雨の中のタカキン。151回目。
国会前行動に群馬から参加した仲間たちから報告次々。
高校生が立ち寄り、若者グループも参加。
『原発とめよう群馬 原発事故・現状便り』142号(2015年6月19日発行2)
6月12日NHKニュースによると「2014年度の世界の原油生産でアメリカがサウジアラビアを抜いて一位になった」のだそうです。世界で約39億㌧の原油生産です。
◇アメリカ 約6・7億㌧
◇サウジアラビア 約6・7億㌧
◇ロシア 約6・3億㌧
◇カナダ 約2・5億㌧
◇中国 約2・5億㌧
◇アラブ首長国連邦 2・1億㌧
◇ベネズエラ 約1・5億㌧
日本の原油輸入は約2億㌧。 昨日(6月18日)にアメリカが利上げを決定するのかどうかで、世界中が大騒ぎとなっていました。結局、利上げを見送ったと言うことで、少しの間は株価もあがるかも知れません。
でも、核心はそこにはありません。アメリカのGDPの最新数値(15年1~3月期)で、ついに、世界中の富を集め奪うアメリカでさえマイナス成長となりました。物価上昇率と金利を考えると、相当なマイナス経済に突入したと言うことです。
「利上げをしない」のではなく、できないほど危機なのです。
ヨーロッパは「ギリシャ危機」はいまや、いつギリシャ政府が倒れてもおかしくない所にあります。
続いてはスペインが一番でしょうが、英仏独伊の危機も同じ。「ユーロ」という貨幣体制そのものの崩壊ぶくみで欧州危機がどんどん深まっています。その最初の表れが「ギリシャ危機」です。
いままでもてはやされた「新興国」こそ危ない。次期オリンピック開催国のブラジルは開催さえ危ぶまれます。ロシアも同じ。 中でも一番壮大な経済破綻をするのは中国のバブル経済破綻でしょう。
こうして世界中で経済危機と原油生産拡大で石油も余っているのです。
2012年5月5日の「こどもの日」は、約40年ぶりに日本で全原発が止まる、日本と世界のこどもたちへの最高のプレゼントの日となりました。
ところが、原子力ムラは、「原発無くても困らないんだ」という事をなんとかしてごまかすために、その2ヶ月後に強引に大飯原発を再稼働します。
でも、反原発闘争はそんなことにはくじけないで粘り強くたたかいつづけ、再度また、2013年9月15日に、日本の全原発を止めました。いえーい!
そう言う意味では、もう3年以上(大飯原発だけが再稼働した1年4ヶ月を含み)日本の電力事情では、原発からの発電には頼っていないことになります。
それどころか、「もんじゅ」で冷やし続けているばく大な電気代や、福島原発事故収束作業で使っている電気代をはじめ、発電していないが管理のために、これまた大きな電気代を払い続けている全国の原子力発電所。
発電しないどころかお荷物です。
左の図をごらん下さい。1991年からのバブル崩壊で日本の製造業は下降しっぱなし、さらにエコ家電などの技術革新と、非正規職化と賃下げによる「エコ生活」によって、1999年以来、日本の電力使用量は15年間下がりっぱなしなんです。
二酸化炭素排出量も、原発事故後に特段増えてもいません。(本当に温暖化しているのか、二酸化炭素が原因なのかはおいておきますが)
2011年3月11日の原発事故は、今までの「消費すること、捨てることは良いことだ」の、「資本の洗脳」から目ざめさせるきっかけにもなりました。
もう一方、1985年の国鉄分割・民営化と事実上セットで強行された労働者派遣法により、働く環境が激変し、青年と女性を軸として、非正規職化・外注化=低賃金化が進みました。いまや群馬では、公立学校の担任の先生が手取り年収100万円強の非正規職員に替わっていることが珍しくなくなっています。
鳥取養護学校で起こったことが「普通」になっているのです。
こうした「強制されたエコ(節約)生活」ということもあり、電気使用量が減っています。
家庭の冷蔵庫などは、二昔前に比べるとずいぶんと「省エネ」となっています。電磁鋼板の開発などで、電気の通り道の抵抗が軽減されたためです。 白熱電球のように、電気を熱に変えて照明に利用するところから、発光ダイオード(特に青)の開発で、電気を(かんたんに言えば)そのまま照明に変えることも普通に行き渡りはじめました。
それは発電も同じ。ホームセンターで1万円台で売っている自転車の発電機でさえ、発電効率は40~60%。一方、実質上の発熱/発電効率が3割もない(定検必須)原子力発電所ほど古くさい発電機はありません。
「原発」って なんだい?
