事実を抜きにして語ることはできない。
「08年リーマン・ショック」以来の世界大恐慌が深まり、アメリカを先頭とする大国間の市場争奪戦が激しさを増し、それは「中東(イラク・シリア)」「ウクライナ」「東アジア」で現実の戦争として火を噴こうとしている。いや、現実に、もうすでに戦争は始まっている。「日本人人質事件」を口実に、安倍政権は「テロ撲滅」「邦人救出」を叫んで、「有志連合」の中心で自衛隊の海外派兵と武力行使にのめり込もうとしている。
戦争とは、自国の労働者民衆を兵士としてかり出し、ほんの「1%」の資本家や政治家の利益のために他国の民衆と殺し合わせることだ。安倍の唱える「国民の生命と安全を守る(ために戦争をやる)」など大ウソだ。戦争とわれわれの生命は根本的に対立する。安倍がいかに労働者民衆の生命と尊厳を踏みにじっているか、それは福島を見れば、沖縄を見れば、そして非正規職に突き落とされる青年の現実を見れば一目瞭然ではないか。
安倍政権は戦争をやろうとしている。大学がそれに全面加担しようとしている。そして、戦争に反対して闘う労働者・学生の運動を暴力的につぶそうとしている。ここに本事件の本質がある。私は、全世界で大失業と戦争に抗して立ち上がる数千万数億の民衆と連帯・団結し、この弾圧を必ずうち破る。

1月16日、『産経新聞』が一面で「東大軍事研究解禁」と大々的に報道した。東京大学の濱田総長は、「軍事研究原則禁止」とする教職員組合との協定を事実上破棄し、「軍民両用技術研究を容認する」旨の声明を発した。これは、昨年5月に防衛省から軍事研究の協力要請を受けた東大が、上記協定を理由に拒否したことを考えると極めて大きな転換だ。背景には、安倍政権が「成長戦略」の一環として掲げる「大学改革」、そして一昨年12月に閣議決定した「大学の軍事研究の有効活用をめざす国家安全保障戦略」、そして昨年の「7・1閣議決定(集団的自衛権行使の容認)」という国家意思がある。「戦争のできる国づくり」へ向け、大学の戦争動員が本格化しつつあるのだ。
安倍の「大学改革」は、本年4月から施行される改定国立大学法人法および改定学校教育法により、いよいよ全面的に具体化される。その中身は、人事権の剥奪などによる「教授会自治」解体と総長権限強化だ。また、2004年の国立大学法人化により、国立大学は経営協議会の「2分の1以上」を学外者とすることが定められていたが、これも「過半数」を占めるように変更された。これにより、国家と独占資本による大学支配がよりストレートに貫徹されるようになる。
さらに、昨年9月2日付の『東京新聞』は、「文科省が同省の審議会である『国立大学法人評価委員会』での論議を受け、国立大の組織改革案として『教員養成系、人文社会科学系の廃止や転換』を各大学に通達した」と報道した。要は、「お国のためにならない」あるいは「金にならない」学問は切り捨てろということだ。まさに「戦時体制への移行」とも言うべき事態に他ならない。

また、私立大学においても助成金が削減されて大学間競争が激化する中、文科省は「トップ型」と「グローバル化牽引型」からなる「スーパーグローバル大学」に、法政大学を含む37校を選出。2023年までの間に一大学あたり最高約4億2千万円の補助金を毎年支給するとしている。「グローバル化」の美名の下、「大学改革」を競わせ、国家の意向にどの程度沿っているかに応じて大学を階層化することで、私大をも強力な国家統制下に置こうという狙いだ。
こうした中、防衛省は今年、過去最大の5兆円もの防衛予算を計上し、その内の約20億円を「大学と連携して最新の軍事技術開発を行うための基金制度創設」にあてることを発表した。たたでさえ教育への公的支出がいわゆる「先進諸国」最低クラスの日本で、ますます大学教育への予算を削る一方、軍事費を膨大化させ、軍事研究に協力しなければ大学間競争に生き残れない構造がつくられようとしている。今回、「軍事研究原則禁止」を明文化していた東大が転向したことで、戦後大学で根強く守られてきた「軍事忌避」の伝統が一挙に崩されようとしていることも、この構造の成立に拍車をかけるだろう。

