ワールドカップ開幕前、ブラジル国内がまったく盛り上がっていない
◆盛り上がっているのはスト
◆ルセフ大統領の開会宣言なし
◆ウワサは本当だった
ワールドカップ開幕前、ブラジル国内がまったく盛り上がっていない
2014年06月13日 18時27分 JST Print Article
ブラジルに入って2日が経過した。個人的には、細かいことがたくさん起こり、すでに当初の移動計画がいくつも変更を余儀なくされている。サンパウロに到着して空港バスで市内に移動し、ホテルまで荷物を引っ張って歩いていると、早速チョコレート強盗の歓迎を受けた。「チョコレート強盗」というのは人にチョコレート(あるいはケチャップ、マヨネーズ等々)を引っかけておいて、仲間が「服が汚れてますよ」と声をかけ、親切そうに汚れを拭き取ってくれるのだ。そして、その間に金目のものが抜き取られてしまうという、南米ではかなりポピュラーな犯罪手口の一つである。中には変な薬品を引っかける輩もいる。今回は本当のチョコレートを少量かけられただけだったから良心的な方ではあったが、僕がそんな初歩的な手口で騙される訳はないではないか。あちらもプロなら、ちゃんと騙されそうな人を選んでもらいたいものである。
そんなことより大問題が発生した。発端は、ブラジルの航空会社TAM(タムではなく、タンと発音する)が予約していた便を勝手に変更してしまったことだ。たとえば、僕は現地時間6月12日(以下現地時間)にサンパウロで開幕戦を見てから、その足で空港に向かって深夜の便でサルバドールに行き、13日にスペイン対オランダを観戦するつもりだった。そうしたら、日本を出発する直前になって「11日の深夜便に変更した」というメールが送信されてきたのだ。
それでは、開幕戦が見られない!すぐに、メールでクレームは入れたものの、電話のコールセンターはブラジル国内からしかかけられない番号になっており、日本には対応できる代理店はない。しかたなく、サンパウロ在住の同業者に連絡を依頼したものの、コールセンターの電話は全くかからない状態だというのだ。結局、サンパウロ入りした10日になって、「13日早朝の便に変更した」というメールが来て一件落着。そして、TAMは12日の夜のホテルも手配してくれたのだ。こうして、12日の深夜移動がなくなり、今回の旅行中で最も豪華なホテルに泊まれることになりそうなのである。ラッキー!と、良かったんだか、悪かったんだか……。今後も予定変更の連続になることだろう。ちゃんと、予定している18試合を全部見られるのかどうか……。
さて、そんな個人的なことを長々と述べてもしかたがない。こちらに着いての一番の驚きは、ワールドカップがまったく盛り上がっていないことだった。たとえば、普通、こういう大会があると空港には盛大に歓迎の飾りつけがなされていて、市内までの道路の両側には参加各国の国旗が翻っているものである。そして、地下鉄の駅にも、街の商店にもワールドカップ関連のグッズが溢れているはずだ。だが、ここにはそういうものが一切ないのだ。広告看板に多少はワールドカップ関連のものがあり、テレビでは関連番組がいくつも流れているが、それは開催国でなくても同じこと。ドイツ在住の日本人記者に聞いたら、ドイツ国内はワールドカップ関連の飾りつけでいっぱいになっているそうだ。日本でも、ワールドカップは盛り上がっているではないか。
到着早々、開幕戦が行われるアレーナ・コリンチャンス(大会期間中は「アレーナ・デ・サンパウロ」と呼ばれる=クラブ・ワールドカップの期間中は日産スタジアムが「横浜国際総合競技場」に戻るのと同じだ)。スタジアム周辺だけは警備の警官も配置され、見物客で賑わっていたので、確かにワールドカップらしい雰囲気だった。だが、街に戻って来るとやはり何もないのだ。そんな街を見て、僕はサッカーの人気が無いアメリカ合衆国で、開かれた1994年のワールドカップを思い出した。あの時も、スタジアム周辺だけが盛り上がって、街中を歩く人たちは「何か、サッカーの大会をやっているみたいだ」程度の感覚だった(全然知らない人も多かったはずだ)。サンパウロが、そんな雰囲気なのである。
ワールドカップ開催反対デモが行われ、そのデモが教育や医療の充実を目指すものである以上、人々は大っぴらにワールドカップ開催を支持するような言動はとれないのだろう。サッカーに関心が無い(なかった)アメリカ合衆国での話なら仕方がないのだが、本来なら世界で一番サッカーが好きな国民の一つであるはずのブラジル人が、ワールドカップに対してこのような態度を取らざるをえないのは実に悲しいこととしか言いようがない。32ヶ国参加と肥大化したワールドカップ。1990年代までとは違って世界中のサポーターが詰めかけるようになったワールドカップ。規模も大きくなりすぎ、テレビ放映などに関連する技術的な要求も高まるばかり。そして、交通や宿泊のインフラの整備の後れも顕著。スタジアムを含めて、空港、道路整備などは未完成のところが大半となっている。
いや、最初に僕個人の例として挙げたTAM航空の対応などを見ていると、ハード面での遅れだけでなく、システム的にも「ブラジルにはワールドカップを開催する能力が本当にあったのか?」という問題にもなるのだ。まあ、その結論は一ヶ月間の大会が終了してからにしたいが、あまりに巨額のお金がかかりすぎることで、あのサッカー好きのブラジル人から反発を買うような大会になってしまったのは確かである。今後、FIFAは先進諸国だけで開催するようにするのか、あるいは発展途上国でも開催できるように、規模を縮小したり、たとえばブラジルでは全く必要のない近代的なスタジアム建設を要求したりしないようにするなどの対応が求められる。
まあ、もっとも、オリンピック開催に対して反対運動を行うことができなかった北京やソチの市民に比べたら、反対運動をあれだけの規模で起こせるわけで、ブラジルがBRICsの中では民主的なことだけは間違いないようである。そういえば、東京でも2020年にオリンピックが開催されることが決まっている。そして、まったく不必要というかむしろ邪魔だとしか思えない巨大な屋根に包まれた新国立競技場の建設には、現在の段階でも1700億円という巨費が投じられるのだ(ちなみに、アレーナ・デ・サンパウロの建設費は300億円程度だと聞く)。
2020年のオリンピックを、今回のブラジル・ワールドカップと同じように東京都民にソッポを向かれる大会にしてはいけない。ブラジルのことを揶揄するだけでなく、日本人は今回のワールドカップの問題を自らの問題として考えなければならないのだ。
(2014年6月12日「後藤健生コラム」より転載)
ワールドカップとホームレス 画像集







