【読み物紹介】
2万5千人失踪、日本人の13倍の過労死、強制労働・人身売買の外国人技能実習生を介護等へ広げる安倍政権

外国人技能実習生の死亡事故
日本の外国人技能実習制度については、アメリカからも「2014年人身売買報告書」の中で、労働搾取を目的とする強制労働への人身売買の制度だと批判されていますが、驚くべき報道が続いています。「過酷労働、困窮訴え ヤギ盗んで食べたベトナム人技能実習生」、そして、2014年に失踪した外国人技能実習生は過去最多の4,851人となり、この10年間で約2万5千人が失踪し、「多くの実習生が最低賃金水準で稼働しているが、残業代の未払いなど労働関連法違反は後を絶たない。労働条件の厳しさが失踪増加の背景にあるとみられる」と報道されています。
こんな惨状になっているにもかかわらず、安倍政権は3月6日、外国人技能実習制度の受け入れ期間を最長3年から5年に延長するとともに、受け入れ職種に介護職なども追加する法案を閣議決定しました。この法案が今国会で通れば来年度から実施されることになりますが、そんなことになればさらに惨状が広がると思います。

上の図は、国際研修協力機構(JITCO)のサイトに掲載されている「技能実習生の死亡事故及び労働災害発生状況」の中の「死亡事故の内訳(2013年度)原因別」です。外国人技能実習生の9割は20~30代の若い世代なのに、「脳・心疾患」による死亡が8人もいます。自殺も2人となっています。国際研修協力機構(JITCO)のサイトには以下の過労死の事例がアップされています。
日本の外国人技能実習制度については、アメリカからも「2014年人身売買報告書」の中で、労働搾取を目的とする強制労働への人身売買の制度だと批判されていますが、驚くべき報道が続いています。「過酷労働、困窮訴え ヤギ盗んで食べたベトナム人技能実習生」、そして、2014年に失踪した外国人技能実習生は過去最多の4,851人となり、この10年間で約2万5千人が失踪し、「多くの実習生が最低賃金水準で稼働しているが、残業代の未払いなど労働関連法違反は後を絶たない。労働条件の厳しさが失踪増加の背景にあるとみられる」と報道されています。
こんな惨状になっているにもかかわらず、安倍政権は3月6日、外国人技能実習制度の受け入れ期間を最長3年から5年に延長するとともに、受け入れ職種に介護職なども追加する法案を閣議決定しました。この法案が今国会で通れば来年度から実施されることになりますが、そんなことになればさらに惨状が広がると思います。

上の図は、国際研修協力機構(JITCO)のサイトに掲載されている「技能実習生の死亡事故及び労働災害発生状況」の中の「死亡事故の内訳(2013年度)原因別」です。外国人技能実習生の9割は20~30代の若い世代なのに、「脳・心疾患」による死亡が8人もいます。自殺も2人となっています。国際研修協力機構(JITCO)のサイトには以下の過労死の事例がアップされています。
早朝、うめき声のような音を聞いた同室の実習生が本人のベッドを確認したところ、布団に血液が付着していたため、消防等に連絡したが、既に心肺停止の状態で死亡が確認(入国後約4カ月の30代の中国人女性)
土曜日早朝、宿舎の布団の中でくも膜下出血により意識を失っているのが発見され、死亡が確認(入国後約33カ月の20代の中国人男性)
本人からの申し出により仕事を休ませていたところ、宿舎のベッドに倒れていたため、病院に搬送したが3日後死亡(入国後約33カ月の20代のベトナム人女性)
上記の事例にもみられるように、20代、30代が過労死しているわけです。この過労死発生の割合について少し比較をしてみると、2013年の時点で実習生の人数は約15万人なので、過労死8人÷15万人=0.0000533になります。そして、厚労省「脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況」の2013年の20~30代の過労死は一番多い件数となるのが「請求件数」の43人より「決定件数」の50人なので、50人で計算するとして、20~30代の就業者数は約1,500万人なので、60÷1,500万=0.000004。(※総務省「労働力調査」の年齢階級別の区切りが、24歳、34歳、44歳なので、15~24歳と35~44歳の就業者数は単純に半分で計算しました) そうすると、日本の20~30代の13.3倍も外国人技能実習生の方が過労死する割合が高くなっているということです。上記で紹介した事例で、入国後約33カ月の20代の実習生2人が過労死していますが、33カ月は2年と9カ月ですから、もし実習生の期間が2年間ならばこの20代の二人の実習生は過労死しなくてすんだのではないでしょうか。過酷な強制労働が続けば続くほど、過労死の危険性は高まるわけで、3年間の強制労働で13倍の過労死が、5年間と長くすることによって、さらに過労死が多発する危険性があると思います。

