司法取引は冤罪を生む恐るべき法案です。
国会審議はこれからです。
絶対に阻止しましょう
盗聴法、司法取引、どちらもとんでもない悪法であることには違いないのですが、中でも無実の人が罪を着せられるのが司法取引です。
周囲の人物を微罪で別件逮捕して証人に仕立て上げ、脅し、警察のシナリオに従って偽証させる。
司法取引ではそういう事がまかり通るのです。
証人は自分可愛さに警察の言うとおりに偽証してしまうんですね。
証人を脅し、偽証させた事件としては、古くは終戦直後の1949年の松川事件があります。
下山事件、三鷹事件と併せて三大謀略事件といわれています。
稀にみる大謀略事件です。
松川事件は、東北本線松川駅付近で線路の破壊工作により列車が脱線転覆。このとき機関士ら3人死亡しました。
警察は最初から国労組合員の仕業だとして、元国鉄線路工の少年を傷害で別件逮捕しました。
そして少年のささいな傷害事件を脅しのネタにしてウソの自白をさせ、一審で5人の死刑判決を含む全員が有罪、二審では4人の死刑判決と全員が有罪にされたというものです。
容疑者として国鉄労組等の組合員20人がイモずる式に逮捕されたが、結果は1963年最高裁で全員無罪。
この時に警察は取り調べ過程で「他の人の名前を言えば、お前の罪は軽くしてやる。」と持ちかけて次々に偽証させたのです。
その「誘導された偽証」が無実の人を芋づる式に逮捕する根拠になったのです。
こういう、警察と容疑者の取引が、いわゆる司法取引です。
むろんこの時には「司法取引制度」というものはありませんでした。
が、制度としては無くても警察は別件で逮捕した証人を「お前を有罪にするもしないも警察のサジ加減ひとつだぞ」とおどす手口を使うのです。
警察はそういう事をチラつかせて証人の偽証誘導したりするのです。
最近も似たような事件があました。
美濃加茂市長が業者から賄賂を受け取ったとされる贈収賄事件がそれですが、賄賂を贈ったとされた業者は、警察に別の件での余罪をチラつかされ、自分可愛さに「市長に賄賂を贈った」と偽証したそうです。
この偽証が名古屋地裁で明らかになり、証言の信ぴょう性が問題になり、美濃加茂市長は3月5日に名古屋地裁で無罪になったのです。
このように証人を別件などで脅して偽証させることは比較的簡単に出来るのです。 こんなこと絶対に許してはいけないと思います。
司法取引は冤罪を生む恐るべき法案です。
国会審議はこれからです。
絶対に阻止しましょう。
盗聴法拡大を閣議決定
「可視化」は2% 「司法取引」導入も
2015年3月14日(土) しんぶん赤旗
政府は13日、他人の罪を証言すれば見返りを得られる「証言買収型司法取引」の導入や、警察による盗聴範囲の拡大と要件緩和を柱とした、刑事訴訟法などの改悪案を閣議決定しました。
政府が導入を狙う「証言買収型司法取引」は、他人の犯罪を証言すれば不起訴や軽い求刑を行うことを、検察官が容疑者や被告との間で合意できる制度です。
対象は、汚職や横領、組織的詐欺、独禁法違反などの財政経済事件と薬物・銃器犯罪としています。
この制度は、刑事責任の免除をエサに“密告”を促すものであり、警察や検察に迎合した虚偽の証言が他人を陥れる危険をはらんでいます。「取引」を制度化することは、新たな冤罪(えんざい)の温床づくりになりかねません。
盗聴法(通信傍受法)については、現行の薬物・銃器などの組織犯罪の4犯種に加え、窃盗や詐欺などの一般犯罪9種類を対象に加えました。
現行では、通信事業者の立ち会い(監視)を必要としていますが、法案はこれを不要とし、警察施設内で警察だけの盗聴を認めるものとなっています。
政府は、同法案について容疑者の取り調べ全過程の録音・録画を義務づける「可視化」を目玉にしています。しかし、実際には殺人や強盗致傷といった裁判員裁判対象事件と特捜部などの検察独自捜査に限られ、全事件の約2%でしかありません。
わずかばかりの“可視化”を口実に、盗聴法拡大や冤罪の温床となる「証言買収型司法取引」の導入は認められません。
可視化と司法取引導入 閣議決定 冤罪の懸念根強く
2015年3月13日 東京新聞 夕刊

安倍内閣は十三日、警察と検察による取り調べの録音・録画(可視化)の一部義務づけや司法取引の導入、通信傍受の拡大を柱とする刑事訴訟法などの改正法案を閣議決定した。冤罪(えんざい)防止のために導入される可視化の対象は全起訴事件の2~3%にすぎず、捜査機関の権限の拡充が目立つ内容になっている。司法取引には新たな冤罪を生むとの懸念が根強く、国会審議ではこうした声に真摯(しんし)に向き合う議論が求められる。
法案では、警察と検察が逮捕した容疑者の取り調べを最初から最後まで録音・録画するよう義務づける。対象は殺人や強盗致死などの裁判員裁判対象事件と、検察の特捜部などが扱う独自事件のみ。目撃者などの参考人や在宅捜査の取り調べは含まれない。可視化しないで済む例外が多く規定されており、冤罪防止策として機能するかチェックしていく必要がある。施行後三年をめどに対象を拡大するか検討する。
司法取引は二つの類型を導入する。一つは、容疑者や被告が共犯者など他人の犯罪を解明するための供述や証拠の提供をすれば、検察が起訴を見送ったり、求刑を軽くしたりすることを合意できる制度(合意制度)。弁護人の同意が条件。汚職や経済事件、薬物・銃器事件などに限定し、殺人などの重大事件は外した。
もう一つは、共犯者や事情を知る人物の証人尋問をする場合、証人に不利な証言を本人の刑事責任追及の証拠として使わないという条件で証言させる刑事免責制度。
いずれも、取引によって得をしたいがために他人の犯罪について虚偽供述をする恐れがあり、新たな冤罪を生む可能性が危惧されている。
電話やメールなどの通信傍受は現行法では薬物・銃器事件など四種類の犯罪に限られているが、改正法案では組織性が疑われる詐欺・恐喝や強盗・窃盗、児童ポルノなどを追加。これまで必要だった通信事業者の立ち会いなしでも可能になる。現在は通信事業者の施設で傍受しているが、捜査機関の施設でもできるようにする。
法案には公判前整理手続きで検察官保管証拠の一覧表を被告側に交付することや、勾留された全容疑者に国選弁護人をつけることなども盛り込まれている。国会審議は四月にも始まるとみられる。

おまけ
証人の偽証を誘導したと思われる最近の事件がこれです。
美濃加茂市長に無罪判決 贈収賄事件で
3月5日14時09分 NHK