「ストップ!秘密保護法」百万人署名運動が集会とデモ

はじめに、主催者あいさつをかねて国会報告に立った西川重則さん(百万人署名運動事務局長)は、特定秘密保護法は戦後最大の悪法だと厳しく弾劾した。また、日本版NSC法案が何の問題も追及されずにあっという間に衆議院を通過したこと、日本版NSCの議事録は公開されないと居直っていることなどを鋭く糾弾した。そして、「戦争は国会から始まる。憲法第41条で国会は唯一の立法機関とあり、国民の立場で立法が行われなければならないのに、まったくそうなってない。すでに改憲が進んでいる。戦争絶対反対の原点に立って、改憲絶対反対で闘い抜こう」と訴えた。

刑法学者で、秘密保護法反対声明の呼びかけ人にもなっている新屋達之さん(大宮法科大学院大学教授)がゲスト発言。新屋さんは、「秘密保護法は“違憲の総合商社”だ。例えば国会議員が内部情報を得て、その特定秘密は国家による違法行為だと暴露したら、それ自身で逮捕の対象になる。そうなると、国会の最高機関性も国政調査権も揺らぐ。また、適性評価のチェックはその周辺部分にも及ぶわけで、その人たちの思想・良心に及んでくる。さらに、刑事裁判になれば、まったく不平等な裁判になってしまう。つまり、現行憲法と根底的に相いれないもの」と警鐘を乱打、「ガサ入れや逮捕が簡単にできてしまうことが恐ろしい」と訴えた。