「大学の戦争動員」は軍事技術開発という面のみならず、学生を兵隊として戦場へ動員する人的資源の確保の面からも狙われている。昨年9月3日付の『東京新聞』で、文科省の有識者会議である「学生への経済的支援に関する検討会」において、メンバーの前原金一が「放っておいてもなかなかいい就職はできないと思うので、防衛省などに頼んで、1年とか2年のインターンシップをやってもらえば、就職というのはかなりよくなる。防衛省は、考えてもいいと言っています」と、いわゆる「経済的徴兵制」導入を提言したことが報道された。彼が経済同友会副代表幹事・専務理事、かつ日本学生支援機構委員でもあることは非常に示唆的だ。30~40年前と比べ私立大学で3~4倍、国立大学では50倍以上にも達する学費暴騰につけこみ、奨学金が悪質な「貧困ビジネス」と化している現実。若者の約半数が非正規雇用を強制される中、奨学金返済滞納者が10年間で約3倍にも増加している現実が戦争に直結しており、またそのためにこそブルジョアジーによって意識的につくられてきたということだ。

今や戦後大学の、「戦争協力への反省」を原点とし、そのために「大学自治」と「学問の自由」を重んずるとしてきた在り方は決定的に変質しようとしている。「学問の自由」は、「大学の軍事研究協力」への根拠となり、「大学自治」は経営協議会や理事会を通じた国家と独占資本による独裁を意味するようになった。
田中優子が「『大学の自治』と『思想信条の自由』を尊重してきた」などと自画自賛する法大の現状が、そのことを何よりも雄弁に物語っている。安倍の戦争政治を、実際にキャンパスで翼賛・推進しているのが彼女に代表されるエセ「リベラル」なのだ。

「反戦・反安倍」を掲げる田中優子は昨年4月に総長に就任して以来、各種メディアで「非正規職の増大」や「格差拡大」をまるで「グローバル化」という名の自然現象であるかのように言いなし、大学はこうした現実に対応すべく「世界のどこでも生き抜けるグローバル人材を育てるために自らもグローバル化しなければいけない」と主張し続けてきた。「大学・学問とはいかにあるべきか」という問いや、学生を取り巻く現状への批判的視点は当然皆無である。それは安倍の「大学改革でグローバル人材を育成し国際競争力強化を行う」という主張と完全に同一であり、要するに、学生を新興国並みの雇用と労働条件を甘受する「安価な労働力商品」として育成することで、大学・教育を日本資本主義の救済手段にせよと訴えているのだ。これは前原の前記「提言」が示すように、「学生の戦争動員」「大学の戦争協力」とも一体の政策だ。
すでに述べたとおり、田中優子は昨年7月の『法政大学グローバルポリシー』制定など、「大学改革」を推進することで文科省から「スーパーグローバル大学」に認定され、多額の助成金を引き出す一方、本件弾圧を先頭にキャンパスで安倍打倒と「大学改革」反対を訴える学生を国家権力と一体で弾圧してきたのだ。

本年1月21日には、田中優子体制になって初の「情宣禁止仮処分」申し立ても行われた。「入学試験は『営業活動』であり、大学には『営業権』があるのだから、公道上であれ法大を批判する情宣は営業権の侵害」などとして、情宣の禁圧を国家権力=裁判所に懇願する田中優子の在り方こそ、「大学の戦争協力」の具体的・実践的姿だ。そもそも、大学においてすら「情宣活動(=言論の自由)」よりも「営業(=金もうけ)」が優先されるという理屈がまかり通れば、資本の価値増殖を原理とする資本主義社会において「情宣可能な場所」など存在しない。さらに今年、前記申し立てを受けての審尋で、われわれの情宣が「法大の営業権を侵害しうる」として提出された証拠の中には、全学連が大学入試センター試験で配ったビラも入っていた。ビラに書かれている内容は、「一緒に学生運動をやろう」「闘う学生自治会を復活させよう」という比較的抽象度のものであり、直接には法大当局への言及や批判はされていない。しかし、これをも「情宣禁止の根拠」とする田中優子の主張は、純然たる「思想、信条への差別」であり「情宣禁止仮処分」の「政治弾圧」としての性質を示して余りあるものだ。まさに憲法改悪の先取りであり、戦時下弾圧への踏み込みだ。

