Quantcast
Channel: 宝の山
Viewing all articles
Browse latest Browse all 4156

中国 「大衆路線」を実践 年18万件 集団抗議に危機感

$
0
0
 

中国 「大衆路線」を実践 年18万件 集団抗議に危機感

 
2013年8月6日 朝刊 東京新聞 
 
上海市郊外の松江区で5月4日、環境汚染を心配し、リチウムイオン電池工場の建設反対を求めて地元政府に抗議する市民ら=今村太郎撮影
写真
 
 
 【北京=白石徹】中国共産党指導部は「大衆路線教育実践活動」を本格化させている。新華社通信は四日、民生省の活動に触れ、「百人の課長は百カ所の養老施設に入って働き、千人の党員は貧しい千軒の家を訪ねている」と、活発な実践状況を紹介した。習近平政権が毛沢東時代の「大衆路線」に頼る背景には、年十八万件とされる「群体性事件(集団抗議活動)」への強い危機感があり、習政権は腐敗撲滅運動と一体化させた政治キャンペーンに乗り出した。
 
 ラヂオプレス(RP)発行の旬刊誌「中国内外動向」は、各種データなどを基に「昨年の群体性事件は少なくとも十八万件を超えている」と指摘。中国全土で毎日五百件近い抗議活動が発生していることになり、今後も増加傾向にあるという。
 
 市民、農民らによる集団の抗議活動は、これまで農村地域の土地収用をめぐるトラブルが多かった。最近は都市住民の環境保護意識の高まりもあり、化学工場の建設反対運動や企業内の労使紛争のほか、横暴な地方役人や警察の取り締まり強化への反発なども起き、抗議内容は広範囲にわたっている。
 
 また、新疆ウイグル自治区やチベット自治区に暮らす少数民族と漢族の対立も先鋭化。今年六月末には武装したウイグル族が、トルファン地区の警察署や地元政府を相次いで襲撃し、計三十五人が死亡する事件も起きた。
 多発する抗議活動を受け党最高指導部は、ウイグルやチベットに宗教対立を考慮して対応する専門チームを派遣。貧困地域には大量の党員を動員して農民らと話し合うことで、党・政府への不満を吸収しようとしている。
 
 上海の党幹部は「大衆路線で『民主化』を実現できる」と主張。「大衆は政策決定の過程に関与することをずっと望んできた。各地の指導者が大衆の意見に耳を傾け、政策に反映させれば、社会矛盾の解決にもつながる」と指摘した。
 しかし、故毛沢東主席がとなえた「大衆路線」は、中国経済を破壊した大躍進運動(一九五八~六〇年)、文化大革命(六六~七六年)を起こした「負の遺産」だ。党指導部が方向性を誤れば、大混乱に陥る恐れがある。
 
 
 

Viewing all articles
Browse latest Browse all 4156