(一)原始的な原子力発電
①政府や電力会社は今まで「原発」 を、クリーンで近代的と宣伝し てきました。
でもそれはウソ。原発は、自 転車の発電機程度の効率の「原 始」的なものです。
②出力百万キロワットの代表的原 発では、熱交換機140基、ポ ンプ360台、バルブ3万台、 モーター1300台、総延長1 70㎞に及ぶ配管の重量は1万 ㌧。それを動かすケーブルの延 長が1600㎞。溶接はなんと6万 5千ヶ所におよびます。
これだけの装置や配管が走り 回っているのは、ただただ原発 の原子炉を冷やし続けないと爆 発するからです。
そこまでしても、昨年3月、 地震で壊れて爆発しました。
少し乱暴に言えば、原発のど うしようもなさは、「冷却しな いと爆発(最悪の場合は核爆発 する)ことでしょう。
その対策の象徴がこの「配管」 です。それがまた、「設計図も ナシ=無視して」作られている どうしようもなさです。
これは実際にも、福島第一原 発の格納容器の内部を見るため に、東電がカメラ用の穴を開け たら、そこも、設計図にないパ イプがはしっていてカメラを入 れられなかった、というニュー スがありました。
それを作品にまで高めたのが、
『ゲゲゲの女房』の水木しげる 著『パイプの森の放浪者』です。 (右上 1979年作品)
◇原発再稼働問題で言えば、上記 の機器の何百万ヶ所もの点検を やれるはずがない。柏崎刈羽原 発は2007年の地震で壊れて います。(炎上した機器さえあっ た)10年近くほっておいた機 械を動かすわけ?しかも、沸騰 水型でも約80気圧、加圧水型 だと150気圧という、とほう もない圧力がかかる機械です。
(二)原発(軽水炉)の構造
①「軽水」とは、「重水」との対 比の言葉で、普通の水を使うの でこう呼びます。
◆軽水炉には、構造の違いで「加 圧水型」と「沸騰水型」があり ますが、最初に、その両方に共 通する点をみてみます。
②いずれも燃料には、約3%に濃 縮した酸化ウランを使います。 これを直径0.9ミリの瀬戸物 のように焼き固めます。これが「ペレット」と呼ばれるものです。
◆これを、厚さ0・6~0・9ミ リのジルコニウム合金でできた 直径1センチ・長さ4メートル の「燃料棒」に入れます。
これをお互いの隙間を3・4 ㍉とって約200本まとめたの が「燃料集合体」で、さらにこ れを200~400束ねたもの が「原子炉の炉心」です。
③燃料棒が発生する熱を3・4ミ リの隙間を走る秒速3㍍の高速 水流に移し、蒸気を作り、ター ビンを回して、発電します。
◇運転時の燃料棒の温度は260 0度。表面は340度に設定さ れています。直径わずか9㍉の 中心部と、4㍉離れた表面との 温度差が2000度以上という 綱渡りが原発です。冷却水が止 まったら数秒で燃料棒が溶け落 ちるのも当然なのです。
◆しかも、1ミリの厚さもないサ ヤのジルコニウム合金の融点(溶ける温度)は約1900度。 冷却水がなくなったら一瞬で溶 け、原子炉は空だきとなります。
④「加圧水型」と「沸騰水型」の 違い。
◆「加圧水型」は、原子炉で直接 循環する水(一次冷却水)を加 圧器と熱交換機で二次冷却水を 加熱させて発生した蒸気で発電 タービンをまわす。大飯など。
◇「沸騰水型」は、一次冷却水を 炉心で沸騰させて、そのまま蒸 気にして発電タービンをまわし ます。福島や柏崎刈原発はこれ。
(三)、原子力発電の宿命
①構造上の無理
◆11年5月の講演で元群大工学 部教授の五十嵐先生が「原発の 格納容器を作るのは不可能とわ かって、原発設計を断念した」 と言っていましたが、「3千度 の高熱、何百気圧の圧力」「何 千本もの水道管ほどの細管」な ど、そもそも構造的に無理です。
例えば、格納容器の内側の覆 いを正式名称で「シュラウド (死に装束)」と言います。セン スが良いんだか、悪いんだか…。
②核燃料サイクル
「原子力発電」は「発電炉」だ けで成り立っているのではあり ません。
◇ここでは、「入り口」と「出口」 をみます。
入り口。平均的な原発である 出力百万キロワットの加圧水型 原子炉を動かすには、年間約3 0㌧の濃縮ウランを消費します が、これは約200万㌧の岩石 を掘って約10万㌧のウラン鉱 石を得て、莫大な石油を使って 精製します。実は、ウラン鉱石 はもう石油の数分の一、石炭資 源の数十分の一しか残っていま せん。原発はそもそもエネルギー 問題の解決にはならないのです。