田中優子の「戦争政治の先兵」としての本性は、先日のシリアでの日本人人質事件をめぐる情勢で、よりいっそう明らかとなった。シリアでの人質事件は、安倍の帝国主義的政策が招いた当然の帰結だ。アメリカの主導する「有志連合」に加盟し、一貫してイラク・シリアへの空爆と民衆虐殺を支持してきた安倍は、1月16日からの中東・イスラエル訪問においても、石油利権をめぐっての中東侵略(=市場・資源争奪)への参入と、兵器産業振興のために、46社もの名だたる大企業を引き連れて、親米・親イスラエル諸国を歴訪し、さらにISIS(イスラム国)との交戦国に2億㌦もの資金援助を表明した。

昨年の段階で、すでに日本人2人がイスラム国の捕虜となっていることが判明していたにも関わらず、安倍は国会答弁であけすけに語っている通り、ISISとマトモに交渉すらしていない。安倍は最初から人質を見殺しにし、その死をも利用することで、今国会での自衛隊の海外派兵(中東派兵)と本格的武力行使に向けた安保法制の整備を目論んでいたのだ。

今回殺害された人質の一人が、法大卒業生である後藤健二さんであることを受けて田中優子が発した声明には、安倍の「あ」の字もない。安倍政治を批判する要素はまったくゼロだ。日頃、ことあるごとに政権への「批判的」言辞を繰り返してきたにもかかわらず、今回の人質事件の最大の原因でもある安倍の中東訪問と「人道支援」を口実としたイラク・シリア侵略戦争の加担への言及がないばかりか、ISISや事件そのものへの具体的言及すらない。せいぜい「いかなる理由があろうと、いかなる思想のもとであっても、また、世界中のいかなる国家であろうとも、人の命を奪うことで己を利する行為は、決して正当化されるものではありません。暴力によって言論の自由の要である報道の道を閉ざすことも、あってはならないことです」と述べているにすぎない。「殺害された人質の母校の総長」という立場で、「たとえ誰がどんな理由であろうが暴力はダメだ」という愚にもつかない「一般論」を述べ、最大公約数的に世論におもねっているだけだ。地球上で最も暴力を組織的に行使し民衆を殺しているのが米軍であること、それを全面的に支えてきたのが安倍政権であることを完全に棚に上げて、だ。

また、自らが行っているキャンパスでの学生弾圧を無視して、法政大は「民主主義と人権を尊重してきました」などと自画自賛したあげく、ここでも「日本の私立大学のグローバル化を牽引する大学として、日本社会や世界の課題を解決する知性を培う場になろうとしています。その決意を新たにした本学が、真価の問われる出来事にさらされた、と考えています」などと安倍の「大学改革」を翼賛し、その率先推進を宣言している。総じて声明文の内容は、「追悼の意を表す」としているが、まったくその体を成していない。後藤さんの死をも利用した法大の醜悪な売名行為であり、安倍政権の戦争政治への全面屈服の表明だ。こうした田中優子の態度は、まさにこの間、日本共産党の志位委員長が同党国会議員の池内さおりのツィッターにおける「安倍批判の内容」に対し、「政府が全力で人質解放に向け取り組んでいる時に、あのような形で発信することは不適切だ」と非難し、国会では「テロ非難決議」が1名の棄権をのぞき全会一致で採択されたことに明らかなように、人質事件を利用した総翼賛体制化の流れに連なるものだ。