盛り上がっているのはスト
2014年6月11日 時事ドットコム

ワールドカップ(W杯)ブラジル大会開幕の約1週間前にサンパウロ入りした。もうかなり盛り上がっているのだろうと想像してワクワクしていたのだが、そうでもなかった。町の中心部を歩いてみても、ブラジル代表の「カナリア色」のユニホームやグッズなどを身にまとう人をほとんど見かけない。6日にはブラジル代表の本番前最後の強化試合が行われたのだが、テレビ放映しているバーでセルベジャ(ポルトガル語でビール)を傾ける人々は、至極冷静に画面を眺めていた。
代わり(?)に盛り上がっているのは、地下鉄職員のストライキ。筆者の宿泊ホテル近くの駅は封鎖されて、ここを通る路線は部分運行となっており、不便この上ない。別会社で通常運行している路線に利用客が殺到し、駅によっては身動きがとれないほどの混雑になる。道路も大渋滞だ。ブラジルは労働組合が強いと聞いたが、それにしても、このタイミング。会社を脅かすだけでなく、よりによって「サッカー王国」の人たちがW杯の開催に打撃を与えるようなことをするとは。約2億人も国に人がいればサッカーに興味のない人がいるのは当然と言えば当然かもしれないが。12日に開幕戦が行われるサンパウロ・アリーナもいまだ工事中で、本当に開幕するのかどうか心配になっている。
時事通信社運動部 水谷悠
ルセフ大統領、開会宣言せず=国民の批判恐れ沈黙か-ブラジル
【サンパウロ時事】サッカーのワールドカップ(W杯)ブラジル大会で、同国のルセフ大統領は12日、開会宣言を行わなかった。W杯主催国の首脳が、開幕戦で発言しなかったのは異例。同席した国際サッカー連盟(FIFA)のブラッター会長からもスピーチはなかった。
ブラジルでは、教育や医療に予算を使わず、W杯開催に巨額公費を投じたことへの国民の不満が高まっている。大統領が開会式で批判の声にさらされるのを、避ける狙いがあったとみられる。
ルセフ大統領は2013年6月、ブラジルで開催されたW杯のプレ大会、コンフェデレーションズカップの開会式にブラッター会長とともに出席し、観客から大きなブーイングを浴びた。(2014/06/13-08:49)
ルセフ大統領は2013年6月、ブラジルで開催されたW杯のプレ大会、コンフェデレーションズカップの開会式にブラッター会長とともに出席し、観客から大きなブーイングを浴びた。(2014/06/13-08:49)
ウワサは本当だった
ブラジルの警察は、おとといから 街の衛生と安全のため、ホームレスチルドレンを射殺し始めたそうです。ワールドカップの為に⁈ 狂ってる!

死の部隊(しのぶたい、英語:death squads, スペイン語:escuadrones de la muerte)は、主に第三世界の各国、特にラテン・アメリカで行われていた(もしくは現在も続けられていると見られる)、冷戦期には反共主義、近年では反テロなどを名目とした市民に対する暗殺作戦を実行する白色テログループの総称である。
ブラジル[編集]
ブラジルでは、1964年にこれまでの左派民族政権をクーデターで追放して、この地域で最初の官僚主義的権威主義体制と呼ばれる軍事政権が誕生したのを機に、軍部による反対派の弾圧が始まった。サンバやボサノヴァやカルナヴァルの内容までもが検閲され、多くのアーティストがブラジルを去っていった。1985年にようやく民政移管した。
また、死の部隊と呼ばれる程ではないが、大地主が人を雇って土地改革を訴える農民を暗殺させるような事件も起きている。
なお、現在では治安改善のために貧困から窃盗や強盗を繰り返すストリートチルドレンを次々と虐殺し、それに関わった子供たちを次々に殺していく暗殺組織のことを指すことが多い。これらの組織は軍警察と密接に結びついていることが多く、メンバーの中に現職の警官も含まれている。ストリートチルドレンの窃盗や強盗の被害にあった店主が軍警察警官に「掃除」と称して彼らの殺害を依頼しているパターンが殆どである。