子育て支援員:創設へ…保育士を補助、育児経験者求む
毎日新聞 2014年05月30日 19時47分
政府は育児経験がある主婦らを対象に、不足している保育士をサポートする新たな公的資格「子育て支援員(仮称)」を2015年度に創設する方針を決めた。15〜25時間程度の研修で取得できるようにする。田村憲久厚生労働相は30日の記者会見でこうした考えを明らかにし、待機児童の解消などに向けて活用していく考えを示した。
研修は国の指針に沿い、都道府県や市町村が実施する。希望者は10時間程度の共通研修を受け、事業所内の保育所や定員19人以下の小規模保育、一時預かりといった現場で保育士を補助する場合、10〜15時間程度の追加研修が必要。放課後児童クラブ(学童保育)や、乳児院・児童養護施設で働く場合は、5時間程度の追加受講で補助的な職員として活動できる。育児経験は不可欠ではない。支援員の経験は保育士の資格試験に必要な実務経験とみなす。施設が置かねばならない保育士数(配置基準)には数えない。
放課後教室を倍増、女性就労促す 政府が子育て支援案
2014/5/29 0:30日経新聞
職場で活躍する女性を増やすため、政府の成長戦略に盛り込む子育て支援案が出そろった。小学校の「放課後教室」を2万カ所に倍増するほか、子育てを終えた主婦などを対象に新たな保育資格の制度をつくる。企業には役員の女性比率の開示を義務づけ、登用を促す。安倍晋三首相は今後の経済の下支えには女性の活躍がカギとみて、取り組みを加速する。
政府は28日に産業競争力会議(議長・安倍首相)を開き、女性の活躍推進に向けた主な成長戦略案をまとめた。6月に改定する新戦略に盛り込む方針だ。税制など制度の見直しについては議論を継続する。安倍首相は会議で「税制、社会保障制度、配偶者手当について議論するための場を諮問会議に設ける」と述べた。
女性の育児の負担を減らして就労を促すため、政府は子どもを預けられる体制の整備に取り組む。厚生労働省は、主に小学1~3年生の児童を放課後に預かる「放課後児童クラブ(学童保育)」で受け入れ枠を拡大する。今は約90万人だが2019年度末までに約120万人に増やす。
厚労省が調べたところ、潜在的な学童保育の需要は全国で30万人分に上った。幼稚園の空き教室や賃借物件を活用してクラブに使える施設を増やしたり、開所時間を延ばしたりして希望する子どもが利用できるようにしたい考えだ。
また文部科学省は小学校の教室などを開放して勉強や文化活動ができるようにする「放課後子供教室」を実施している。クラブの拡充と連携しながら、実施する小学校区を国内の全約2万カ所に倍増させる。
ソフト面での子育て支援も強化する。育児経験を持つ主婦などを対象にした保育資格「子育て支援員(仮称)」を15年度につくる。小規模保育(ミニ保育所)や一時預かり、事業所内の保育室で仕事ができるようにする。保育士の資格が取りやすくなるように検討し、保育士の確保につなげる。
働いている女性の活躍を促す仕組みも整える。上場企業には有価証券報告書で役員の女性比率を開示するように義務づける。女性が社内でどれだけ活躍できているかは中長期的な競争力を図るのに役立つものとして投資家から注目されているとされる。情報を開示して投資家らからの評価を受けることで、女性の登用の促進につなげる。
28日の会議では放課後児童クラブの拡充など予算を獲得しやすい施策は打ち出された一方、例えば待機児童の原因になっているとされる保育士不足に対する抜本的な解決案は示されなかった。成長戦略を議論するという面からはちぐはぐさもうかがわせた。
配偶者控除や第3号被保険者の見直しといった働き方に中立な税制については、引き続き議論するとした。妻の収入が103万円を超えた場合、夫の控除が減る配偶者控除などは妻が就労を手控える効果があるとされ、安倍首相は3月に幅広く見直しを検討するよう指示していた。主婦のいる世帯にとっては負担増につながる可能性があることから見直しには慎重な意見も出ている。