田中優子は声明文の冒頭で、「本学は、後藤さんが本学卒業生であることを把握しておりましたが、極めて難しい交渉が続く中、今まで報告や発言をさしひかえていました」などと述べているが、当然法大に人質交渉を左右する影響力などない。これはただ単に、法政大学とその総長である自らがもし社会的に焦点化した際、持論の「安倍批判」を行うことが不可能なために、後藤さんの死亡が確認されるまで意図的に「沈黙」を守り続けたということだ。この声明文に象徴されるように、田中優子は人質事件発生以来、急速に「安倍批判」のトーンを落としている。しかし他方で、『翼賛体制の構築に抗する言論人、報道人、表現者の声明』に名を連ね、ますますそのペテン性をあらわにしている。もし「翼賛体制に抗する」のであれば、一言でも安倍の中東歴訪を批判してみよ、一言でも政治家・マスコミを先頭にした「テロ弾劾」の大合唱を批判してみよ、ということだ。しかし、警視庁公安部と結託してキャンパスでの学生弾圧に血道をあげる田中優子には、絶対にそんなことはできないし、毛頭やるつもりもない。法大=田中体制こそ、安倍の大学支配の最も悪質な形態だ。

今、われわれは、これまで「国家権力の介入を退けるもの」として一般的に通用してきた「大学自治」や「学問の自由」といった概念が、「大学改革」の中で逆に国家による大学支配と戦争動員の論拠にされようとしている状況に直面している。田中優子に代表される既成「左翼」は、こうした状況に与して「大学改革」には賛成だが、「改憲・戦争には反対」などとペテンを弄し、安倍の戦争政治を「左」から補完している。法大闘争はこうした「知識人」どもの欺瞞を許さない路線・団結を2006年以来の闘いで培ってきた。資本主義の最末期形態である新自由主義を対象化し、打倒対象として規定することで、資本主義の延命を許す立場に立つ限り、どこまでも腐敗していかざるをえない既成「左翼」の本質を暴きだしてきた。そして、田中優子や山口二郎(法大教授)などが提示する「お願い路線」や新自由主義イデオロギーがまき散らす「能力主義」と「自己責任論」をのりこえ、学生の「一人の仲間も見捨てない」団結にのみ依拠することで、キャンパスで大学当局・国家権力と非和解的に闘うことを可能とした。

その地平は、昨年11月に京都大学キャンパスで公安警察を摘発した京大同学会の闘いが示す通り、「闘う自治会の復権」として全国化しつつある。法大闘争の爆発、闘う学生自治会の復権こそが、安倍と既成「左翼」による大学の新自由主義化と戦争動員を粉砕する道だ。今、その反動として同学会のリーダーである作部羊平君が不当起訴され、福島大学では福大生の決起に追い詰められた福大当局・警察権力が、4周年の「3・11郡山闘争」への予防弾圧として、2月3日に学友一人を不当逮捕している。これらの弾圧は、本弾圧と完全に一体の戦時下弾圧である。

本公判は、法大当局と公安警察の醜い癒着からも示されるように、私の「暴行」事件を裁くものではない。戦争へ突き進む国家とそれに加担する大学が、それに立ちはだかる学生の闘いを暴力的に圧殺するために仕組んだ「裁判」という名の茶番だ。裁かれるべきは法大当局・警察権力だ。いま問われているのは、裁判所が戦時下弾圧に加担し、「かつて来た道」を歩むか否かということだ。裁判所が示すべき判断は「無罪」以外にありえない。裁判所はただちに公訴棄却、もしくは無罪判決を出せ!以上。


法政大学ではエセリベラリスト田中優子総長と公安警察癒着の中で警察によるキャンパス監視体制と暴力支配が常態化しているという。






おまけ


法政大学ではエセリベラリスト田中優子総長と公安警察癒着体制のもと、監視カメラによる学生監視と暴力による学生支配が横行していると言う。



法政大学構内で学生に暴行を加える謎の男たち(通称ジャージ部隊)


足蹴りしているのも大学当局職員だそうです








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