国会会期末まで3日と迫った。
秘密保護法案の中身が知られるにつれ、弁護士、憲法学者、ジャーナリスト、人権団体、俳優、ノーベル賞学者などから、財界人、保守の立場にたつ政治家や団体などにひろがっってきた。
11月26日の衆議院での強行採決、さらに石破自民党幹事長が11月29日に自身のブログで「デモ」を「テロ」と同一視する記述をしたことが、これまで表に出なかった人も、公然と反対の声をあげることになったようだ。
「東京」3日付゜社説」
昨日2日、文化や芸術の分野で活躍する有志の「表現人の会」が、秘密保護法案について「音楽、文学などの創造的な営みや、出版、報道などのさまざまな表現活動の自由を損なう」として反対する声明を発表した。発起人代表には、音楽家の坂本龍一さん、映画監督の岩井俊二さん、作家の村上龍さんら著名人30人が名を連ねている。
「東京」3日付
また、本日(3日)も、高畑勲、山田洋次監督ら5人がよびかけ人になって、是枝裕和、宮崎駿監督など日本の映画監督や吉永小百合さんら俳優など269人が映画人やファンに秘密保護法に反対の声をあげるようアピール文を発表した。
今朝(3日付)の「朝日」の「意義あり 特定秘密保護法ワイド」では、漫画家のちばてつやさん、ジャーナリストの鳥越俊太郎さんなどに加え、元経済同友会代表幹事の小林陽太郎さん、日本チェーンストア協会長の清水信次さん、さらには新右翼「一水会」顧問の鈴木邦男さんらも登場している。
自治体首長では、「日刊ゲンダイ」3日付が、滋賀県の嘉田由紀子知事が怒っており、地方自治体にも反対の声がひろがっているという。
「東京」の2面には、自民党から新党さきがけに移り、細川政権時代に経済企画庁長官を務めた田中秀征(73)氏にインタビューが出ている。
田中氏は法案の三つの重大な問題点を指摘し、「最も恐れていることは、官僚に都合よく悪用されることだ。官僚に良識があったとしても、それが組織になったとき、省益が優先され、官僚個人のモラルは吹き飛んでしまう。官僚がやりたい政策に不利になる情報は秘密にされ、世論を一定の方向に誘導することも可能になる。民意より管意が優先され、戦後、丹念に築き上げられてきた自由と民権が窮地に陥る」と述べている。
最後では「……そして集団的自衛権の行使が容認されれば、海外での武力行使どころか、大義のない戦争に日本が参戦する道をひらきかねない」と警鐘を鳴らす。
また、世界からも、批判や懸念の声があがっている。
すでに、ニューヨークタイムズをはじめ、世界のメディアが懸念を表明していることは述べたが、昨日2日、国連の人権保護機関のトップであるナバネセム・ピレイ人権高等弁務官が、スイスのジュネーブでの記者会見で、日本の秘密保護法について「何を秘密を構成するのかなど、いくつかの要件が明確でない。」「国内外で懸念があるなかで、成立を急ぐべきではない。」と懸念を表明した。さらに「日本国憲法や国際人権法で保障されている表現の自由や情報アクセス権への適切な保護措置が設けられないまま法案を成立させることがないよう」に政府と議会に呼びかけを行う意向を示したという。
すでに先月22日には、国連人権高等弁務官事務所のフランク・ラ・ルー特別報告者が、言論の自由などを担当する特別報告者らによって同法案が「内部告発者やジャーナリストを脅かすもの」として重大な懸念を表明している。
先日の国会前デモ行進には高校生も参加していたと報道されている。
しかし、そんなことはおかまいなしに「頑固」に市民のデモを“上から目線”で敵視し続け、「民主主義への理解欠く」(「毎日」3日付「社説」)自民党幹事長。
「日刊スポーツ」3日付
「毎日」3日付
一方で、市民は、民主主義を守るために連日国会にかけつけデモを行う。
デモのプラカードの「秘密法案秘こそテロでは」「ちり紙交換もテロ?」「大きな音を出す選挙もテロ?」……説得力があるなと思う。
そういえば思い出した。
総選挙のとき、私は、ある大きなターミナルで自民党の緑色の大型の街宣車が来て、ボリューム一杯に演説していた。近くの喫茶店にいたが、店内にその大音響が響いていたが、そのときの弁士が石破幹事長だった。
私たち市民は、それを決してテロとは言わない。
「朝日」3日付
かつてなく、反対の世論と運動がひろがっている。思わぬ人々が声をあげている。
野党も、修正合意したみんなの党、維新の会も含め、7党が揃って「慎重審議」を求めて共同している。
一人ひとりの声が束となって大きくなり、一つひとつの運動が積み重なって何かを動かし始めている。
自由と民主主義は尊いものであり、決して失ってはならないものだ。
大切なものを守るために、あきらめないことが肝心である。