集会の基調報告を百万人署名運動事務局の川添順一さんが行った。安倍政権の本音は戦々恐々だ、秘密法とNSC法はワンセットの“戦争国家法”だ、秘密法の狙いは公務員労働運動つぶしにあることを提起した。そして、改憲と戦争への道を許さない大激突の時代が始まった、秘密法阻止の手をけっして緩めず、「1%」に対して「99%」が団結して立ち向かおうと呼びかけた。
最後に、弁護士、公務員労働者、国鉄労働者、大学生がリレーアピール。森川文人弁護士は、法案に「その他」がつく条文が36もあり、なんでもできるようにつくられていることを暴露した。江戸川区職の佐藤賢一さんは、「公僕ではなく公務員労働者として断固反対する。秘密法は組合活動の根本を破壊するもの」と弾劾した。
動労千葉の滝口誠さんは、国鉄闘争で労働運動を甦らせ、この社会を変革する力をつくると宣言した。首都圏の大学から参加した学生は、「いま声をあげなければ取り返しのつかないことになると思って、大学の授業を休んでここに来た」と語り、自分の大学で学生の運動をつくると表明した。
最後に、福島から参加した長沢宏さんが、福島県民の怒りを代表して25日の福島公聴会弾劾闘争を闘う決意を明らかにし、来年3・11に大集会を開催することを予告した。
1時間ほどの短い集会だったが、内容の豊かさがよく伝わり、闘いの意欲が高まる集会だった。勢いのあるデモ行進は、テンポの良いコールが響き渡り、新橋駅前では労働者の圧倒的注目を浴びた。(T)
アメリカの国家安全保障局(NSA)はCIAを3倍する組織
集会の基調報告紹介
「とめよう戦争への道!百万人署名運動」が主催した「STOP!特定秘密保護法 11・22集会」(記事2面)で、事務局の川添順一さんが行った基調報告を紹介します。(編集局)
昨日、日比谷野音で秘密保護法反対の大集会が開催され、主催者発表で1万人が結集しました。これは、かつてない強い危機感の表れだと思います。だいたい、なんで安倍が第三者機関の代表なんですか。そんなことやっている国は世界中どこにもありません。
今、安倍政権は一見なんでもできるように見えます。しかし内心は戦々恐々です。25日には福島で公聴会がありますが、自民党は午前10時から公聴会を行い、すぐ新幹線で戻って衆院で採決すると言っています。自公は多数だから、採決しようと思えばいつでもできるのに、何を焦っているのか。民衆の怒りと行動がどんどん膨らむことを恐れているんです。その前に通してしまえ、というのが彼らの本音です。
だからこそ、私たちは手を緩めず絶対反対を貫きます。職場、学園、地域からもっともっと怒りの渦を集めましょう!
だからこそ、私たちは手を緩めず絶対反対を貫きます。職場、学園、地域からもっともっと怒りの渦を集めましょう!
NSC設置法と一体の攻撃
秘密保護法は、単なる報道規制ではありません。まさに、国家安全保障会議(NSC)設置法とワンセットで日本を戦争のできる国にすることを狙う戦争国家法です。
『中央公論』の昨年8月号で、当時まだ野党だった自民党の石破が「国家機密の耐えられない軽さ」と題してインタビューを受けています。ここで彼は、「防諜と情報収集。この両方の基盤強化を実現する法整備は、わが自民党に課せられた課題」と言っています。すなわち秘密保護法が防諜で、NSCが情報収集の司令塔機関です。
この日本版NSCは、アメリカ・ホワイトハウスのNSCをまねたものです。首相、官房長官、外務大臣、防衛大臣で構成され、そのもとに国家安全保障局を置きます。
アメリカの国家安全保障局(NSA)はCIAを3倍する組織で、年間予算は1兆800億円。世界に80カ所も拠点を置き、日本の三沢基地にもあります。3万人以上のスタッフがインターネットや電話回線を通じて情報を収集する。元CIA職員のスノーデン氏の内部告発で暴露されたように、米国内でひと月に30億件、全世界で970億件の盗聴を行っていた。みなさんが使うメールなどに侵入し、片っ端からキーワードを拾っていくんです。
それを日本版NSCのもとに置かれるNSAでもやるということです。憲法違反であると同時にすさまじい戦争国家化のための法整備です。
労働者の力で改憲阻止を!
さらに、秘密保護法の重大な狙いは、公務員に対する攻撃です。
JR東海会長で安倍の諮問機関・安保法制懇のメンバーである葛西敬之が、10月6日付読売新聞朝刊の1面、2面で秘密保護法案の意義について「この法案の画期的な点は2点。その第一は、敗戦以来、初めて、公務員は『国家』『国益』『国民』のために存在、機能するという位置づけがなされたことである。……さらに画期的なのは『適性評価』の導入である」と語っています。
JR東海会長で安倍の諮問機関・安保法制懇のメンバーである葛西敬之が、10月6日付読売新聞朝刊の1面、2面で秘密保護法案の意義について「この法案の画期的な点は2点。その第一は、敗戦以来、初めて、公務員は『国家』『国益』『国民』のために存在、機能するという位置づけがなされたことである。……さらに画期的なのは『適性評価』の導入である」と語っています。
11月12日付朝日新聞朝刊に自衛隊の身上調査のことが載っています。隊員の交友関係や思想信条などを書かせて、うそ発見器の検査を受ける誓約書まで書かせる。秘密保護法案が通れば、公務員がこの適性評価の対象になります。国家に忠誠を誓う公務員か、労働運動をやって政府に反対している人間なのかを区別する。まさに現代のレッドパージです。
安倍をはじめ1%の支配者層は、日本の労働者民衆が団結して立ち上がることを恐れている。この間、世界中で激しくストライキやゼネストが闘われています。労働者が組合のもとに団結して政府に対抗するようになったら、秘密保護法もNSAもぶっ飛ばされる。その前に弾圧してつぶすことが狙いです。
JR東海の葛西こそ、それを最先頭でやってきた人物です。1980年代、中曽根政権のもとで葛西は「国鉄改革3人組」の一人として国鉄労働者の首を切り、国労を弱体化させ、総評を解散に追い込み、連合という財界とベッタリの御用労組をつくってきた。そういう人物が今や日本経団連・財界の最大の論客であり、経団連の次期会長とも言われています。闘いの構図がはっきりしました。彼らは労働運動の復活を恐れています。
改憲・戦争を阻止する闘いとは、闘う労働組合をよみがえらせ、職場、地域、学園などからわき上がる安倍政権への怒りの声を結びつけることです。2014年をそういう改憲阻止の大決戦にしたい。改憲と戦争国家化を打ち破る労働者民衆の巨大なつながりで、世の中を変える闘いの年にしたい。秘密保護法に反対する闘いは、まだまだこれからが勝負です。今日デモを打ちぬいて、来週以降の闘いにつなげようではありませんか。