それから上の表は、厚生労働省「外国人技能実習生の実習実施機関に対する平成25年の監督指導、送検の状況」です。外国人技能実習生の労働現場の8割が何らかの労働基準関係法令違反が認められています。そんな違反だらけの職場環境に置かれていますから、下のグラフにあるように労働災害が外国人技能実習生を襲っているのです。


「毎日新聞」2月14日付「クローズアップ2015:外国人技能実習 期間、職種を拡充 制度のゆがみ放置」の中で、指宿昭一弁護士が次の指摘をしています。
出典:「毎日新聞」2月14日付「クローズアップ2015:外国人技能実習 期間、職種を拡充 制度のゆがみ放置」外国人労働問題に取り組む指宿昭一弁護士は「罰則や監督態勢の強化など、これまでも制度の見直しが繰り返されてきたが、効果はなかった。真の目的は労働者の確保にあるのに、いつまでまやかしを続けるのか」と批判。「実習制度にこだわる限り問題は解決しない。外国人を雇用主と対等な労働者として受け入れる新たな制度を作る必要がある」と指摘した。
結局、「技能実習」などと言いながら、実際は、違法で劣悪な職場環境で低賃金・長時間の強制労働を外国人にしいているだけです。その根源には、指宿昭一弁護士が指摘しているように、外国人労働者に労使対等の原則をはじめ基本的な労働基準法さえ守られない「技能実習制度」というシステムがあります。このシステムから外国人労働者の人身売買の強制労働という人権侵害が横行する現代の奴隷労働が生まれているわけですから、小手先の罰則や監督態勢の強化などでは実効性が伴うわけがありません。逆に5年延長や介護職など受け入れ枠の拡大などが、介護職における低賃金化に一層の拍車をかけるなど矛盾の拡大と、現代の奴隷労働のあらたな激しい惨状がもたらされてしまうことになると思います。
私が取材した外国人研修生・技能実習生の実態の一部を紹介します。
時給は1年目が200円、2年目が300円で、勤務時間は午前7時から午後10時までが定時。しかし実際は深夜12時過ぎまで続き、なんと深夜12時以降は時給でなくボタン1個をつくるごとに5円などという完全ノルマ制になっているところがありました。休日は月に1度のみで、彼女たちはパスポートを取り上げられ、自由な外出も許されず、真冬に取材したのですが、住まいはあばら家ですきま風が吹き放題なのに、ストーブもエアコンもなく、お湯もでないので、彼女たちはダウンジャケットを着て部屋の中にいて、私が帰ろうとしたら、お湯を沸かし出して、どうするのか見ていたら、沸かしたお湯を2リットルのペットボトルに詰めて、それを抱えて湯たんぽ替わりにして布団の中にもぐりました。どうりで部屋の中に空のペットボトルが置いてあったなと思っていたのですが、そういう尋常でない状況があったわけです。
外国人研修生・技能実習生の雇用契約書の中に、とんでもないことが書かれているところもありました。その雇用契約書には、「会社の言うことは絶対に守らなくてはいけない」「定められた休日以外は休んではいけない」、そして、「男女交際をしてはいけない」「妊娠してはいけない」という文言までありました。ここで働いているのは、20代、30代の大人です。恋愛も妊娠もなぜ会社に否定されなければならないのでしょうか。
工場の壁に表が貼ってあって、外国人研修生・技能実習生の名前が一人ひとり書いてありました。その表には、1日に何回トイレに行ったかを書き込んでいるのです。1回トイレに行ったら1分間で70円の罰金と書いてある。後で調べてみたら実際には罰金は徴収されていなかったのですが、現場の外国人研修生・技能実習生に対して脅しとしてトイレの回数と時間まで拘束することで、1分でも長く働かせようとしていたわけです。
深刻なのがパワハラ、セクハラです。工場の敷地に外国人研修生・技能実習生がズラリと並べられていて、この工場の専務が右から順番にビンタしていくのです。パンパンッとかなり大きなビンタの音が工場に響いていて、私が駆けつけたので途中でやめましたけど、なぜビンタをしているのか?と聞くと、「こいつらが生意気なんだよ。日本人と同じ給料にしろと迫ってきたんだ」と言うのです。
そして、セクハラはより一層深刻なものがあります。20代の女性のケースを取材したことがあります。そこの経営者が「君は工場で働かなくていいから、うちの手伝いをしろ」と言って、経営者の家の掃除や犬の散歩などをその女性に押しつけました。そして、夜になるとその経営者がやってきて、彼女は抵抗したのですが無理やりレイプされてしまったわけです。それから彼女はお金を稼いで帰国しなければならないために経営者にさからえず、そうした行為が続いたわけです。経営者は行為を終えると枕元に1万円を置いたそうです。彼女はその1万円を受け取るかどうか迷ったそうです。迷った末に受け取る道を選びました。彼女はお金を稼いで帰国する必要があったからです。