出口。これが一番問題なので すが、使用済み燃料の問題が何 一つ解決していないのです。日 本はベトナムから100万キロ ワット級原発2基を受注しまし たが、この契約条件の中には 「使用済み燃料を含む放射性廃棄 物処理」と明記されています。 日本にこんな技術はありません。
③使用済み核燃料の輸送
◇原発の炉心から取り出した使用 済み核燃料は、いったん原発の 冷却プールにいれられます。こ こで崩壊熱が少なくなるのを待 ちます。(8年~20年)
◆これを取りだして、キャスクと よばれる輸送用容器に封入して、 再処理工場に運ぶ。キャスクは 放射能漏れを防ぐために、鋼鉄 と鉛でできており、約65㌧。 大型のトレーラーで運ぶのだが、 言うまでもなく、道路使用の重 量制限オーバーなので特別許可 の特別厳重警備体制で運ぶ。
使用済み燃料はまだもの凄い 崩壊熱を出し続けているので、 中の水は沸騰し、キャスク内部 は20気圧にもなっている。
わずか一個でヒロシマ型原発 100発分くらいの放射能を詰 め込んだ「不安定な超高圧圧力 釜」を輸送するのです。
④再処理の工程
◇運んできた使用済み核燃料を、 再び冷却プールに入れる。15 0日。取り出して、遠隔操作で、 1~3センチの小片に切断。
それを硝酸液槽に入れると、 燃料(ウランやプルトニウム) は溶けるが、サヤのジルコニウ ムは残るので、それを取り除く。 (→高レベル廃棄物として処理)
◆ここまでの工程でも、クリプト ン、キセノン、ヨウ素などの放 射性気体を放出。現行の法律は 「濃度」だけが問題にされるの で、もの凄く薄めて大気に放出 する。
◇硝酸の溶液を何十もの工程で処 理して、ウランは3酸化ウラン 粉末か、二酸化ウランに。プル トニウムは硝酸プルトニウムと して貯蔵。(映画『太陽を盗ん だ男』で、沢田研二が盗み出し た容器の中味です。)
◆「再処理」で大事なことは、放 射能の量は減らせないと言うこ とです。「時間」以外の何者に も影響させることはできない。
⑤「原発はトイレのないマンション」
◇放射能は、焼いても煮てもなく なりません。それどころか、決 定的な処理方法がないために、 増え続けるばかりです。
電気事業連合会発表によれば、 日本国内だけで、原発に装填さ れている核燃料以外に、1万3 530㌧の使用済み核燃料があ るのだそうです。(10年9月)
◆高レベル放射性廃棄物の処理も 困難を極めています。原研高崎 は地層処分のための機関ですが、 わずか地下300㍍に埋めると か、日本は危ないからよその国 に埋めるとか、全くのメチャク チャさです。
◇映画『10万年後の世界』では、 10万年後の人類に危険と伝え る方法さえないことが明らかに。
『原発とめよう群馬 原発事故・現状便り』143号(2015年6月19日発行2)
(なんと同時発行!)
千葉や茨城は福島原発事故以前から、直接的には東海原発や、使用済み核燃料輸送反対など、原発反対運動を進めてきました。 今回の事故に対しても、福島と連帯して、もっとも早くに原発反対運動を進めてきました。
中でも、動労千葉の「震災レポート」は各国で翻訳され国際的な評価をえてきました。動労水戸の被曝労働拒否の闘いもそうです。また、そういったことが核になって、同地域の自治体職員の労働運動も活発で、それが市民運動とも一体となって、重要な役割を果たしてきました。
そのような中で今回、千葉県松戸市が、市民の希望者に甲状腺エコー検査費の補助(3000円~6000円の補助、実質、自己負担は6割くらいになる)を発表したところ、6月1日からのエコー検査で表記のような途中結果が出ました。同市役所のホームページには、もう予定人数がいっぱいになってしまったと書かれています。それだけ希望者が多かったのでしょう。
公表されている受診者が163人ですので、まだ正確なことはわかりません。「たいへんだ!」と煽るつもりはありませんが、やはり、「普通」ではないことが起こっているのは間違いないだろうと思います。
大事なのは、行政にこういうことを隠させるのではなくどんどんやらせること。
動労水戸が被曝労働拒否で闘う茨城県では、東海村はもちろん、竜ヶ崎市や常総市、牛久市などつぎつぎにやらせています。
隣県日光市のエコー検査では7日間で1713人のこどもたちが受診、B判定18人、C判定3人という結果が出ています。
左の二つの資料はいずれも文部科学省が公表したセシウムやヨウ素の数値を図表化したもの。
群馬はやはり汚染県です。
さらに声を上げていきましょう。