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武器輸出 実質解禁 平和国家が紛争助長も

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武器輸出 実質解禁 平和国家が紛争助長も

2014年4月2日 07時01分
 
 政府は一日の閣議で、武器や関連技術の海外提供を原則禁止してきた武器輸出三原則を四十七年ぶりに全面的に見直し、輸出容認に転換する「防衛装備移転三原則」を決定した。武器輸出の拡大につながる抜本的な政策転換で、憲法の平和主義の理念が大きく変質する。日本でつくられたり、日本の技術を用いた武器弾薬が海外で殺傷や破壊のために使われ、紛争を助長する恐れもある。
 
 小野寺五典防衛相は一日の記者会見で、新たな三原則の閣議決定を受け「従来の三原則に抵触する可能性を抜きに、さまざまな検討ができる環境になった」と武器輸出の実質解禁を宣言した。
 
 新原則は(1)国連安全保障理事会の決議に違反する国や、紛争当事国には輸出しない(2)輸出を認める場合を限定し、厳格審査する(3)輸出は目的外使用や第三国移転について適正管理が確保される場合に限る-と定めた。足かせが多いように見えるが、政府統一見解で輸出を原則禁じ、例外として限定的に許可してきた従来の三原則からの大転換。一定の審査を通れば輸出が可能な仕組みになり、重要な案件は国家安全保障会議(日本版NSC)が非公開会合で可否を最終判断する。認めた場合には適宜、公表するという。
 
 防衛省によると、新原則で禁輸対象となる「国連安全保障理事会の決議に基づく義務に違反する」のは十二カ国。従来の原則から紛争の「恐れのある国」との表現を削除した「紛争当事国」は現時点で該当国はない。輸出の審査基準も「わが国の安全保障に資する場合」などと曖昧で、政権側の都合で拡大解釈される懸念が強い。
 
 武器輸出の解禁は、安倍晋三首相が強い意欲を示す集団的自衛権の行使容認に向けて、同盟国の米国や友好国と共同開発や技術協力で軍事的な連携を強める狙いもある。小野寺氏は「共同開発に積極参画できる」と言う。
 
 首相は二〇〇六年に発足した第一次政権時から、将来的な改憲を意識。約一年の在任中、防衛庁の省昇格や国民投票法の制定など、安全保障体制を強化する政策を実行した。
 五年ぶりに政権復帰すると、米国などと機密情報を密接に交換するための日本版NSCをつくり、情報漏えいへの罰則を強化する特定秘密保護法も制定した。武器輸出解禁で安倍政権の安全保障体制強化の取り組みがまた一歩進み、次の目標は集団的自衛権の行使容認に移った。
 
<従来の武器輸出三原則> 佐藤栄作首相が1967年、(1)共産圏(2)国連決議で禁止された国(3)国際紛争の助長の恐れのある国-への武器輸出の禁止を国会で表明。76年には、三木武夫首相が三原則の対象地域以外も「『武器』の輸出を慎む」として原則禁止にした。原則禁止のため、武器輸出は個別の事例ごとに、政府が官房長官談話などで例外的に認めてきた。
(東京新聞)
 
 
 
 
 
 
 

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