11月13日(日本時間では14日朝)、前回のタカキンの12時間後くらいにフランス・パリで銃撃・爆破事件が起こり、120~160人と思われる死亡者が出ました。
現場は劇場やレストラン、仏大統領や独外相が観戦していたサッカー場など8カ所と言われています。
大統領のオランドは「前例のないテロ」と、国家非常事態宣言を発令し、昼間も通行制限、夜間外出禁止、デモ禁止、国境封鎖、国内の労働運動・市民運動の活動家の監視と逮捕等の弾圧にはしっています。オバマや安倍も、自分たちの中東侵略戦争が原因であることに口をつぐみ「テロ弾劾」を叫んでいます。
私たちは今までも、今年1月7日の「シャルリーエブド事件」に対してこの『便り』114号・116号で「オランドも安倍もイスラム国も同じ強盗どもだ」と、事態の本質を暴露・弾劾してきました。↓
その上で、この11ヶ月の間に、闘いはより前進しています。今回の「11・13パリ襲撃事件」に対して、今日の到達地平(戦争法国会闘争×動労連帯高崎や中央タクシーのストライキ×11月日比谷集会×11月訪韓闘争)に踏まえて、事態をより鮮明にし、未来への方向性を明らかにする必要があります。
まず第一に、「11・13パリ襲撃事件」のすべては、戦後世界体制の全矛盾と、その全面的崩壊のもとで、新自由主義の侵略戦争と貧困(解雇や賃下げ、非正規職化)がもたらしたものであることを、強い怒りをもって訴えます。
今回の「国家非常事態宣言」の法的根拠は1950年代の対アルジェリア戦争の治安法(憲法)です。映画『アルジェの戦い』『シェルブールの雨傘』で描かれた体制がずっと続いている、フランス帝国主義の地肌がむき出しになったのです。(原発・核兵器を主語で言えば、フランスが始めて核実験を強行したのが1960年アルジェリアの砂漠でした。アルジェリアの独立は1958年なのにです。)
右↑がフランスの歴史的な植民地です。フランスは直近でもリビアに侵略し、今年に入っても9月27日からシリアに空爆を行ってきました。事件があった11月13日のたった1日だけでも、フランスを始め有志連合は27回の空爆を強行して多くの人々を殺害しています。
シリアでは千数百万人もの人々が戦争で生活基盤を破壊され、国内で、そして国外で難民とならざるをえない。旧宗主国であるヨーロッパに命がけで脱出している現実をつくっているのはイスラム国と共に、オバマ・オランド・安倍らの空爆です。
第二に、この襲撃事件を実行した(「声明」があったので)イスラム国の行為は絶対に許されるものではありません。
「レストランへの爆弾闘争」はかつてアルジェリアを40万人ものフランス軍が制圧し、戦前の日本軍のような残虐な支配に風穴を開ける、ほかに方法のないアルジェリア現地でのやむにやまれぬ戦いとしてありましたが今回のそれは全く違います。
今日の新自由主義の大失業と戦争攻撃に世界中の労働者が立ち上がっています。フランスの労働者もそうです。2ページの写真はフランスの原発前でフクシマにエールを送るフランスの労働者、グッドイヤー工場前での闘い、高校生の決起です。
イスラム国の行為は、彼ら彼女らが原発も戦争も無い社会を作る闘いに決起させないための、労働者階級への恐るべき裏切りと敵対で絶対に許されません。
しかもいま、フランスで欧州で、労働者民衆が中東からの移民労働者と連帯し、労働者として難民と共生しようと闘おうとしている時ではありませんか。
フランスで芽生えた決定的な共生=協働を破壊し、互いに憎しみ合うことで「1%」の金持ちたちの支配を維持させるための暴挙が今回の襲撃事件です。
第三に、偽物の「社会主義」、偽物の「共産主義」とのたたかいが決定的に重要になっています。
フランスで原発と核武装を推進し、シリア空爆を強行し、今年1月には原子力空母「シャルルドゴール」船上で戦争を煽ったオランド大統領は社会党です。 「ソ連の長女」と言われたフランス共産党は核武装や原発とはたたかいません。今回の襲撃は、労働者の闘いへの絶望から生まれ絶望を組織する暴挙です。
第四に、だからこそ希望は国際連帯闘争にあることをはっきりさせましょう。
先に紹介したフランスの反原発闘争と共に、下の写真のよ→うに、フクシマのJR東日本・郡山工場の門前にドイツ鉄道労組のクルトさんらがビラまき応援に来てくれました。2面で、11月14日の韓国・ソウルでの大統領府に迫るストライキと大闘争の写真を紹介しました。
「11・13パリ襲撃事件」は、目をおおいたくなるような凄惨な、血と硝煙の現実をつきだしています。だからこそ、これを乗り越えるインターナショナル、国際連帯を切り開く労働者階級の国際的団結こそ、全ての絶望から民衆を解き放ち、勝利への道を開きます。
とりわけ、今回の11月日比谷集会に、トルコの労働組合が参加していることには格段の意味があります。トルコは古来からアジア・中東・北アフリカ・ヨーロッパをつなぐ要衝の地です。80年代のイラン革命が労働者革命として発展する道をホメイニ=ムスリムが襲撃し血の海に沈めました。トルコ労働者との国際連帯は、それを克服し、中東の労働者階級のど真ん中に「労働者が社会を変えていく」国際的な隊列をよみがえらせたのです。
そして皆さん。下の5葉の写真、11月14日、韓国・ソウル市のど真ん中、大統領府に迫る、14万人の大デモの迫力を見て下さい。韓国・民主労総という労働組合が軸に座ることで、農民団体や市民団体が何万人も立ち上がりました。安倍やオバマが朝鮮戦争をしようとしていますが、それを阻む力が、日本の国会闘争に決起した一〇〇万決起と一体でここにあります。
フランスの空爆やイスラム国の襲撃を超えて、未来を開く闘いがここにあります。 →
第五に、こういったたたかいの基礎であり、世界中で共通な課題とたたかいこそ、「職場からのたたかい」です。
今、現実にある、低賃金や解雇、長時間労働や危険な労働、要員不足、パワハラ・セクハラなど、またそこからおこる「結婚できない・子供が産めない、育てられない」ことの課題。これは全世界共通の課題です。
11月8日、中央タクシー群馬営業所で、労働組合が24時間ストライキを実行しました。
ワンマンな会社でも、ストで業務が止まるわけです。それは、たとえ搾取されたり、不法がまかり通る職場でも、労働している間は、労働は労働者のものであることを証明しています。
そして資本と労働者との関係と、その非和解性を、職場闘争によって浮かび上がらせます。
これは、日本でも、韓国でも、フランスでも、中東でも同じです。職場(自分の立っている場)闘争こそ、世界の共通語です。
イスラム国が「フランス人が空爆しているから襲撃した」と言っても、何も解決しません。
空爆しているフランス帝国主義を倒すのはフランスの労働者人民を軸にしたたたかいです。
「11・13襲撃事件」はその主体であるフランスの労働者階級人民への攻撃です。
かつてのパリコミューンで言えば、王と教会と資本家がよってたかって、世界最初の労働者国家を破壊しました。いまイスラム国がやっていることは、あの時の教会に替わってやっているだけです。イスラム国こそ、帝国主義国と一緒になって、中東人民を虐げている元凶です。
そういった批判も含めて、国鉄(JR)闘争を先頭として、私たちの職場からのたたかいが全てを決し、戦争を止め原発を無くします。皆さん、力を合わせ闘おう!
以下は11月8日付け群馬合同労組中央タクシー分会スト突入当日の174号